投資用のワンルームマンションを手放そうと査定を取ってみたら、購入額を大きく下回る数字が出てきた。あるいは、そもそも自分の部屋がいくらで売れるのか見当もつかない。そんな状態で止まっている方は少なくありません。
結論から言うと、投資用ワンルームの価格は部屋の広さや築年数で決まるのではなく、その部屋が年間いくら稼いでいるかから逆算されます。計算式そのものは単純なので、自分で概算を出してから査定を取ることができます。
この記事では価格の計算方法と相場の調べ方、そして売却代金から費用・税金・ローン残債を引いた「手元に残る額」の出し方までを、国税庁と国土交通省の公表情報をもとに整理します。
この記事を読むとわかること
- ワンルームの売却価格を家賃から逆算する計算式
- 国の無料サイトで実際の成約価格を調べる手順
- 仲介手数料・印紙税・譲渡所得税を引いた手残りの計算例
- 売却益が出ていなくても税金がかかる理由と、5年の判定日
この記事の結論忙しい方はここだけ
- 投資用ワンルームの価格の軸は「年間の純収益 ÷ 買主が求める利回り」。年間純収益66万円なら、利回り5%で約1,320万円、7%で約943万円と、利回り2ポイントの差で約380万円動きます。
- 実際の成約価格は国土交通省の不動産情報ライブラリで無料で調べられます。中古マンション等はレインズの成約価格が町字単位で公開されており、直近5年分が見られます。
- 売却時の費用は仲介手数料(400万円超の部分は3%+消費税)・印紙税・抵当権抹消の登録免許税が中心。印紙税は記載金額1,000万円超5,000万円以下で1万円、抵当権抹消は不動産1個につき1,000円です。
- 建物の取得費は減価償却費を差し引いた後の金額になるため、購入額より安く売っても税金が出ることがあります。1,500万円で買って1,400万円で売った例では約27万円の所得税・住民税がかかります。
- 税率は譲渡した年の1月1日時点で所有5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%。判定日が「売った日」ではない点が落とし穴です。
ワンルームマンションの売却価格はどう決まるのか
投資用ワンルームの売却価格は、部屋の広さや築年数ではなく年間の純収益を買主が求める利回りで割った額が軸になります。買主が投資家なので、「この部屋が毎年いくら生むか」が値段そのものになるためです。
自宅用のマンションを売るときは、同じマンションや近隣の似た部屋がいくらで売れたかを基準に価格を決めます。ところがワンルームの買主は、そこに住む人ではなく家賃収入を目的とする投資家です。
そのため価格の根拠も「似た部屋の値段」から「この部屋の収益力」へ移ります。この考え方は国土交通省が定める不動産鑑定評価基準の収益還元法として体系化されています。
不動産から生じる収益を一定の利回りで割り戻して価格を求める方法です。国土交通省の不動産鑑定評価基準では、一期間の純収益を還元利回りで割る「直接還元法」と、将来の収益を現在価値に割り引く「DCF法」の2つで構成されるとされています。
価格は「年間の純収益 ÷ 利回り」で逆算される
直接還元法の基本式は、不動産鑑定評価基準に「収益価格=一期間の純収益 ÷ 還元利回り」と明記されています。ワンルーム1戸に当てはめると、年間の家賃収入から管理費・修繕積立金・管理委託料などを引いた純収益を、利回りで割るだけです。
ここで使う純収益は、家賃の総額ではなく経費を引いた後の金額です。管理費と修繕積立金は毎月必ず出ていくので、これを引き忘れると価格を高く見積もりすぎます。
家賃7万円のワンルームの収益価格を出してみる
- 月額家賃7万円 → 年間家賃収入 84万円
- 管理費・修繕積立金 月1万円+管理委託料 月5,000円 → 年間18万円
- → 年間の純収益は 66万円(84万円 − 18万円)
- → 買主が利回り5%を求めるなら 66万円 ÷ 0.05 = 約1,320万円
固定資産税や将来の空室リスクを織り込むと、実際の提示額はこれより下がります。あくまで価格の「上限側の目安」として使ってください。
