親から受け継いだ家が、何年も空いたままになっていませんか。売ろうと調べ始めると「古い家は壊してから売ったほうがいい」という話と「壊さないほうがいい」という話の両方が出てきます。どちらが正しいのか、迷ってしまう方が多いところです。
先に答えを書きます。迷ったときは、壊さずに売りに出すのが安全です。壊してしまうと元に戻せませんし、かかったお金も戻ってきません。ただし壊したほうが明らかに有利になる場合もあるので、その分かれ目を数字で示します。
この記事を読むとわかること
- 建物を壊さずに売る「古家付き土地」がどういう売り方なのか
- 自分の家の解体にいくらかかるか、国が決めた単価で計算する方法
- 更地にすると土地の税金がどれだけ上がるか、いつから上がるか
- 相続した家で3,000万円の控除を使うための期限と、2024年に変わった点
- 壊してはいけない土地の見分け方と、現況のまま買取に出す流れ
この記事の結論忙しい方はここだけ
- 迷ったら壊さずに売りに出す。同じ値段で売れるなら、解体したぶんだけ手元のお金は減る。
- 解体にいくらかかるかは、国の補助制度で使う単価で概算できる。木造は1平方メートルあたり22,000円、建物の床面積が100平方メートルなら約220万円。
- 建物を壊すと、土地の税金の軽減(200平方メートル以下の部分は6分の1)が外れる。1月1日に建物がなければ、その年度から上がる。
- 相続した空き家の3,000万円の控除は、2024年1月1日以後に売った分なら、売ったあと翌年2月15日までの取り壊しでも使える。先に壊す必要はない。
- 解体費用は売るときの税金の計算で差し引ける。利益が出ていれば、150万円の解体で税金が約30万円減る。
古家付き土地とは?「壊さずに売る」が基本と言われる理由
築何年から「古家」と呼ぶのか、決まった年数の基準はありません。建物に値段をつけず、土地の値段で売り出す形を古家付き土地と呼びます。
不動産の広告で「古家付き土地」と書かれていると、何かわけありの物件のように見えます。しかし中身はシンプルです。土地の上に古い家が残っているけれど、売買の値段は土地の分だけという売り方です。
買った人はその家を使っても壊してもかまいません。売る側は壊す手間とお金をかけずに売りに出せます。中古住宅として売る場合と違い、建物の設備や内装を直す必要もありません。
古い家が残ったままの状態で売り出される土地のことです。値段は土地の分だけで、建物はおまけのような扱いになります。中古車を「車として売る」のではなく「置いてある場所ごと譲る」ような形に近い売り方で、これを不動産の言葉で古家付き土地といいます。
建物の値段をつけずに、土地の値段で売る形
同じ「壊さずに売る」でも、不動産会社との契約では現況渡しという言葉が使われます。今ある状態のまま引き渡すという意味です。家の中の家具やゴミが残っていても、そのまま渡す契約にすることもできます。
反対に、売る側のお金で壊してから引き渡す条件は更地渡しと呼ばれます。どちらにするかは契約の内容で決まるので、売り出す前に決めておく必要があります。条件のちがいは更地渡しとは?解体費用は売主負担でくわしく説明しています。
壊すと元に戻せない。だから順番が大事
解体は一度やってしまうと取り消せません。壊したあとで「古家付きのほうが高く売れたのに」と気づいても、払った解体費用は戻ってきません。
だからこそ、先に壊すのではなくまず古家付きの状態で査定を受けるのが安全です。そのうえで「更地にしたらいくらになるか」も聞けば、差額と解体費用を比べられます。
判断の順番を間違えない
- ①古家付きの状態で査定を受ける → ②更地にした場合の見込み額も聞く → ③解体の見積もりを取る → ④差額と比べて決める
