共有物分割請求とは、共有になっている不動産の共有状態をやめるよう、ほかの共有者に求めることです。結論から言うと、受けた側に「断る」という選択肢はありません。民法256条は各共有者がいつでも分割を請求できると定めており、話し合いがまとまらなければ相手は裁判所に分割を請求できます。そして裁判所が最後に選ぶのは競売です。競売では買受けの申出ができる下限額が、裁判所の定めた売却基準価額から20%を引いた額まで下がります。放置して訴訟に進むほど、全員の手取りが減る構図です。この記事では流れと期間、費用の内訳、相続した不動産だけ手順が違う理由、訴訟を使わずに共有を解消する選択肢を順に整理します。
共有物分割請求とは|共有をやめたい人が1人いればいつでも請求できる
共有名義の不動産は、共有者全員の意思がそろわないと売れません。この行き詰まりを解消するために民法が用意しているのが共有物分割請求です。10人のうち9人が現状維持を望んでいても、残る1人が請求すれば手続きは動き出します。
根拠は民法256条|持分の大小は関係ない
条文の根拠は民法256条で、各共有者はいつでも共有物の分割を請求できると定められています(e-Gov法令検索・民法)。この請求権は持分割合にかかわらず全共有者に認められるため、持分が100分の1しかない人でも請求できます。相続で持分が細分化された不動産ほど、請求してくる人数が増えるということです。
「分割しない」と約束できるのは最長5年まで
民法256条には例外もあり、共有者間で「分割をしない」と契約することは認められています。ただし期間は5年を超えられず、更新するときも更新時から5年が上限で、これを超える約束はその部分が無効になります。
この特約は、兄弟で実家を共有したまま様子を見たいといった場面で使えます。注意点は次の2つです。
- 期間の上限は5年で、恒久的に分割を封じることはできない
- 不動産では、特約を第三者に主張するには登記が必要(不動産登記法59条6号)
請求された側に「拒否」という選択肢は実質ない
通知書が届いて最初に考えるのは「断れないのか」でしょう。断れるのは分割の内容だけで、共有を続けること自体を拒む権利はありません。協議で折り合わなければ相手は民法258条に基づき裁判所に分割を請求でき、判決が出れば共有は強制的に解消されます。
したがって検討すべきは「分割するかどうか」ではなく「どの分割方法が自分に有利か」です。早く立場を決めたほうが条件を通しやすくなります。相続で共有になったケースの全体像は相続で共有名義になった不動産の売却方法で整理しています。
協議・調停・訴訟の3段階と、それぞれにかかる期間
共有物分割は協議・調停・訴訟の3段階で進みますが、必ず順に通るわけではなく、協議が決裂したら調停を飛ばして訴訟に進むこともできます。段階が進むほど時間と費用がかかり、結末を自分で選べなくなります。
第1段階:共有者どうしの協議
最初は共有者間の話し合いです。民法258条1項が裁判所への請求を認めるのは「協議が調わないとき、又は協議をすることができないとき」なので、協議は訴訟の前提になります。裁判所に行く前にまとめられれば費用はほぼかかりません。
論点は、不動産をいくらと評価するか、誰が取得するか(または第三者に売るか)、代金の支払時期をいつにするかの3点です。評価額の根拠が示せないと話が進まないため、先に複数社の査定を取って金額の幅を把握しておくと議論が早く収束します。
第2段階:民事調停(必ず通る手続きではない)
協議が行き詰まったときは、裁判官1人と調停委員2人の調停委員会に入ってもらう民事調停を使えます。勝ち負けを決めるのではなく双方の話を聞いて解決案を示す手続きで、特別な法律知識がなくても申し立てられます(裁判所・民事調停)。
申立先は、一般の民事調停なら相手方の住所地などを管轄する簡易裁判所、不動産に関する調停なら対象不動産の所在地を管轄する簡易裁判所です。共有物分割は訴訟前に調停を経る義務のある手続きではないため、相手が応じる見込みがなければ調停を省く判断もあり得ます。
第3段階:共有物分割訴訟|どの裁判所に起こすか
訴訟は、訴額が140万円を超えれば地方裁判所、140万円以下なら簡易裁判所に起こします。ただし不動産に関する訴訟は140万円以下でも地方裁判所に提出することが可能で、共有物分割もこれにあたります。