同じ家賃でも、求める利回りで価格は数百万円変わる
同じ純収益でも、買主がどれだけの利回りを求めるかで価格は大きく動きます。都心の駅近で空室リスクが低ければ低い利回りでも買い手が付き、地方や築古で空室が読めない物件では高い利回りを求められます。
先ほどの年間純収益66万円の部屋で試算すると、利回りが5%から7%に上がるだけで価格は約380万円下がります。立地と入居状況が価格に効くのは、この利回りを通して効いているからです。
| 買主が求める利回り | 収益価格 | 想定される物件像の例 |
|---|---|---|
| 4% | 約1,650万円 | 都心・駅近・満室 |
| 5% | 約1,320万円 | 都市部・入居安定 |
| 7% | 約943万円 | 郊外・築年数が進む |
| 9% | 約733万円 | 地方・空室リスク大 |
※年間の純収益を66万円として、直接還元法の基本式で機械的に割った金額です。物件像の欄は利回り差のイメージをつかむための例示で、実際の取引価格と求められる利回りは個別事情で変わります。
居住用マンションとは価格の決まり方が違う
居住用マンションは「住みたい人がいくら出すか」で値段が付くので、内装のきれいさや日当たり、学区といった住み心地が効きます。投資用ワンルームでは、こうした要素は家賃に反映される範囲でしか価格に効きません。
逆に言えば、空室のワンルームは収益の実績がないため値が付きにくくなります。室内がきれいでも、家賃がいくら取れるかの裏づけがないと買主が利回りを計算できないからです。
| 比較する点 | 居住用マンション | 投資用ワンルーム |
|---|---|---|
| 買主 | そこに住む人 | 家賃収入を得る投資家 |
| 価格の根拠 | 近隣の成約事例 | 家賃からの逆算 |
| 空室の影響 | 内覧しやすく有利 | 収益の裏づけがなく不利 |
| リフォームの効果 | 価格に反映されやすい | 家賃を上げられた分だけ |
査定を取る前に手元に揃えておく数字
- 現在の月額家賃と、入居中か空室か
- 毎月の管理費・修繕積立金・管理委託料
- 年間の固定資産税・都市計画税
- 住宅ローンまたは不動産投資ローンの残債額
- 投資用ワンルームの価格の軸は「年間の純収益 ÷ 買主が求める利回り」
- 純収益は家賃の総額ではなく、管理費などを引いた後の金額を使う
- 利回り2ポイントの差で価格は数百万円動くので、立地と入居状況が効く
新築で買ったワンルームが大きく下がるのはなぜか
新築時の販売価格には広告費や販売手数料といった売主側の経費が含まれているため、家賃から逆算した収益価格とは最初から一致しません。売却時はその収益価格のほうで評価されます。
「新築ワンルームを2,000万円で買ったのに、数年後の査定が1,300万円だった」という落差は、物件が傷んだからではなく価格の決まり方が切り替わったことで生まれます。
新築価格には販売の経費が乗っている
新築の分譲価格は、土地の仕入れ・建築費に加えて、広告宣伝費や販売会社の利益、販売員の人件費などを積み上げて決まります。買った瞬間からこれらは物件の収益力には乗らないため、中古として市場に出た時点で評価の土台が変わります。
つまり新築と中古の価格差は値下がりではなく、評価方法の切り替えと考えたほうが実態に近いです。この構造を知らずに「購入額の9割なら売れるはず」と考えると、査定額との開きに驚くことになります。
- 新築時の分譲価格建築費+土地+販売経費+利益を積み上げて決まる
- 引き渡し・賃貸開始この時点で販売経費は物件の収益力に乗らなくなる
- 中古として査定家賃からの逆算(収益価格)で評価される
価格指数は上がっているのに自分の部屋が下がる理由
国土交通省が公表している不動産価格指数では、マンション(区分所有)の指数は上昇傾向が続いています。令和7年11月分の公表値ではマンション(区分所有)は223.5で、2010年平均を100とした水準です。
