実家売却の流れ|親の存命中・相続後の違いと空き家3,000万円控除・買取

親の存命中と相続後で異なる実家売却の流れと空き家3,000万円控除を解説する記事のイメージ

親が施設に入った、あるいは親が亡くなって実家が空き家になった。兄弟で話し合っても「いつ・誰が・どうやって売るのか」が決まらず、固定資産税だけを払い続けている方は少なくありません。

結論から言うと、実家売却の流れは親が存命中か、相続後かで大きく変わります。存命中なら売主は親本人で、相続後なら相続登記を済ませた相続人が売主になります。使える税金の特例も、時期によって入れ替わります。

この記事では、2つのタイミングそれぞれの流れと、相続登記・共有・残置物・空き家3,000万円控除・買取という実務で必ずぶつかる論点を順番に整理します。

この記事を読むとわかること

  • 親の存命中に売る場合と、相続後に売る場合の流れの違い
  • 相続登記の3年以内の義務と、売却前に名義を移す理由
  • 兄弟で共有名義にすると売りにくくなる理由と分け方
  • 空き家3,000万円控除の要件と、使えなくなる典型的な失敗
  • 仲介で売れない実家を買取で手放すときの考え方

この記事の結論

  1. 親の存命中に売るなら売主は親本人。認知症で意思能力がなくなると契約は無効になり、成年後見人と家庭裁判所の許可が必要になります。
  2. 親が住まなくなった実家は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、親自身のマイホームの3,000万円特別控除を使える可能性があります。
  3. 相続後は、相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする義務があります。売却には相続人への名義変更が前提です。
  4. 相続した空き家は、昭和56年5月31日以前の建築などの要件を満たし、相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば最大3,000万円を控除できます(相続人が3人以上なら1人2,000万円まで)。
  5. 兄弟の共有名義のまま売るには全員の同意が必要です。まとまらない、古くて買い手がつかないといった場合は、買取も比較してください。

実家売却のタイミングは2つ|親の存命中か相続後か

結論

実家を売る時期は「親の存命中」か「相続後」のどちらかです。誰が売主になり、どの特例が使えるかが時期で決まるので、先にどちらで進めるかを家族で決めます。

実家の売却と一口に言っても、手続きの中身は時期によってまったく違います。存命中は親の財産を親が売る通常の売却で、相続後は相続手続きと売却が一体になります。

迷いやすいのは、親が施設に入って実家が空いている時期です。この段階で売るか、相続まで待つかで、使える税金の特例と必要な手続きが入れ替わります。

存命中は親本人、相続後は相続人が売主になる

親が存命中であれば、名義人である親本人が売主です。子が代わりに動く場合も、売買契約は親の意思に基づいて結ぶ必要があります。

親が亡くなると、遺産は相続人全員の共有に属する状態になります(民法898条)。そのため相続後は、遺産分割で誰が取得するかを決め、相続人の名義に相続登記をしてから売るのが基本の流れです。

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項目 親の存命中に売る 相続後に売る
売主 親本人 実家を相続した相続人(複数なら全員)
事前の手続き 親の意思確認、本人確認 遺言の確認、遺産分割協議、相続登記
主な税金の特例 親のマイホームの3,000万円特別控除 空き家3,000万円控除、取得費加算の特例
つまずきやすい点 親の判断能力が低下すると売れなくなる 相続人の意見がまとまらないと売れない
売却代金の行き先 親の財産(介護費・生活費に使える) 遺産分割の内容に従って相続人へ

※特例はそれぞれ要件があります。詳細は本文の各セクションを参照してください。

使える特例が時期によって入れ替わる

親が住んでいた家を親自身が売るなら、親がマイホームの3,000万円特別控除を使える可能性があります。一方、相続した空き家向けの3,000万円控除は、相続後に相続人が売る場合だけの制度です。