訴訟では評価額や分割方法の主張をやり取りし、必要に応じて鑑定を経て判決に至ります。共有物分割に限った統計はありませんが、地方裁判所の民事第一審訴訟全体の平均審理期間は9.9月と公表されており(令和2年。裁判所「地方裁判所における民事訴訟事件(第一審)の審理の状況」)、年単位の時間を見込む必要があります。段階ごとの違いは次のとおりです。
| 段階 | 場所 | 決着のつけ方 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 協議 | 当事者間(裁判所外) | 全員の合意 | 費用がほぼかからず、内容も自由に決められる |
| 民事調停 | 簡易裁判所(不動産は所在地) | 調停成立(調書に記録) | 調停委員会が解決案を示す。義務ではなく任意 |
| 共有物分割訴訟 | 地方裁判所(訴額140万円以下は簡易裁判所も可) | 判決または訴訟上の和解 | 分割方法を裁判所が決める。競売になる可能性がある |
裁判所が命じる3つの分割方法|どれになるかで結果が変わる
民法258条は、裁判所が命じられる分割方法を定めています。現物分割と、共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部または一部を取得させる方法(賠償分割)がまず挙げられ、これらで分割できないとき、または分割で価格を著しく減少させるおそれがあるときに競売を命ずることができる、という構造です。競売は最初の選択肢ではなく、ほかが使えないときの受け皿です。
現物分割|土地を物理的に分ける
土地を分筆し、持分割合に応じてそれぞれの単独所有にする方法です。共有関係が完全に消え、各人が自由に使えるようになります。
一方で使える場面は限られます。建物は物理的に割れませんし、土地だけでも分けた結果それぞれが狭くなり、道路に接する部分が足りないと建物を建てられない土地になります(再建築不可物件の売却方法)。価格が著しく下がるおそれがあるときは、裁判所は現物分割を選びません。
賠償分割|1人が取得して他の共有者にお金を払う
共有者のうち1人(または一部)が不動産を取得し、他の共有者に持分相当のお金を払う方法です。2021年の民法改正で条文上明確に位置づけられ、2023年4月1日から施行されています。
手放したくない共有者には望ましい結末ですが、支払能力が要ります。評価額3,000万円で自分の持分が3分の1なら、残り2,000万円を用意しなければなりません。現金が足りないときの資金づくりは代償分割で代償金が払えないときの対処法と考え方が重なります。
競売による換価分割|最後に残る方法
現物分割も賠償分割もできないときに、裁判所が競売を命じて代金を持分割合で分ける方法です。売却自体は実現しますが、価格形成が通常の売買と異なるため全員の手取りが目減りしやすくなります。3つの方法を比べると次のとおりです。
| 分割方法 | どうなるか | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 現物分割 | 土地を分筆し、各自の単独所有にする | 分けても価値が落ちない広い土地 | 建物がある土地や狭い土地では使えない |
| 賠償分割 | 1人が取得し、他の共有者へ金銭を支払う | 住み続けたい共有者がいて、支払能力がある | まとまった現金か融資が必要になる |
| 競売(換価分割) | 裁判所の競売にかけ、代金を持分割合で分ける | ほかの方法が取れないとき | 買受可能価額は売却基準価額の8割まで下がる |
競売になると手取りはいくらまで下がるのか
「最悪でも売れるなら競売でいい」と考えがちですが、価格の決まり方を知ると判断が変わります。競売は、裁判所が定めた基準額より低い金額での落札を制度として許容しているからです。
買受可能価額は売却基準価額の8割まで下がる
裁判所の競売では、まず評価人の評価に基づいて執行裁判所が売却基準価額を定めます(民事執行法60条1項)。そして実際に入札できる下限額は、この売却基準価額から20%に相当する額を控除した「買受可能価額」です(裁判所・BIT 不動産競売物件情報サイト「買受可能価額」)。
仮に売却基準価額が2,000万円なら、1,600万円の入札でも有効に成立します。入札が集まらなければ下限に近い金額で決まることもあり、一般の市場で売るより手取りが下がりやすい構造です。落札額は開札まで誰にもわかりません。
競売を申し立てる側が費用を先に預ける