ただしこれは全国の平均であり、新築分譲の多い都心部の値動きに引っ張られます。全国の指数が上がっていても、個別の部屋の価格は家賃と利回りで決まります。指数の上昇を自分の部屋の値上がりとして期待しないことが大切です。
最新の数値は国土交通省の不動産価格指数の報道発表で毎月確認できます。
家賃が下がると価格も連動して下がる
価格が純収益の割り算で決まるということは、家賃が下がれば価格もそのまま下がるという意味です。月7万円の家賃が6万円になれば、年間の純収益は66万円から54万円へ、利回り5%での収益価格は1,320万円から1,080万円へ落ちます。
サブリース(家賃保証)契約が付いている物件では、保証賃料が周辺相場より低く設定されていることがあり、その低い賃料で収益価格を計算されます。契約内容によって価格が変わるため、サブリース投資マンションの売却も合わせて確認してください。
自分のワンルームの相場を調べる3つの方法
実際に成約した価格は国のサイトで無料で調べられます。国土交通省の不動産情報ライブラリでレインズの成約価格を確認し、家賃からの逆算で検算すれば、査定額が妥当かを自分で判断できます。
査定を取る前に自分で相場をつかんでおくと、極端に低い提示や、売れる見込みのない高値の提示を見分けられます。手順は3つです。
国の「不動産情報ライブラリ」で成約価格を見る
国土交通省の不動産情報ライブラリでは、実際の取引価格と成約価格を無料で検索できます。成約価格は指定流通機構(レインズ)が持つ情報を、個別の取引が特定されないよう加工して公表したものです。
検索できるのは「土地と建物(戸建て)」と「中古マンション等」で、ワンルームは中古マンション等に含まれます。地図画面で表示できるのは直近5年分、更新は四半期ごとです。
- 検索画面を開くトップから「不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード」に進む
- エリアと種類を指定する住所または路線・駅名で絞り、種類は「中古マンション等」を選ぶ
- 価格情報区分を選ぶ「成約価格情報」を選べばレインズ由来の成約データが出る
- 面積と築年で絞り込む自分の部屋に近い専有面積・築年のものだけを拾って平均を取る
所在地は町字単位までの表示なので、同じ駅の似た広さ・似た築年の部屋をまとめて見ることになります。それでも「この駅のワンルームは1,000万円台前半で動いている」程度の肌感覚はつかめます。
家賃から自分で逆算して検算する
成約価格の水準が分かったら、前の章の計算式で自分の部屋の収益価格も出しておきます。2つの数字が大きく離れている場合は理由を確かめる価値があります。
成約価格の水準より自分の逆算値が低いなら、家賃が相場より安い、管理費が高い、といった改善できる要素があるかもしれません。逆に逆算値のほうが高いなら、空室リスクや管理状態が割り引かれている可能性があります。
逆算値と成約価格を突き合わせる
- 自分の部屋:年間純収益66万円 → 利回り5%なら約1,320万円
- 同じ駅・同じ広さの成約価格:950万円前後
- → 市場は 利回り7%前後(66万円 ÷ 950万円 ≒ 6.9%)を求めている
この場合、1,320万円での売却は現実的ではありません。950万円を軸に、手残りがいくらになるかを計算していくのが次の段階です。
査定額と「実際に売れる値段」は別物
査定額は不動産会社が「この価格なら売れるだろう」と見込んだ金額で、その値段で買う人がいることを保証するものではありません。媒介契約を取りたい会社が高めの数字を出すこともあります。
一方で買取の提示額は、その会社自身が買う金額なのでそのまま成立します。この違いを踏まえて、次のような点を確認してください。
- 査定額の根拠として、成約事例と想定利回りが示されているか
- 想定家賃が現在の家賃と一致しているか(高めに置かれていないか)
- その価格で売れなかった場合、いつ・いくらまで下げる前提か
- 仲介の査定額なのか、買取の提示額なのかが明示されているか
そのワンルーム、今いくらで売れるか知っていますか?