どちらも「いつまでに売るか」の期限があるため、期限を過ぎてから時期を選び直すことはできません。家族で方針を話すときは、価格だけでなく期限も一緒に確認してください。

POINT

先に決めるのは「誰が売主になるか」

  • 親が元気で判断できるうちなら、存命中の売却も選べる
  • 相続後は、相続人全員の合意と相続登記が売却の前提になる
  • どちらの時期でも、特例ごとに売却期限がある

決めないまま空き家にしておくと固定資産税の軽減が外れることも

時期を決められずに空き家のまま置いておくと、固定資産税や草木の手入れなどの費用がかかり続けます。さらに管理が行き届かない状態が続くと、市区町村から指導を受けることがあります。

住宅が建つ土地は、固定資産税の課税標準が200㎡以下の部分で1/6、200㎡を超える部分で1/3に軽減されています(住宅用地特例)。国土交通省は、「管理不全空家」や「特定空家」として指導に従わず勧告を受けると、この住宅用地特例が受けられなくなるとしています(国土交通省 空き家対策特設サイト)。

  • 窓を開けての換気や、雨漏り・破損の確認を定期的に誰がするか決めている
  • 庭木や雑草が隣地・道路にはみ出していない
  • 郵便物がたまらないよう、転送や回収の手配をしている
  • 市区町村から空き家の管理について連絡が来ていない

親の存命中に実家を売却する流れと注意点

結論

存命中の売却は、親が売主として契約できる判断能力があることが大前提です。施設に入ったあとに売るなら、住まなくなってから3年目の年末が親のマイホーム特例の期限になります。

親が施設や子の家に移り、実家が空いたまま数年が過ぎるケースはよくあります。空き家の期間が長いほど維持費がかかるうえ、親の判断能力が落ちると売ること自体が難しくなります。

親の意思確認と、子が手伝える範囲

査定の依頼や不動産会社とのやりとりは、子が窓口になっても構いません。ただし売買契約の当事者は名義人の親なので、売る意思と条件を親本人が理解していることが必要です。

民法は、意思表示をした時に意思能力がなかった法律行為を無効と定めています(民法3条の2)。契約の前に、親本人が売る内容を理解して判断できる状態かを、家族でも確認しておきます。

  1. 家族で方針を話し合う売るか残すか、売却代金を何に使うかを親を交えて決める
  2. 査定で価格を知る仲介で売る価格と、買取の価格の両方を把握する
  3. 親が売主として契約する本人確認・意思確認を受けて売買契約を結ぶ
  4. 決済・引渡し代金を受け取り、買主へ所有権移転登記をする
  5. 翌年に親が確定申告利益が出た場合や特例を使う場合は、親の名前で申告する

施設に入った親の家は「3年目の年末」までが目安

国税庁によると、以前住んでいた家屋を売る場合のマイホームの3,000万円特別控除は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件です(国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)。

また、親子や夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外です。子が親から実家を買い取る形では、この控除は使えません。

具体例

親が施設に入って2年後に、実家を2,500万円で売った場合

  • 前提:親が30年以上前に購入。購入時の契約書がなく、取得費は売却価格の5%(125万円)。仲介手数料などの譲渡費用は150万円
  • 譲渡所得:2,500万円 −125万円 −150万円 = 2,225万円
  • → 期限内に売りマイホーム特例を使えば、3,000万円の範囲内なので税額は0円
  • → 期限を過ぎて特例が使えないと、通常の長期譲渡所得の税率20.315%で約452万円

同じ家・同じ価格でも、売る時期だけで税額がこれだけ変わります。取得費の5%ルールは国税庁 No.3258、税率は No.3208 に基づく計算です。

認知症が進んでからでは成年後見が必要になる

親の判断能力が低下してからは、家族が代わりに売ることはできず、家庭裁判所に成年後見人を選んでもらう必要があります。さらに、本人の居住用の建物や敷地を後見人が売るには家庭裁判所の許可が必要です(民法859条の3)。