競売は申立て後、評価人による評価、物件明細書の作成、公告、期間入札、開札という順に進みます。この過程の手続費用は、申立人が予納金として先に裁判所へ納めるのが原則です。
つまり競売は、放っておけば裁判所がお金に換えてくれる手続きではありません。誰かが費用を立て替えて進めることになり、手続きが終わるまで固定資産税や管理費の負担も続きます。
代金は持分割合で分けるので、全員の手取りが下がる
競売代金は持分割合に応じて分配されます。価格が下がった影響は請求した側にも及ぶため、競売は「相手を困らせる手段」ではなく「全員が損をする着地」です。
これは請求された側の交渉材料になります。任意に売るほうが双方の手取りが増えると数字で示せれば、訴訟中でも和解の余地が生まれます。判断の目安は次の3点です。
- 一般の市場で売った場合の想定価格と、売却基準価額の8割を比べる
- 競売が終わるまでの期間に発生する固定資産税・管理費・修繕費を足す
- 訴訟を続ける場合の弁護士費用と鑑定費用を加える
共有物分割請求にかかる費用の内訳
訴訟に進むといくらかかるのかは、双方が最初に知りたい点です。費用は印紙代・郵便費用・鑑定費用・弁護士費用の4つに分かれ、金額が明確に決まっているのは印紙代だけです。
印紙代は訴額に応じて決まる
訴え提起の手数料は、訴額に応じた額を収入印紙で納めます。裁判所の手数料額早見表では、訴額100万円で1万円、500万円で3万円、1,000万円で5万円です(裁判所・手数料)。
注意したいのは、共有物分割の訴額が不動産の時価そのものではない点です。対象不動産の価額と自分の持分割合をもとに算定するため、3,000万円の不動産でも3,000万円分の印紙が必要になるわけではありません。計算方法は運用の確認が要るので、提起前に申立先の裁判所へ照会するのが確実です。
鑑定が必要になれば鑑定費用を預ける
共有物分割訴訟でもっとも争われるのは不動産の評価額です。主張が食い違ったまま決着しない場合、裁判所が不動産鑑定士による鑑定を実施することがあります。
鑑定費用は裁判所に予納する形で負担し、金額は不動産の規模や種類で変わります。固定額ではないため、申し出る前に見込み額を裁判所へ確認してください。評価額の争いを避けるには、協議の段階で複数社の査定を共有し、金額の幅をそろえておくのが有効です。
弁護士費用は原則として自分が負担する
日本の民事訴訟では、勝訴しても相手に弁護士費用を負担させられるのが原則ではありません。着手金と解決時の報酬金を自分で負担する前提で考える必要があります。費用の全体像は次のとおりです。
| 費目 | いつ払うか | 金額の決まり方 |
|---|---|---|
| 印紙代(申立手数料) | 訴え提起時 | 訴額に応じて法律で決まっている(訴額500万円なら3万円) |
| 郵便費用(予納郵券など) | 訴え提起時 | 当事者の人数などに応じて裁判所が指定 |
| 鑑定費用 | 鑑定を実施するとき | 不動産の規模・種類により変動。裁判所に予納する |
| 弁護士費用 | 依頼時と解決時 | 事務所ごとの基準。原則として自己負担 |
相続した不動産は手順が違う|遺産共有と「10年」の壁
ここを取り違えると手続き自体が空振りします。同じ「共有」でも、相続によって生じた共有(遺産共有)と通常の共有では、使う手続きと裁判所が別だからです。
遺産分割は家庭裁判所、共有物分割は地方裁判所
亡くなった人の不動産が遺産分割前の状態にある場合、その共有関係は原則として家庭裁判所の遺産分割で解消します。地方裁判所に共有物分割訴訟を起こしても、遺産共有の解消は原則としてその手続きの対象外です。
一方、遺産分割が終わって各相続人の名義になった後に残る共有は通常の共有なので、共有物分割請求の対象です。遺産を売って現金で分ける方法は換価分割は単独名義と共有名義どっちが得?で整理しています。
相続開始から10年を過ぎると共有物分割訴訟で解消できる
この原則に例外を設けたのが、2023年4月1日施行の民法258条の2です。遺産共有と通常の共有が併存している場合などで、相続開始の時から10年を経過したときは、遺産共有関係の解消も地方裁判所の共有物分割訴訟で実施できるようになりました(法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」)。
あわせて、相続開始から10年経過後の遺産分割では、分割の基準が原則として法定相続分等になります。生前贈与などを踏まえた具体的相続分を主張したい相続人には、10年が実質的な期限として働きます。
