デッドクロスで売却すべき?税金が増える仕組みと手残りの計算・買取

デッドクロスで元金返済が減価償却費を上回り手残りが減る仕組みと売却判断を解説する記事のイメージ

毎月の家賃はきちんと入ってくる。確定申告でも赤字にはなっていない。それなのに、手元の預金がじりじり減っていく——投資用の不動産を持っていると、ある時期からこういう状態になることがあります。

原因のほとんどは「デッドクロス」です。ローンの元金返済額が減価償却費を上回った状態を指し、こうなると帳簿の上では黒字なのに現金が残らないという形になります。放置すると、増えた税金を自己資金で払い続けることになります。

この記事では、デッドクロスがいつ来るかを自分で計算する手順、手残りがどれだけ減るか、そして売却するときに減価償却が税金を押し上げる仕組みまで、国税庁の公表情報をもとに整理します。

この記事を読むとわかること

  • デッドクロスがいつ来るかを、耐用年数とローン残期間から計算する方法
  • 減価償却が終わると課税所得がいくら増え、手残りがどれだけ減るのか
  • 売るか持ち続けるかを決める4つのチェックポイント
  • 売値が買値より安くても税金がかかる理由(取得費の目減り)
  • 残債が重い・仲介で売れないときの出口と、買取で確定させる方法

この記事の結論

  1. デッドクロスはローンの元金返済額が減価償却費を上回った状態。元金返済は必要経費にならず、減価償却費は現金が出ない経費なので、この2つが逆転すると帳簿の黒字と現金の動きがずれる。
  2. 来る時期は計算できる。建物の償却が終わる年がそのまま分岐点で、木造住宅の法定耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造の住宅は47年。築25年の木造を買った場合は簡便法で4年しか償却できない。
  3. 償却が終わると、償却費と同額だけ課税所得が増える。年100万円償却していた物件なら、所得税と住民税の合計税率が20%の人で年20万円の増税になる。
  4. 売却時はさらに不利に働く。建物の取得費は購入代金から償却費相当額を差し引くため、買値より安く売っても譲渡所得がプラスになることがある。
  5. 判断の基準は「増税後も現金収支が黒字か」と「売却代金で残債を完済できるか」の2点。どちらも厳しいなら、仲介より期日が読める買取を含めて出口を比べる。

デッドクロスとは?元金返済が減価償却費を超えた状態

結論

デッドクロスは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回った状態です。現金が出ていくのに経費にできない支出と、現金が出ないのに経費にできる支出が逆転するため、帳簿の黒字と手元の現金が食い違います。

株式投資にも同じ名前の用語がありますが、不動産では意味がまったく違います。チャートの話ではなく、確定申告の数字と預金残高がずれていく現象を指します。

用語の補足:デッドクロス

不動産投資でのデッドクロスは、ローン返済額のうち元金部分が、その年の減価償却費を上回った状態をいいます。税法上の正式な用語ではなく、実務で使われる呼び方です。

経費にならない支出と、現金が出ない経費

国税庁によれば、不動産所得は「総収入金額-必要経費」で計算します。必要経費の主な例として挙げられているのは、固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などです(国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき)。

この一覧にローンの元金返済は入っていません。元金の返済は借金の残高が減るだけで、経費にはならないからです。一方で減価償却費は、現金が出ていかないのに経費として引ける唯一の大きな項目です。

  • 現金は出るが経費にならない=ローンの元金返済
  • 現金は出ないが経費になる=減価償却費
  • 現金が出て経費にもなる=ローンの利息、固定資産税、管理費、修繕費

償却費が元金返済より大きいうちは、この2つが互いを打ち消して帳簿も現金も安定します。逆転した瞬間から、課税される所得だけが膨らみます。

POINT

デッドクロスは「赤字」ではなく「黒字なのに現金がない」状態

  • 赤字になるのではなく、課税される所得が増える方向に動く
  • 家賃も金利も変わっていないのに、納税額だけが上がる
  • 増えた税金は、家賃ではなく自己資金から払うことになる