裁判所は、許可を得ないで処分した場合、その処分は無効になると案内しています(裁判所 成年被後見人の居住用不動産の処分についての許可)。手続きと期間の詳細は成年後見人が不動産売却するにはで解説しています。

注意

「親の実印と通帳を預かっているから大丈夫」ということはありません。本人の意思確認ができなければ、契約も登記も進みません。売る可能性があるなら、親が元気なうちに方針を決めておくことが一番の対策です。

相続後に実家を売却する流れ|遺言の確認から確定申告まで

結論

相続後は、遺言の確認→遺産分割→相続登記→売却→確定申告の順に進みます。相続登記をしないと買主に名義を移せないため、売却の前に必ず済ませます。

相続後の売却は、相続手続きと不動産売却が重なるため、関係者も期限も増えます。まず全体の順番を把握し、どこで時間がかかるかを見通しておくと、期限切れを防げます。

  1. 遺言・相続人の確認戸籍を集めて相続人を確定する
  2. 遺産分割協議誰が実家を取得し、どう分けるか決める
  3. 相続登記取得を知った日から3年以内が義務
  4. 売却・引渡し相続人が売主として契約する
  5. 翌年の確定申告特例を使うなら申告が必須
図:相続した実家を売るまでの基本の流れ

相続人を確定し、誰が実家を取得するか決める

最初に遺言書の有無を確認し、遺言がなければ相続人全員で遺産分割協議をします。相続人を確定するには、亡くなった親の出生から死亡までの戸籍をそろえます。

法務局の法定相続情報証明制度を使うと、戸籍の束の代わりに使える一覧図の写しを無料で交付してもらえます(法務局 法定相続情報証明制度について)。相続登記や預金の手続きで繰り返し使えるので、相続人が多い場合は便利です。

相続登記は3年以内。売却前に名義を移す

2024年4月1日から、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の相続登記が義務になりました。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります(法務省 相続登記の申請義務化について)。

2024年4月1日より前に相続した実家も、登記がされていなければ義務化の対象です。この場合の期限は2027年(令和9年)3月31日です。期限の考え方は相続登記の義務化とはで詳しく整理しています。

用語の補足:相続人申告登記

遺産分割がまとまらず3年以内に相続登記ができないときに、自分が相続人であることを登記官に申し出て義務を果たす簡易な制度です。ただし持分は登記されないため、売却するには改めて相続登記が必要です。

具体例

固定資産税評価額1,500万円の実家を相続登記する場合の登録免許税

  • 前提:土地と建物の固定資産税評価額の合計が1,500万円
  • 相続による所有権移転登記の税率は1,000分の4(0.4%)
  • → 1,500万円 × 0.4% = 6万円

このほか戸籍の取得費用や、司法書士に依頼する場合はその報酬がかかります。税率は国税庁 No.7191 の登録免許税の税額表に基づきます。

相続放棄・相続税の期限と重なる時期

相続後の数か月は、ほかの期限とも重なります。売却の段取りより先に、次の2つを確認してください。

  1. 相続開始(親の死亡)遺言の確認と相続人の確定を始める
  2. 3か月以内相続放棄・限定承認をするかどうかの期限(民法915条)
  3. 10か月以内相続税の申告期限(申告が必要な場合)
  4. 3年以内相続登記の申請義務(取得を知った日から)
図:相続後に重なる主な期限

相続税の申告は、親が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 No.4205 相続税の申告と納税)。相続税がかかる家庭では、売却代金を納税資金に充てるかどうかも、この期限を軸に考えます。

この項目のまとめ
  • 遺言の確認→遺産分割→相続登記→売却→確定申告の順に進める
  • 相続登記は取得を知った日から3年以内。2024年4月より前の相続は2027年3月31日まで
  • 相続放棄は3か月、相続税の申告は10か月の期限がある
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兄弟で相続した実家は共有名義にしないほうが売りやすい