相続登記が済んでいないと手続きが進まない
名義が亡くなった人のままだと、協議でまとまっても売却の決済ができません。しかも相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が求められます。正当な理由なく申請しなければ10万円以下の過料が科される可能性があります(法務省「相続登記の義務化」)。
相続人申告登記などの詳細は相続登記の義務化とはにまとめています。共有物分割を考える前に、まず登記を現状に合わせるのが出発点です。
共有者が音信不通・行方不明のときに使える制度
共有者の誰かと連絡が取れない場合、以前は共有関係を解消する手立てがほとんどありませんでした。2023年4月1日施行の改正で、所在のわからない共有者の持分を裁判所の手続きで処理する制度が新設されています。
所在等不明共有者の持分取得(2023年4月から)
必要な調査を尽くしても他の共有者を知ることができない、または所在を知ることができないとき、裁判所は共有者の請求により、その共有者に所在等不明共有者の持分を取得させる裁判をすることができます。残った共有者だけで名義を整理できるということです。
手続きには、裁判所が定める額の金銭を申立人が供託することと、裁判所による公告およびその期間の経過が必要です(大阪地方裁判所「所在等不明共有者の持分の取得の裁判の申立てについてのQ&A」)。供託金は、その共有者が後から現れたときに受け取る対価にあたります。
第三者に売るための持分譲渡権限の付与
自分たちで持分を取得するのではなく不動産全体を第三者に売りたい場合は、所在等不明共有者の持分を含めすべての持分を譲渡する権限を裁判所から付与してもらう制度があります。連絡の取れない共有者がいても第三者への売却が可能になりました。
ただし期限があります。この裁判の効力が生じた後2か月以内に、権限に基づく持分の譲渡の効力が生じないときは、裁判は効力を失います。裁判を得てから買主を探し始めるのでは間に合わないおそれがあるため、売却先と価格の見込みを先に固めてから申し立てる段取りが現実的です。
相続による共有の場合は10年が条件になる
注意点として、相続による共有(遺産共有)で所在のわからない相続人がいる場合は、相続開始の時から10年を経過したときに限り、持分取得・譲渡権限付与の制度を使えます。相続が最近なら、まず遺産分割や不在者財産管理人の選任を検討することになります。海外に相続人がいて書類集めに時間がかかる場合は海外在住の相続人が実家を売却・買取してもらう方法も参考になります。
訴訟にしないで共有を解消する3つの方法|買取という出口
訴訟に進むと期間も費用も読みにくく、最後は競売という価格の下がる出口が待っています。実務で選ばれているのは、裁判所を通さずに共有を解消する方法です。
共有者全員で売って代金を分ける
もっとも手取りが大きくなりやすいのが、共有者全員が合意して第三者に売り、代金を持分割合で分ける方法です。価格も引渡し時期も契約で確定し、競売のように結果を待つ必要がありません。
コツは、分け方の話より先に金額の根拠をそろえることです。複数社の査定を全員が見られる状態にすると「安く売られるのでは」という疑いが生まれにくくなります。買取なら買主を探す期間が不要で、共有者が多くても日程を合わせやすくなります。
自分の持分だけを売る
ほかの共有者がどうしても動かない場合、自分の持分だけを売る方法があります。持分の処分は各共有者が単独ででき、他の共有者の同意は必要ありません。
ただし持分だけでは不動産を自由に使えないため一般の買主はつきにくく、価格は全体の価値に持分割合を掛けた金額より低くなるのが通常で、持分の買取を扱う業者に売る形が中心です。手取りは下がりますが、訴訟の期間と費用を負わずに共有から抜けられます。
訴えられた後でも和解で売却に切り替えられる
すでに訴訟を起こされている場合でも、任意売却への転換は可能です。判決まで行かず、訴訟上の和解で「第三者に売って代金を持分割合で分ける」と合意する進め方があります。
この和解を引き出すには、競売より条件がよいことを数字で示す必要があります。買取の査定額を取っておけば、売却基準価額の8割まで下がり得る競売と比較する材料になります。手順は次のとおりです。
- まず買取を含めた査定で、今売ったらいくらになるかを確定させる
- その金額と、競売で想定される下限額・訴訟継続の費用を並べて比較する