- 先に壊すと、この比較ができなくなる
- 「更地にしないと売れない」と言われたら、その理由を具体的に確認する
古家付き土地の解体費用はいくら?国の単価で自分の家を計算する
「うちの家を壊すといくらかかるのか」が分からないと、判断のしようがありません。国の補助制度で使われる単価を使えば、建物の床面積から自分で概算できます。
解体費用は会社によって見積もりが大きく違います。先に自分で目安を持っておけば、出てきた見積もりが高いのか安いのか判断できます。
国の基準では木造22,000円、非木造31,000円(1平方メートルあたり)
国の空き家対策の補助制度では、補助できる上限を計算するための単価が決められています。国土交通大臣が定める標準除却費のうち除却工事費は、木造で1平方メートルあたり22,000円、木造以外で31,000円です。
この単価は補助できる金額の上限を計算するためのもので、実際の工事費の全国平均ではありません。あくまで「このあたりが一つの目安」という使い方をしてください。実際の見積もりはこれより安いことも高いこともあります。
延床面積から概算する手順
計算は「延床面積 × 単価」だけです。延床面積は、固定資産税の通知書や登記の記録に書かれている床面積の合計です。木造の家なら、この面積に22,000円をかけます。
| 延床面積 | 木造(22,000円) | 非木造(31,000円) |
|---|---|---|
| 60平方メートル | 約132万円 | 約186万円 |
| 80平方メートル | 約176万円 | 約248万円 |
| 100平方メートル | 約220万円 | 約310万円 |
| 120平方メートル | 約264万円 | 約372万円 |
※1平方メートルあたりの単価は、国の補助制度で補助額の上限を計算するときに使われるものです。実際の工事費の平均額ではありません。
延床100平方メートルの木造の家を壊す場合
- 前提:木造・延床100平方メートル・国の単価22,000円で計算
- → 100 × 22,000円 = 約220万円
- → 自治体の補助が「費用の2分の1・上限50万円」なら、使えれば約170万円の負担
補助の上限も条件も自治体ごとに違います。使えるかどうかは、工事を頼む前に市区町村に確認してください。
見積もりが上がる条件と、自治体の補助金
同じ広さでも、工事がしにくい家は費用が上がります。道が狭くて重機が入れない、隣の家との間隔がない、庭木や物置の片付けが多い、といった事情です。アスベストが使われている建物は、取り除く作業の費用が別にかかります。解体工事では、資格を持つ人による事前の調査が法律で義務づけられています。その調査費用が見積もりに入っているかも確認してください。
一方で、多くの市区町村には空き家を壊すときの補助金があります。調べたところ、補助の形は「費用の2分の1・上限50万円前後」が多いという傾向でした。宇都宮市のように上限70万円の例もあります。
補助金は「工事の前」に申し込む
- 先に壊してしまうと対象外になる自治体がある(事前の申請が条件)
- 年度の予算がなくなると受付が終わる。年度の後半は間に合わないことがある
- 世帯の所得に条件を付けている自治体もある
費用が用意できないときの進め方は、空き家の解体費用が払えない場合の売却方法でも整理しています。
- 木造は延床面積 × 22,000円、木造以外は × 31,000円でおおまかな目安が出る
- これは国の補助制度の計算単価で、実際の工事費の平均ではない
- 補助金は工事の前に申請する。予算切れもあるので早めに市区町村へ
更地にすると土地の固定資産税はどれだけ上がる?