結論

共有名義のまま実家全体を売るには、共有者全員の同意が必要です。売るつもりなら、売却代金を分ける換価分割を遺産分割の段階で決めておくと進めやすくなります。

兄弟で「とりあえず法定相続分で共有にしておこう」と決めるのはよくある選択です。ただ、共有は問題の先送りになりやすく、時間がたつほど売りにくくなります。

共有のままでは全員の同意がないと売れない

民法251条は、各共有者は他の共有者の同意を得なければ共有物に変更を加えられないと定めています。実家全体を売ることは、共有者全員の同意が必要な行為です(e-Gov法令検索 民法)。

1人でも反対したり連絡が取れなくなったりすると、売却は止まります。さらに共有者が亡くなると、その持分がまた相続され、関係者がねずみ算式に増えていくおそれがあります。対処法は相続で共有名義になった不動産の売却方法で解説しています。

換価分割・代償分割・共有の違い

実家の分け方には主に3つあります。売ることが決まっているなら、換価分割が最もシンプルです。

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分け方 内容 売却との相性
換価分割 実家を売り、売却代金を取り決めた割合で分ける 売る前提なら最も進めやすい
代償分割 1人が実家を取得し、他の相続人にお金を払う 取得した人が単独で売れる。代償金の資金が必要
共有 法定相続分などの割合で共有名義にする 売るたびに全員の同意が必要

※換価分割で各相続人が持分を登記して売る場合は、売主は相続人全員になります。

空き家3,000万円控除は、相続人が3人以上の場合、2024年1月1日以後の売却では1人あたり2,000万円が上限になります。兄弟3人で売るなら、この上限も踏まえて税額を試算してください。

POINT

共有にする前に、売るかどうかを決める

  • 売る前提なら、遺産分割協議書に換価分割と分ける割合を書いておく
  • 1人が住み続けるなら代償分割を検討する
  • 「とりあえず共有」は、次の相続で関係者が増える原因になる

残置物の片付けと、売却前にそろえる書類

結論

家財の片付けは相続放棄をしないと決めてから進め、並行して権利証や購入時の契約書を探します。購入時の契約書の有無で税額が数百万円変わることがあります。

実家には家具や家電、衣類、仏壇など、長年の家財が残っているのが普通です。仲介で一般の人に売る場合は、引渡しまでに片付けるのが一般的なので、誰がいつ作業するかを早めに決めておきます。

相続放棄を考えている間は家財を処分しない

親に借金があるなどで相続放棄を考えているなら、片付けは慎重に進めます。民法921条は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは単純承認をしたものとみなすと定めています。

単純承認とみなされると、相続放棄はできなくなります。放棄するかどうかを決めるまでは、価値のある家財の売却や処分を控えるのが安全です。迷う場合は弁護士などに確認してください。

  • 相続放棄をするかどうかを先に決めた(期限は原則3か月)
  • 貴重品・通帳・権利証・契約書を先に探して確保した
  • 形見分けする品を相続人で決めた
  • 片付けを誰が担当し、費用を誰が負担するか決めた
  • 仲介か買取か、家財を残したまま引き渡せるかを確認した

購入時の契約書は税金に直結する

実家を売って利益が出たときの税金は、売却価格から取得費(親が買ったときの代金など)と譲渡費用を差し引いて計算します。取得費が分からない場合は、売った金額の5%を取得費とすることになります(国税庁 No.3258 取得費が分からないとき)。

親が購入時の売買契約書や領収書を保管していれば、実際の購入代金を取得費にできます。片付けの途中で書類を捨ててしまわないよう、最初に書類探しをしてください。

用語の補足:取得費

土地や建物を買ったときの代金や購入手数料などのことです。建物は使った期間に応じて価値が減った分(減価償却費相当額)を差し引いた金額になります。

実家を売ったときの税金と空き家3,000万円控除

結論

相続した実家は親の取得費と取得時期を引き継ぐので、多くは長期譲渡所得になります。要件を満たせば、空き家3,000万円控除で税額が0円になることもあります。

実家の売却で税金がかかるのは、売って利益(譲渡所得)が出たときだけです。利益が出れば、売った翌年に確定申告が必要です。国税庁は、マイホームや空き家の3,000万円控除の適用を受けるには、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要としています。