- 相手方(または相手方の代理人)に任意売却案を提示し、和解で合意する
共有の不動産は、関係者が増えるほど「誰も動かないまま維持費だけ出ていく」状態に陥りがちです。売却ナビットの一括査定なら共有名義や持分のみのケースも複数社の見積りをまとめて確認でき、協議や和解のテーブルに出せる数字を先に用意できます。
売って現金化したときにかかる税金
共有を解消して現金を受け取ったら、譲渡所得の確定申告が必要になる場合があります。競売による換価も売却なので同じです。
譲渡所得は共有者それぞれが申告する
譲渡所得は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します(国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」)。共有不動産ではまとめて1件を申告するのではなく、各自が自分の持分に対応する収入と費用で申告します。
譲渡費用も持分に応じて按分するため、仲介手数料などを代表者が一括で払った場合は、負担割合を後から説明できるよう精算の記録を残してください。
所有期間5年を境に税率がほぼ2倍変わる
税率は所有期間で変わります。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年超なら長期譲渡所得として所得税15%・住民税5%、5年以下なら短期譲渡所得として所得税30%・住民税9%です(別途、復興特別所得税がかかります)。国税庁のNo.3208 長期譲渡所得の税額の計算とNo.3211 短期譲渡所得の税額の計算にそれぞれ定めがあります。
相続で取得した不動産は、亡くなった人が取得した時期を引き継いで所有期間を数えるため、長期譲渡所得になることが多いです。税額が倍近く変わるので、売却前に取得時期を確認しておきましょう。
取得費がわからないときは5%ルールになる
古い不動産では購入時の契約書が見つからないことがあります。この場合、譲渡価額の5%相当額を取得費にできます(国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」)。
ただし5%で計算すると売却代金のほぼ全額が利益とみなされ、税負担が大きく膨らみます。契約書以外に取得費を裏づける資料が残っていないか探す価値があるので、取得費がわからないときの5%ルールも確認してください。共有では持分を相続で得た部分と売買で得た部分が混在することもあり、計算が複雑になります。金額が大きいケースは税理士に確認するのが安全です。
よくある質問
共有物分割請求を拒否することはできますか?
分割そのものを拒否することはできません。民法256条は各共有者がいつでも分割を請求できると定めており、話し合いがまとまらなければ相手は裁判所に分割を請求できます。拒否できるのは「その分割方法では応じない」という内容の部分だけで、共有関係を続けること自体を拒む権利はありません。
共有物分割請求訴訟は必ず競売になるのですか?
必ず競売になるわけではありません。民法258条は現物分割と、共有者に債務を負わせて他の共有者の持分を取得させる方法を先に挙げており、競売はこれらの方法で分割できないとき、または分割で価格が著しく減少するおそれがあるときに命じられます。審理の途中で売却の和解に切り替わることもあります。
共有物分割請求訴訟の印紙代はいくらかかりますか?
訴え提起の手数料は訴額に応じて決まり、裁判所の手数料額早見表では訴額100万円で1万円、500万円で3万円、1,000万円で5万円です。共有物分割の訴額は不動産の価額と持分割合をもとに算定するため、実際の金額は申立て先の裁判所に確認してください。
相続した不動産でも共有物分割請求はできますか?
遺産共有の状態は原則として家庭裁判所の遺産分割で解消します。ただし2023年4月施行の民法258条の2により、相続開始の時から10年を経過したときは、遺産共有の解消も地方裁判所の共有物分割訴訟で行えるようになりました。10年を過ぎていなければ、まず遺産分割の手続きが必要です。
訴訟を起こされる前に共有を解消する方法はありますか?
共有者全員で第三者に売って代金を持分割合で分ける方法と、自分の持分だけを売る方法があります。どちらも裁判所を通さないため、価格と引渡し時期を契約時に確定できます。買取業者に直接売る場合は買主を探す期間が不要で、共有者の人数が多いケースでも日程を合わせやすくなります。