なぜ、どの物件も必ずデッドクロスに近づくのか

偶然ではなく、2つの数字が逆方向に動くからです。元金返済額は増え続け、減価償却費は減るか、ある年にゼロになります。

多くの投資ローンで使われる元利均等返済は、毎月の返済額が一定です。利息は残高に金利を掛けて決まるので、残高が減れば利息も減ります。返済額が一定で利息が減るなら、その差である元金部分は年々必ず増えます。

一方の減価償却は、定額法では「取得価額×定額法の償却率」で計算し、償却費の額は原則として毎年同じです(国税庁 No.2106 定額法と定率法による減価償却)。耐用年数を使い切れば、そこで計上は終わります。

  1. 保有の初期償却費 > 元金返済。帳簿も現金も余裕がある
  2. 中盤元金返済が増え、償却費との差が縮む
  3. デッドクロス元金返済 > 償却費。課税所得が現金収支を上回る
  4. 償却終了後償却費ゼロ。経費が一段減り、増税幅が最大になる
図:保有期間が進むにつれてデッドクロスに向かう流れ

なお、土地は減価償却の対象になりません。国税庁も「土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません」としています(国税庁 No.2100 減価償却のあらまし)。そのため、購入価格のうち土地の割合が大きい物件ほど、償却できる金額がそもそも小さくなります。

この項目のまとめ
  • デッドクロス=元金返済額が減価償却費を超えた状態
  • 元金返済は経費にならず、減価償却費は現金が出ない経費
  • 元利均等返済では元金部分が年々増えるため、逆転は時間の問題

自分の物件はいつデッドクロスになる?計算のしかた

結論

建物の償却が終わる年とローンの残期間を並べれば、交差する年はその場で分かります。中古で買った物件は簡便法で耐用年数が短くなるため、新築より早く到来します。

法定耐用年数と、中古で買ったときの簡便法

減価償却の年数は自分で決められません。国税庁の耐用年数表では、住宅用の建物について木造・合成樹脂造は22年、鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造は47年と定められています(国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表)。

中古で取得した場合は、残りの使用可能年数を簡便法で見積もります。法定耐用年数の全部を経過した建物なら、法定耐用年数の20%に相当する年数。一部だけ経過している建物なら、「法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%」です。いずれも1年未満の端数は切り捨て、2年未満になる場合は2年とします(国税庁 No.5404 中古資産の耐用年数)。

構造(住宅用) 法定耐用年数 築25年で取得した場合
木造・合成樹脂造 22年 4年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 47年 27年

※ 築25年の木造は法定22年を全部経過しているので22年×20%=4.4年→4年。鉄筋コンクリート造は47年-25年+25年×20%=27年。

注意

簡便法は常に使えるわけではありません。その中古資産を事業に使うにあたって行った資本的支出の額が、同じものを新品で買った場合の価額(再取得価額)の50%を超えるときは、簡便法で使用可能期間を算出できません。大規模にリノベーションしてから貸し出す場合は、年数の見積もりを税理士に確認してください。

3ステップで交差する年を出す

必要なのは、売買契約書と償却資産の明細、そしてローンの返済予定表の3つだけです。

  1. 建物の金額と償却年数を確認する売買契約書で土地と建物を分け、建物金額を償却年数で割って1年あたりの償却費を出します。償却が終わる年も同時に決まります。
  2. 返済予定表で元金部分を拾う各年の「元金」欄を合計し、年間の元金返済額を年ごとに並べます。元利均等なら右肩上がりになっているはずです。
  3. 2つの数字を同じ表に並べる元金返済額が償却費を初めて上回る年がデッドクロスです。償却が終わる年が先に来る場合は、その年が分岐点になります。
具体例

築25年の木造アパートを、建物1,200万円で取得した場合

  • 木造住宅の法定耐用年数22年をすべて経過 → 簡便法で22年×20%=4.4年 → 4年
  • 1年あたりの償却費=1,200万円÷4年=年300万円
  • → 取得から4年で償却が終わり、5年目に償却費がゼロになる