譲渡所得の計算は親の取得費と取得時期を引き継ぐ

相続で取得した土地建物は、親の取得時期がそのまま引き継がれます。親が長く住んでいた家なら、相続直後に売っても所有期間5年超の長期譲渡所得になり、税率は所得税・復興特別所得税・住民税の合計で20.315%です。

取得費も親が買ったときの代金を基に計算します。さらに、相続人が支払った相続登記の費用も取得費に含められます(国税庁 No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期)。

空き家3,000万円控除の要件

相続した実家が空き家になっていれば、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除を使える可能性があります。2027年(令和9年)12月31日までの売却が対象です(国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)。

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要件 内容
建築時期 昭和56年5月31日以前に建築された家屋
建物の種類 区分所有建物登記がされている建物(分譲マンションなど)でないこと
居住者 相続開始の直前に、親以外に住んでいた人がいないこと
売却期限 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
売り方 耐震基準を満たす状態で売る/取り壊して土地を売る/売却後、翌年2月15日までに耐震改修か取壊し
売却価格 1億円以下
控除額 最大3,000万円(相続人が3人以上なら1人2,000万円まで)

※国税庁 No.3306 をもとに主な要件を抜粋。申告には市区町村が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」などが必要です。

親が老人ホームに入所していた場合も、要介護認定などの要件を満たし、入所後も家財の保管などに使われていて他の人が住んでいなければ対象になり得ます(国税庁 No.3307)。特例の詳しい要件は相続空き家の3,000万円特別控除とはにまとめています。

具体例

昭和50年築の実家を取り壊し、土地を2,000万円で売った場合

  • 前提:相続人は1人。購入時の契約書がなく取得費は5%(100万円)。解体費や仲介手数料などの譲渡費用は300万円
  • 譲渡所得:2,000万円 −100万円 −300万円 = 1,600万円
  • → 特例なし:1,600万円 × 20.315% = 約325万円
  • → 空き家3,000万円控除あり:控除額の範囲内なので0円

解体費などの譲渡費用は、領収書を残しておけば差し引けます。期限内に売れるかどうかが、そのまま数百万円の差になります。

貸す・住む・親族に売ると使えなくなる

空き家3,000万円控除は、相続の時から売るまでの間に事業・貸付・居住の用に供されていないことが要件です。「売れるまで賃貸に出そう」「兄弟がしばらく住もう」とすると、それだけで対象外になります。

また、親子や夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外です。同じ実家について相続税の取得費加算の特例とは併用できないため、相続税を払った家庭はどちらが有利かを比べて選びます(取得費加算の期限は相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで)。

この項目のまとめ
  • 相続した実家は親の取得時期を引き継ぐので、多くは長期譲渡所得(20.315%)
  • 空き家3,000万円控除は昭和56年5月31日以前の建築・相続後3年目の年末までの売却などが要件
  • 貸す・住む・親族に売ると特例が使えなくなる

仲介で売れない実家は買取という選択肢

結論

古い実家や遠方の実家は、仲介で買い手を待つ間に特例の期限や維持費が重くのしかかります。価格より期限と手間を優先したいときは買取を比較してください。

旧耐震の古い家、遠方で管理できない家、家財が大量に残った家は、仲介で一般の買主を探すと時間がかかりがちです。空き家のまま持ち続ける間も、固定資産税や管理の手間はかかり続けます(維持費の目安は空き家の管理費用は年間いくら?を参照)。