「更地にすると税金が上がる」と聞いて不安になっていませんか。土地の税金のもとになる額が、200平方メートル以下の部分では6分の1から元の額に戻ります。
毎年春に届く固定資産税の通知書を見ると、土地の税額が建物の分より安く感じることがあります。これは人が住む建物が建っている土地だけに使える軽減があるからです。
人が住める建物があると、税金のもとになる額が6分の1になる
固定資産税は「課税標準額 × 税率」で計算します。課税標準額とは、税金のもとになる金額のことです。税率は国が示す標準が1.4%です。都市計画税がかかる地域では、上限0.3%の税率が別に加わります。
人が住む建物が建っている土地では、この課税標準額が下がります。200平方メートル以下の部分は固定資産税で6分の1、都市計画税で3分の1になります。200平方メートルを超える部分は、それぞれ3分の1と3分の2です。
人が住む建物が建っている土地の税金を安くする仕組みです。税金を計算するときのもとになる金額そのものを小さくします。買い物の値段を割引するのではなく、値札を書き換えてから計算するようなイメージで、これを住宅用地の特例といいます。
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| 区分 | 面積 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200平方メートル以下の部分 | 評価額の6分の1 | 評価額の3分の1 |
| 一般住宅用地 | 200平方メートルを超える部分 | 評価額の3分の1 | 評価額の3分の2 |
| 更地(住宅なし) | 面積にかかわらず | この軽減は使えない | この軽減は使えない |
※総務省・国土交通省の公表資料による軽減の割合です。実際の税額には急な増加を抑える調整の仕組みがあり、上がり方がゆるやかになる場合があります。
1月1日に建物がなければ、その年度から上がる
固定資産税は1月1日の状態で決まります。この日に建物が残っていれば、その年度は軽減が続きます。逆にこの日より前に壊してしまうと、その年度から軽減が外れます。
つまり年末に壊すか、年明けに壊すかで1年分の差が出ることになります。急いで売る必要がないなら、解体の時期は考える価値があります。
- 2026年11月に解体この時点では2026年度の税額は変わらない
- 2027年1月1日この日に建物がない状態で判定される
- 2027年度の固定資産税住宅用地の特例が外れた税額になる
金額でどれくらい違うのか
割合の話だけではイメージしにくいので、金額に置き換えます。前提をそろえて計算すると、年間の差がはっきり見えます。
土地の評価額1,200万円・面積180平方メートルの場合
- 前提:200平方メートル以下なので6分の1の対象。固定資産税の税率1.4%で計算
- → 建物がある年度:1,200万円 ÷ 6 = 200万円 × 1.4% = 年 約2.8万円
- → 建物がない年度:1,200万円 × 1.4% = 年 約16.8万円
- → 差は年 約14万円
都市計画税がかかる地域では、この差がさらに広がります。実際には急な増加を抑える調整の仕組みがあり、計算どおりに一度で上がらない場合もあります。
なお、長く放置して管理が行き届かない空き家は、建物があっても軽減が外されることがあります。その仕組みは特定空き家・管理不全空き家の固定資産税6倍とはで説明しています。
制度の根拠は総務省の固定資産税の概要と、国土交通省の土地の保有に係る税制で確認できます。
- 200平方メートル以下の部分は、建物があれば課税のもとになる額が6分の1
- 更地にするとこの軽減は使えない。1月1日の状態で判定される
- 評価額1,200万円・180平方メートルなら、年 約14万円の差になる計算
相続した古家付き土地は要注意|3,000万円の控除が使えるかで大きく変わる
相続した家を売るなら、税金が3,000万円分かからなくなる制度を使えるかが最大の分かれ目です。2024年からは、売る前に自分で壊しておく必要はなくなりました。
相続した空き家を売ったときに使える制度があります。条件に合えば、売って出た利益から最大3,000万円を差し引けます。相続した人が3人以上いる場合は2,000万円までです。
昭和56年5月31日以前の家は「地震に強くするか、壊すか」が条件
この制度は古い建物を対象にしています。昭和56年5月31日以前に建てられた家であることが条件の一つです。分譲マンションなど区分登記された建物は対象外です。
そのうえで、建物については二択になります。今の地震の基準に合うように直してから売るか、壊して土地だけを売るかのどちらかです。古い家をそのまま売ったのでは、この制度は使えません。