持ち続けるか、手放すか。判断の前提になるのは「現在の価格」です。
売却するか決めていなくても大丈夫です。
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売却して手元にいくら残るのか
手残りは売却価格から譲渡費用・譲渡所得税・ローン残債を引いた額です。費用の内訳は仲介手数料・印紙税・抵当権抹消の登録免許税が中心で、どれも計算式が公表されているため事前に計算できます。
売却価格がそのまま入ってくるわけではありません。先に出ていく費用と税金を把握しておかないと、ローンを返した後に手元が足りない事態になります。
売却でかかる費用の内訳
仲介手数料の上限は国土交通省の告示で決まっており、代金を区分して料率を掛けた額の合計が限度です。区分は200万円以下が5%、200万円超400万円以下が4%、400万円超が3%で、この代金には消費税相当額を含みません。
この上限は当然に請求できる金額ではなく、依頼者との協議で決める事項とされています。国土交通省の資料でも、媒介契約の締結に際してあらかじめ報酬額を説明し合意する必要があると明記されています。
横にスクロールできます
| 費用 | 金額の決まり方 | 1,400万円で売った場合 | 支払うタイミング |
|---|---|---|---|
| 仲介手数料 | 400万円超の部分は3%(上限・消費税別) | 48万円+消費税=52.8万円 | 契約時・引渡時に分割が多い |
| 印紙税 | 契約書の記載金額ごとの定額(軽減措置あり) | 1万円 | 売買契約の締結時 |
| 抵当権抹消の登録免許税 | 不動産1個につき1,000円 | 2,000円(建物+敷地権) | 引渡し・決済時 |
| 譲渡所得税・住民税 | 譲渡所得×20.315%または39.63% | 約27.7万円(長期の場合) | 翌年の確定申告 |
※印紙税は記載金額1,000万円超5,000万円以下の軽減後の税額です。軽減措置は令和9年3月31日までに作成される契約書が対象です。司法書士報酬やローン一括返済の事務手数料は別にかかります。
印紙税は国税庁のタックスアンサーNo.7108のとおり軽減措置が設けられており、記載金額1,000万円超5,000万円以下なら本則2万円が1万円になります。抵当権抹消の登録免許税は、法務局の案内で不動産の個数1個につき1,000円とされ、敷地権付きの区分建物では敷地1つにつき1,000円が加わります。
譲渡所得税は「減価償却後の取得費」で決まる
譲渡所得は「譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)」で計算します。ここで見落としやすいのが取得費の扱いです。国税庁のNo.3261 建物の取得費の計算によると、建物の取得費は取得価額から減価償却費相当額を差し引いた金額になります。
賃貸に出していた事業用の建物では、毎年の減価償却費の合計額がそのまま取得費から引かれます。つまり長く持つほど帳簿上の建物価値は減り、売却益が出やすくなる構造です。
建物の価値が年々減っていくものとして、取得費から差し引く金額です。鉄筋コンクリート造で住宅用の建物の法定耐用年数は47年、定額法の償却率は0.022と定められています。
11年保有した鉄筋コンクリート造ワンルームの取得費
- 購入時:建物1,200万円+土地300万円=1,500万円
- 減価償却費:1,200万円 × 0.022 = 年26.4万円
- 11年分の累計 = 290.4万円
- → 建物の取得費は 1,200万円 − 290.4万円 = 909.6万円
- → 土地と合わせた取得費は 1,209.6万円
購入額は1,500万円でも、売却時に差し引ける取得費は1,209.6万円まで減っています。
購入時の売買契約書が見つからないと、取得費は売却価格の5%しか認められない概算取得費になります。1,400万円で売ったなら取得費70万円という扱いです。詳しくは投資用マンションの取得費がわからないときの対処を確認してください。
手残りまで通した計算例
前の例の物件を1,400万円で売り、ローン残債が900万円あるケースで、手元に残る額まで通して計算します。取得から11年経っているので長期譲渡所得です。
1,500万円で買ったワンルームを1,400万円で売ったときの手残り
- 譲渡価額 1,400万円
- 取得費 1,209.6万円(減価償却後)
- 譲渡費用 54万円(仲介手数料52.8万円+印紙税1万円+抵当権抹消0.2万円)
- → 譲渡所得 = 1,400 − 1,209.6 − 54 = 136.4万円
- → 税額 = 136.4万円 × 20.315% ≒ 約27.7万円