年300万円という大きな経費が5年目に消えます。ローン期間が20年なら、残り16年はこの経費なしで返済を続けることになります。

中古の木造は償却費を短期間に大きく取れる反面、その反動も早く来ます。節税効果を目的に築古物件を選んだ場合、4年目と5年目で納税額がまったく違うことになります。

この項目のまとめ
  • 木造住宅22年、鉄筋コンクリート造の住宅47年が法定耐用年数
  • 中古は簡便法で短縮され、法定年数を過ぎた建物は法定年数の20%
  • 建物金額・償却年数・返済予定表の元金欄を並べれば交差年が出る

デッドクロスで手残りはどれだけ減るのか

結論

家賃も金利も変わらないのに、償却費と同じ額だけ課税される所得が増えます。増税額は、その人の所得税と住民税の合計税率を掛けた金額です。

帳簿の利益と手元の現金は別物

同じ物件の同じ家賃でも、償却中と償却後では確定申告に載る数字が変わります。現金の動きは変わらないのに、税金だけが増えるのがデッドクロスの実害です。

横にスクロールできます

項目 償却できている間 償却が終わった後 差
年間家賃収入 240万円 240万円 変わらない
諸経費(管理費・固定資産税・保険など) 50万円 50万円 変わらない
ローン利息(経費) 20万円 20万円 変わらない
減価償却費(経費・現金は出ない) 100万円 0円 -100万円
不動産所得(課税される金額) 70万円 170万円 +100万円
ローン元金返済(現金は出るが経費でない) 90万円 90万円 変わらない
税引前の現金収支 80万円 80万円 変わらない

※ 金額は仕組みを示すための設定です。税率は所得の状況によって異なります。

税引前の現金収支はどちらも80万円で同じです。ところが課税される所得は70万円から170万円へ、100万円増えています。この差額に税率を掛けた分だけ、手残りが削られます。

具体例で見る増税額と手残りの変化

増える税額は、その人の所得税と住民税の合計税率で決まります。課税所得が100万円増えるなら、合計税率20%の人は年20万円、30%の人は年30万円の負担増です。

具体例

上の表の物件で、所得税と住民税の合計税率が30%の場合

  • 償却中の税額=70万円×30%=21万円 → 手残り 80万円-21万円=59万円
  • 償却後の税額=170万円×30%=51万円 → 手残り 80万円-51万円=29万円
  • → 家賃も金利も変わらないまま、年間の手残りが30万円減る

さらに元利均等返済では元金部分が毎年増えるので、現金収支そのものも年々薄くなります。

ここで効いてくるのが、所得が赤字になったときの扱いです。不動産所得に赤字が出た場合、その赤字のうち土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分は、他の所得の黒字と損益通算できません(国税庁 No.2250 損益通算)。土地の割合が大きい物件は、赤字になっても給与からの還付が思ったほど出ないことがあります。

結論

デッドクロスで減るのは利益ではなく現金です。家賃を上げられない、繰上返済の原資もない、という状態で償却が切れると、物件を持ち続けるために毎年自己資金を足すことになります。

売るか持ち続けるか、判断の分かれ目

結論

デッドクロスそれ自体は売却の理由になりません。見るべきは増税後も現金収支が黒字で回るかと、売却代金でローン残債を完済できるかの2点です。

売却に傾く4つのサイン

次のうち2つ以上に当てはまるなら、出口を具体的に検討する段階です。

  • 増税後の年間手残りがマイナス、または固定資産税の支払いで消える水準になっている
  • 償却が終わるまで2年以内で、空室や家賃下落のリスクを抱えている
  • 修繕積立金の値上げや大規模修繕の予定があり、今後の支出が増える見込みがある
  • 売却見込み額がローン残債を上回っており、売れば残債を清算できる

逆に、残債のほうが大きい場合は売っても完済できません。その場合はまず残債と査定額の差額を把握するところから始めます。詳しくは投資用マンションのオーバーローン売却で解説しています。