ほかにも条件があります。亡くなった方が一人で住んでいた家であること、売った値段が1億円以下であること、家と土地の両方を相続していることなどです。要件の全体像は相続空き家の3,000万円特別控除とはにまとめています。
2024年からは、売ったあとの取り壊しでも使える
ここが多くの記事で古い情報のまま書かれている点です。以前は、売るときまでに取り壊しや耐震の工事を終えている必要がありました。
2024年1月1日以後に売った分については、売ったあと、売った年の翌年2月15日までに取り壊しや耐震の工事をすれば対象になります。つまり買った人が壊す段取りでも間に合います。売る側が先に150万円も200万円も出して壊す必要はありません。
「3,000万円の控除を使うために更地にしないといけない」というのは、2023年までの話です。今は古家付きのまま売り、取り壊しの時期を契約で決める形でも使えます。壊す前に、まずこの制度が使えるかを確かめてください。
期限内に取り壊しが終わったことを示す書類(登記が閉鎖されたことの証明など)が必要になります。買った人が壊す場合は、いつまでに壊すかを契約書に書いておかないと、期限に間に合わない恐れがあります。
期限は2つある。どちらか早い日までに売る
この制度には期限が二重にあります。一つは相続してからの期限、もう一つは制度そのものの期限です。どちらか早い日までに売る必要があります。
相続してからの期限は、相続が始まった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までです。制度そのものは2027年12月31日までの売却が対象とされています。
たとえば2025年に相続した場合、相続からの期限は2028年12月31日です。しかし制度の期限が2027年12月31日なので、こちらが締め切りになります。相続の時期によって、使える期間が思ったより短いことがあります。
制度の内容は国税庁の被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例と、国土交通省の空き家の発生を抑制するための特例措置で確認できます。
- 昭和56年5月31日以前の家が対象。売った値段は1億円以下まで
- 2024年1月1日以後の売却なら、売った年の翌年2月15日までの取り壊しでよい
- 相続から3年を経過する日の属する年の12月31日と、2027年12月31日のうち早い日が締め切り
その古家付き土地、壊さないままでいくらになるか知っていますか?
持ち続けるか、手放すか。判断の前提になるのは「現在の価格」です。
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解体費用は税金の計算で差し引ける|手元に残る額を比べる
150万円もかけて壊したのに、そのお金は丸損になるのでしょうか。売って利益が出ていれば、解体費用は税金の計算で差し引けます。
土地や建物を売ると、売って出た利益に税金がかかります。この利益は「売った値段」から「買ったときの値段」と「売るためにかかった費用」を引いて計算します。
売って出た利益のことを譲渡所得といいます。給料から必要な経費を引いた残りが手取りになるのと同じ考え方です。売値から「買ったときの値段」と「売るためにかかった費用」を引いた残りに税金がかかります。この「買ったときの値段」を取得費、「売るためにかかった費用」を譲渡費用といいます。
売るために壊した費用は「譲渡費用」になる
国税庁は譲渡費用に入るものを示しています。そのなかに「土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額」が挙げられています。
つまり土地を売るために家を壊した場合、その費用は税金の計算で差し引けます。ただし売るための取り壊しであることが前提です。売る予定もなく壊した費用は対象になりません。
詳しい内容は国税庁の譲渡費用となるもので確認できます。
150万円の解体で、税金はいくら減るのか
税率は売った年の1月1日の時点で、持っていた期間が5年を超えるかどうかで変わります。5年を超えていれば所得税15%と住民税5%、5年以下なら所得税30%と住民税9%です。
これに復興特別所得税という上乗せ分(所得税額の2.1%)が加わります。合わせると5年超で20.315%、5年以下で39.63%です。相続した土地は、亡くなった方が買った日から数えるので、多くの場合5年超になります。
相続した土地を1,500万円で売り、150万円で解体した場合
- 前提:親が買ったときの値段がわからないため、取得費は売った金額の5%の75万円で計算。所有期間は5年超で税率20.315%
- → 壊さずに売った場合の利益:1,500万円 − 75万円 = 1,425万円