- → 手残り = 1,400 − 54 − 27.7 − 900(残債)= 約418万円
購入額より100万円安く売っているのに、約27.7万円の所得税・住民税がかかります。
投資用ワンルームでは「買った値段より安く売る」ことと「税金がかからない」ことは別です。減価償却で取得費が目減りしているため、値下がりしていても課税されることがあります。手残りを知るには、必ず減価償却後の取得費で計算してください。
売却損が出るケースの税金の扱いは、ワンルーム投資の損切り売却で詳しく整理しています。
いつ売るのが得か(5年ルールと持ち続けるコスト)
税率の分かれ目は譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかです。5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%と、ほぼ2倍の差がつきます。
売る時期の判断には税率と、持ち続けることで増えていくコストの両面があります。順に見ていきます。
分かれ目は「譲渡した年の1月1日時点で5年超」
国税庁のNo.1440 譲渡所得によると、長期・短期の判定は売った日ではなく売った年の1月1日現在の所有期間で行います。5年を超えていれば長期、5年以下なら短期です。
この判定日のずれが落とし穴になります。たとえば令和8年中に売る場合、取得が令和2年12月31日以前なら長期、令和3年1月1日以後なら短期です。実際の保有が5年を少し超えていても短期とされる期間が生まれます。
| 区分 | 判定 | 税率(合計) |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日時点で5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日時点で5年超 | 20.315% |
※所得税・復興特別所得税・住民税の合計です。土地建物の譲渡所得は給与などと合算せず分離して計算します。
- 令和2年12月に取得令和8年1月1日時点で所有5年超 → 長期(20.315%)
- 令和3年1月に取得令和8年1月1日時点で所有5年以下 → 短期(39.63%)
- 令和9年1月1日を過ぎる令和3年取得の物件もここで長期になる
なお相続や贈与で取得した場合は、所有期間を被相続人や贈与者が取得した時点から数えます。判定日の数え方は短期譲渡所得は何年まで?で詳しく解説しています。
持ち続けるほど取得費が減り、税金は増えていく
短期から長期に切り替わるのを待つ判断は合理的です。ただし待っている間も減価償却は進み、取得費は毎年減っていきます。先の例では年26.4万円ずつ取得費が目減りしていました。
同じ値段で売れたとしても、2年待てば譲渡所得は約53万円増え、長期税率でも約11万円の増税になります。税率が半分になる効果と、取得費が減る効果を両方見て判断する必要があります。
売る時期を判断するときに比べる2つの数字
- 短期39.63%で今売った場合の税額
- 長期20.315%になるまで待ち、その間に減った取得費で計算した税額
- 待つ期間の収支(家賃収入 − ローン返済 − 管理費・修繕積立金・固定資産税)
ローンの元金返済額が減価償却費を上回ると、帳簿が黒字でも現金が残らなくなります。この状態はデッドクロスと呼ばれ、売却時期を考えるうえで重要な目安です。
築年数が進むと買主のローンが付きにくくなる
買主の多くは投資用ローンを使って購入します。築年数が進むと融資期間が短くなり、同じ家賃でも返済額が増えて買える人が減ります。買い手が減れば、求められる利回りは上がり、価格は下がります。
修繕積立金の値上げも価格に直接効きます。管理費や修繕積立金が上がれば純収益が減り、収益価格もその分下がるためです。値上げへの対応は修繕積立金が値上げされたときを参照してください。
値段が付かない・売れないときの選択肢
仲介で買い手が見つからないときは買取という出口があります。買取は不動産会社自身が買うので、値段が付くかどうかを先に確定できます。価格は仲介より低くなる前提で比較してください。
売れない状態が続くと、その間も管理費・修繕積立金・固定資産税は出ていきます。止めるには、仲介で粘るか別の出口に切り替えるかの判断が必要です。
仲介で売れない典型的な3パターン
ワンルームが仲介で売れないとき、理由はおおむね次のどれかに当てはまります。いずれも価格の問題ではなく、買主が利回りを計算できない状態になっていることが多いです。
- 空室が続き、いくらで貸せるかの裏づけがない
- ローン残債が収益価格を上回っていて、売っても抵当権を外せない
- サブリース契約が付いており、保証賃料が相場より低い
- 管理費・修繕積立金の値上げや滞納があり、純収益が読めない