仲介と買取の違い

仲介は不動産会社が買主を探す方法で、市場の相場に近い価格を目指せます。買取は不動産会社自身が買主になる方法で、買主を探す期間がいらないのが特徴です。一方で、買取価格は一般に仲介で売れる価格より低くなりやすい点は理解しておきます。

買取のメリット

  • 買主探しが不要で、売却時期の見通しが立てやすい
  • 現況のまま引き渡せる条件を相談できる
  • 内覧の対応や買主との個別の交渉が少なくて済む

買取のデメリット

  • 仲介で売るより価格が低くなりやすい
  • 業者によって条件や価格の差が大きい
  • 複数社を比べないと妥当な価格か判断しにくい

買主が取り壊す売り方でも空き家特例が使える

2024年1月1日以後の売却では、売った後に買主が翌年2月15日までに耐震改修か取壊しをした場合も、空き家3,000万円控除の対象になりました。売主が自分で解体費を出さずに、現況のまま売る選択肢が広がっています。

ただし、取壊しや改修が期限までに終わらなければ特例は使えません。契約時に、買主が期限内に工事をすることを確認しておくことが欠かせません。

  1. 査定で価格を知る仲介と買取の両方の価格を並べる
  2. 期限を確認する特例の売却期限と相続登記の期限
  3. 売り方を選ぶ手残り・期間・手間で比べる
  4. 決めずに放置特例の期限切れと維持費の増加
図:実家の売り方を決めるまでの順序
結論

実家の売却で一番の損は、決めないまま期限を過ぎることです。まず現在の価格を知り、仲介と買取の両方で手残りを比べてから売り方を決めてください。

よくある質問

親が認知症になったら、実家は売れなくなりますか?

意思能力がない状態で結んだ契約は無効になるため、親本人が売ることはできなくなります。成年後見人を選任すれば売却できますが、親が住んでいた建物や敷地を売るには家庭裁判所の許可が必要で、許可なく売ると無効になります。

相続登記をしないまま実家を売ることはできますか?

できません。買主へ名義を移す前提として、亡くなった親から相続人への相続登記が必要です。相続登記は相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が義務で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。

売れるまで実家を賃貸に出しても、空き家3,000万円控除は使えますか?

使えません。相続の時から売却までの間に、事業・貸付・居住の用に供されていないことが要件だからです。

特例を使うつもりなら、賃貸に出したり親族が住んだりせず、空き家のまま相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却してください。

兄弟3人で相続した実家を売ると、空き家特例の控除額はいくらですか?

2024年1月1日以後の売却で、その家屋と敷地を相続した相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり最大2,000万円です。相続人が2人以下なら1人あたり最大3,000万円です。売却価格の合計が1億円を超える場合は、特例自体が使えません。

この記事のまとめ

  • 実家売却は、存命中なら親本人、相続後なら相続登記を済ませた相続人が売主
  • 存命中の売却は親の判断能力が前提。施設入所後は3年目の年末までにマイホーム特例を検討
  • 相続後は遺言確認→遺産分割→3年以内の相続登記→売却→確定申告の順に進める
  • 兄弟の共有は売却に全員の同意が必要。売る前提なら換価分割で決めておく
  • 空き家3,000万円控除は相続後3年目の年末まで。貸す・住む・親族に売ると使えない
  • 古い・遠方の実家は、仲介と買取の手残りを並べて売り方を決める

実家をどうするかは、家族の気持ちも絡む難しい判断です。だからこそ、まず現在の価格を知ることから始めてください。数字があれば、兄弟との話し合いも進めやすくなります。

この記事を書いた人

売却ナビット編集部(運営:合同会社GREA)
不動産の一括査定サービス「売却ナビット」を運営。相続・老朽化・投資物件など、売りにくい不動産の売却相談を扱っています。
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル6階/TEL 03-5615-9793(10:00〜18:00 年中無休・年末年始を除く)
記事内の税制・法令に関する記述は、国税庁・法務省・国土交通省などの公表情報をもとに作成しています。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

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