- → 壊して売った場合の利益:1,500万円 − 75万円 − 150万円 = 1,275万円
- → 税金の差:150万円 × 20.315% = 約30万円
買ったときの値段がわからない場合は、売った金額の5%を取得費として計算できます。なお3,000万円の控除が使える場合は、この利益から3,000万円を引けるため税金がゼロになり、解体費用による差も出ません。
同じ値段で売れるなら、壊すと手残りは減る
ここが判断の核心です。解体費用は税金で一部戻ってきますが、全額は戻りません。同じ値段で売れるなら、壊した側のほうが手元に残るお金は少なくなります。
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| 項目 | 古家付きのまま売る | 解体して更地で売る |
|---|---|---|
| 売れた値段(前提) | 1,500万円 | 1,500万円 |
| 自分が払う解体費用 | 0円 | 150万円 |
| 税金が減る額(20.315%) | 0円 | 約30万円 |
| 解体による実質の負担 | 0円 | 約120万円 |
| 判断の目安 | そのまま売る | 約120万円以上高く売れるなら得 |
※同じ値段で売れたと仮定した場合の比較です。税率20.315%、解体費用150万円で計算しています。
言い換えると、更地にして約120万円以上高く売れる見込みがあるかどうかが判断の基準になります。これは不動産会社に「古家付きならいくら、更地ならいくら」と両方聞けば確かめられます。
売って利益が出ていない場合、解体費用を差し引いても税金は減りません。買ったときの値段より安く売る場合や、3,000万円の控除で税金がゼロになる場合は、解体費用がそのまま負担になります。
- 売るために壊した費用は、取壊し費用も建物の損失額も譲渡費用になる
- 税率は5年超で20.315%、5年以下で39.63%
- 解体費用150万円のうち税金で戻るのは約30万円。実質の負担は約120万円
壊してはいけない古家付き土地もある|確認すべき3点
壊したら家が建てられない土地になってしまう、という事態が実際にあります。道路との接し方を先に確認してください。
解体の見積もりを取る前に確かめておきたいことが3つあります。道路との接し方、売ったあとの責任、そして壊したあとの手続きです。
道路に2メートル接していないと、建て替えできない
建築基準法では、建物の敷地は道路に2メートル以上接していなければならないと定められています。これを満たさない土地では、新しく建物を建てる許可が下りません。
古い家は、このルールができる前から建っていることがあります。今ある家は残せても、壊すと建て替えられなくなる土地です。この状態で更地にすると、買い手が住宅を建てられず、かえって売りにくくなります。
敷地が道路に2メートル以上つながっていないといけないというルールです。火事や救急のときに消防車や救急車が入れるようにするためのもので、これを接道義務といいます。幅の狭い私道の奥にある土地や、他人の土地を通らないと出られない土地では満たしていないことがあります。
自分の土地が当てはまるかは、市区町村の建築を担当する窓口で確認できます。該当する場合の売り方は再建築不可物件の売却方法で説明しています。条文の内容は東京都都市整備局の建築基準法第43条の解説でも読めます。
古家付きで売るときの「売ったあとの責任」
家を残して売ると、引き渡したあとに雨漏りやシロアリが見つかることがあります。このとき売った側は、原則として責任を負います。買った人は修理を求めたり、代金を下げるよう求めたりできます。この責任を契約不適合責任といいます。
ただし古い建物では、「この建物について責任を負わない」という特約を契約書に入れて売るのが一般的です。古家付き土地として土地の値段だけで売る場合は、特にこの形が多く使われます。
民法の改正でこの仕組みが整理された経緯は、国土交通省の住宅業界に関連する民法改正の主要ポイントにまとめられています。責任の範囲と特約の注意点は契約不適合責任とは?古い家の売主の責任でくわしく扱っています。
壊したら1か月以内に登記の手続きが必要
建物を壊したら、登記の記録から消す手続きがあります。建物がなくなった日から1か月以内に申請することが不動産登記法で決められています。この手続きを建物滅失登記といいます。
放っておくと、建っていない建物に税金がかかり続けたり、土地の売買のときに手間が増えたりします。解体業者が代わりに手続きしてくれる場合もあるので、見積もりの段階で聞いておくと安心です。
また、相続した土地は名義を自分に変えないと売れません。相続登記の申請は、取得を知った日から3年以内が義務とされています。手続きは法務省の相続登記の申請義務化についてと、相続登記の義務化とはで確認してください。