- 築年数が進み、買主側の融資が付きにくい
空室が原因の場合の進め方は空室の投資用マンションが売れないときに、残債が上回る場合はオーバーローンでの売却にまとめています。
買取にすると何が変わるのか
仲介は買主を探す仕組みで、買取は不動産会社が直接買う仕組みです。入居者がいる状態でも、空室でも、会社が自社の基準で判断するため、買い手探しの期間がなくなります。
メリット
- 買い手を探す期間がなく、金額と時期を先に確定できる
- 空室やサブリース付きでも検討の対象になる
- 内覧対応や入居者への告知の負担が軽い
- 持ち続ける間の管理費・固定資産税を止められる
デメリット
- 価格は仲介で売れた場合より低くなるのが前提
- 会社ごとに買取基準が違い、提示額の差が大きい
- 買取不可と判断される物件もある
どちらが有利かは、仲介で売れるまでの期間に出ていく費用と、買取との価格差を比べて決まります。1社の提示額だけでは差が大きいかどうか判断できないため、複数社の見解を並べて比べるのが確実です。
売却損が出たときの確定申告の扱い
国税庁のNo.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合によると、土地建物の譲渡損失は給与所得や事業所得と損益通算できません。控除しきれない赤字はなかったものとみなされます。
ただし同じ年に別の土地建物を売って利益が出ている場合は、その譲渡所得と相殺できます。複数戸を持っていて1戸を損切りするなら、売る年をそろえる判断に意味があります。
繰越控除ができるのは居住用財産の特例に限られ、投資用ワンルームは対象外です。確定申告の期間は原則として翌年2月16日から3月15日までで、還付申告は2月16日より前でも提出できます。
- 売れない原因は価格より「買主が利回りを計算できない状態」にあることが多い
- 買取は価格が下がる前提だが、金額と時期を先に確定できる
- 売却損は給与と損益通算できないが、同年の他の不動産の譲渡益とは相殺できる
よくある質問
ワンルームマンションは買った値段より安くしか売れないのですか?
投資用ワンルームの価格は年間の純収益を買主が求める利回りで割った額が軸になるため、購入額より低い査定が出ることは珍しくありません。特に新築時の価格には販売会社の経費が含まれており、家賃からの逆算額とは一致しません。
一方で国土交通省の不動産価格指数ではマンション(区分所有)が上昇傾向にあり、立地と家賃が維持できていれば購入額を上回る例もあります。
入居者がいる状態でも売却できますか?
できます。入居者を残したまま所有者だけが変わるオーナーチェンジという形で売却するのが一般的で、家賃収入を得ながら売却活動を進められます。買主は投資家に限られますが、安定した家賃が付いている物件は収益還元での評価がしやすく、空室より値が付きやすい傾向があります。敷金の引き継ぎや入居者への通知が必要になります。
売却損が出た場合でも確定申告は必要ですか?
譲渡所得がマイナスで納める税金がなければ申告義務はありませんが、同じ年に別の不動産を売って利益が出ている場合は、その利益と相殺できるため申告したほうが有利です。
国税庁によると土地建物の譲渡損失は給与所得など他の所得と損益通算できず、繰越控除も居住用財産の特例に限られます。申告期間は原則として翌年2月16日から3月15日までです。
購入時の売買契約書をなくした場合はどうなりますか?
取得費が分からない場合は売却価格の5%を取得費とする概算取得費を使うことになり、課税対象が大きく膨らみます。1,400万円で売ったなら取得費は70万円しか認められません。まずは住宅ローンの金銭消費貸借契約書、登記時の書類、通帳の振込記録などから実額を裏づける資料を探すことが先です。
この記事のまとめ
- 投資用ワンルームの価格の軸は「年間の純収益 ÷ 買主が求める利回り」で、利回り2ポイントの差が数百万円の価格差になる
- 新築価格には販売経費が含まれるため、中古として評価される売却時とは最初から基準が違う
- 成約価格は国土交通省の不動産情報ライブラリで無料で調べられ、中古マンション等は直近5年分が見られる
- 費用は仲介手数料(400万円超は3%・消費税別)・印紙税1万円・抵当権抹消1個1,000円が中心
- 建物の取得費は減価償却後の金額なので、購入額より安く売っても課税されることがある
- 税率は譲渡した年の1月1日時点で5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%
価格の計算式は公開されているので、自分で概算を出すことはできます。そのうえで実際にいくらで引き取られるのかは会社ごとに差が出るため、まず現在の価格を確認することから始めてください。