- 敷地が道路に2メートル以上接しているかを市区町村の窓口で確認した
- 古家付きのまま売る場合、建物の責任を負わない特約を入れられるか不動産会社に確認した
- 相続した土地なら、名義を自分に変える相続登記が終わっている
- 解体する場合、建物滅失登記を誰が申請するか決めている
- 自治体の補助金の条件と受付状況を調べた
- 古家付きと更地の両方の見込み額を、不動産会社から聞いた
古家付き土地を売る3つの方法|仲介・買取・更地にして売る
結局どの売り方が自分に合っているのか、迷うところです。手間とお金を最小にしたいなら、現況のまま買取に出すのが近道になります。
売り方は大きく3つあります。それぞれ、手に入る金額と手間、かかる期間が違います。
古家付きのまま仲介で売る
不動産会社に買い手を探してもらう方法です。うまくいけば一番高く売れます。一方で、買い手が見つかるまで待つ必要があり、その間も固定資産税と管理の手間はかかり続けます。
建物が傷んでいると、見学に来た人の印象が悪くなることがあります。室内の片付けをするだけで反応が変わる場合もあるので、売り出す前に相談してみてください。
現況のまま買取に出す
不動産会社や買取業者が直接買い取る方法です。買い手を探す期間がないので、早く決まります。片付けや解体を自分でしなくてよい条件にできることも多いです。
メリット
- 解体費用を自分で出さずに手放せる
- 買い手を探す期間がなく、早く決まる
- 建物の責任を負わない条件にしやすい
- 残っている家具やゴミもそのままで相談できる
デメリット
- 仲介で時間をかけて売るより安くなりやすい
- 会社によって提示額の差が大きい
- 土地の条件によっては買い取れない場合もある
- 査定を申し込む建物の状態と土地の情報を伝える
- 現地を見てもらう解体の見込みや残置物も合わせて確認
- 条件を比べる金額・引渡し時期・責任の特約を複数社で比較
- 契約と引渡し現況のまま引き渡して完了
自分で壊して更地で売る
解体して土地だけにしてから売る方法です。買い手は建てる計画を立てやすく、検討されやすくなります。前の項目で見たとおり、約120万円以上高く売れる見込みがあるなら選ぶ価値があります。
ただし売れるまでの間、住宅用地の特例が外れた固定資産税を払い続けることになります。売れる確信がないうちに壊すのは避けたほうが安全です。
3つの売り方の選び分け
- 時間をかけてよく、建物もそれなりに使える → 古家付きのまま仲介
- 費用も手間もかけたくない、早く終わらせたい → 現況のまま買取
- 更地にすれば確実に大きく高く売れると言われている → 解体して更地
よくある質問
古家付き土地は、解体しないと3,000万円の控除は使えませんか?
2024年1月1日以後に売った分は、売ったあと翌年2月15日までに取り壊せば対象になります。売る前に自分で解体しておく必要はありません。ただし昭和56年5月31日以前に建てられた家であることなど、ほかの条件も満たす必要があります。
古家を解体すると、土地の固定資産税はいつから上がりますか?
1月1日の時点で建物がなければ、その年度から住宅用地の特例が外れます。たとえば2026年中に解体すると、2027年度の固定資産税から上がります。年明けまで解体を待てば、1年分の差を抑えられる場合があります。
解体費用は売るときの税金で差し引けますか?
土地を売るために建物を取り壊したときは、取壊し費用とその建物の損失額を譲渡費用として差し引けます。ただし売って利益が出ていなければ、差し引いても税金は減りません。利益が出る見込みがあるかを先に確認してください。
古家付きのまま売ると、あとで家の不具合の責任を問われますか?
原則として売主が責任を負います。ただし古い建物では、責任を負わない特約を契約書に入れて売るのが一般的です。
買取業者に売る場合は、今ある状態のままで責任を外す条件にできることが多いので、契約前に確認してください。
この記事のまとめ
- 古家付き土地は、建物に値段をつけず土地の値段で売る形。壊すと元に戻せないので、先に査定を受ける
- 解体費用の目安は、木造なら延床面積 × 22,000円。延床100平方メートルで約220万円
- 更地にすると住宅用地の特例が外れる。200平方メートル以下の部分は課税のもとになる額が6倍になる
- 相続した空き家の3,000万円の控除は、2024年1月1日以後の売却なら翌年2月15日までの取り壊しでよい
- 解体費用150万円のうち税金で戻るのは約30万円。約120万円以上高く売れないなら壊す意味は薄い
- 道路に2メートル接していない土地は、壊すと建て替えできなくなる。先に窓口で確認する
判断の分かれ目は「更地にしていくら高く売れるか」です。まず古家付きの状態で現在の価格を知ることから始めてください。