持ち続ける場合の打ち手と、その限界

持ち続ける前提の対策もありますが、どれも副作用があります。減価償却の年数は耐用年数で決まっているため、意図的に延ばして増税を先送りすることはできません。

持ち続けるメリット

  • 元金返済が進み、残債と資産価値の差が改善していく
  • 完済後は家賃がそのまま収入として残る
  • 売却時の譲渡所得税を今は負担しなくてよい

持ち続けるデメリット

  • 増えた税金を毎年、自己資金から払い続ける
  • 保有期間が延びるほど償却累計が増え、売却時の譲渡所得も膨らむ
  • 築年数が進み、空室・家賃下落・修繕費のリスクが上がる

繰上返済で元金を減らせば利息は減りますが、経費である利息が減るぶん課税所得はさらに増えます。借換えで返済期間を延ばせば毎月の元金返済は小さくなりますが、金利が同じなら返済総額は増えます。新しい物件を買って償却費を作る方法は、規模拡大とともに同じ問題を後ろにずらすだけです。

注意

「売却損を出して給与所得の税金を取り戻す」という発想は通用しません。土地建物の譲渡で出た損失は、他の土地建物の譲渡所得から控除しきれない分を事業所得や給与所得などと損益通算できないと定められています(国税庁 No.3203 土地・建物の譲渡所得の損益通算)。

ちょっと一息

その物件、今いくらで売れてローン残債を返せるか知っていますか?

持ち続けるか、手放すか。判断の前提になるのは「現在の価格」です。
売却するか決めていなくても大丈夫です。

まずは現在の価格を確認してみる

簡単入力60秒・無料。売却ナビットが代わって相談・交渉を行うので、沢山の営業電話の心配はありません。

売却するとき、減価償却が税金を押し上げる

結論

建物の取得費は、購入代金から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。そのため買った値段より安く売っても、譲渡所得がプラスになることがあります。

取得費は「買った値段」ではない

譲渡所得は「収入金額-(取得費+譲渡費用)」で計算し、他の所得と区分して課税されます(国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税))。

この取得費がくせ者です。国税庁は「建物の取得費は建物の購入代金などの合計額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引く必要があります」としており、償却費相当額の計算方法はその建物が事業に使われていた場合とそれ以外の場合で異なります(国税庁 No.3261 建物の取得費の計算)。賃貸に出していた物件は、毎年の確定申告で経費にしてきた償却費がそのまま取得費から抜けていきます。

具体例

土地1,000万円+建物2,200万円(木造・22年)で買い、10年後に2,600万円で売る場合

  • 年間の償却費=2,200万円÷22年=100万円 → 10年で償却累計1,000万円
  • 建物の取得費=2,200万円-1,000万円=1,200万円
  • 取得費の合計=土地1,000万円+建物1,200万円=2,200万円
  • 譲渡費用を100万円とすると、譲渡所得=2,600万円-2,200万円-100万円=300万円
  • → 買値3,200万円に対して売値2,600万円。600万円値下がりしているのに課税対象は300万円

長期譲渡なら300万円×20.315%=約60万9千円。値下がりして売ったのに納税が発生します。

なお譲渡費用になるのは、仲介手数料や売買契約書に貼る印紙税など、売るために直接かかった費用です。修繕費や固定資産税は譲渡費用になりません(国税庁 譲渡所得の申告のしかた)。保有中の出費は譲渡所得を減らしてくれない点に注意してください。

購入時の売買契約書が見つからないと、取得費を実額で示せず税額がさらに膨らみます。その場合の対処は投資用マンションの取得費がわからないときの対処法にまとめています。

長期・短期の税率と1月1日の判定

税率は所有期間で2段階に分かれます。長期譲渡所得になるのは、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものです(国税庁 No.3202)。引渡し日から数えて5年ではなく、「売った年の1月1日時点」で判定する点が落とし穴です。

横にスクロールできます

区分 所有期間(売った年の1月1日時点) 所得税 住民税 合計(復興特別所得税を含む)
長期譲渡所得 5年超 15% 5% 20.315%
短期譲渡所得 5年以下 30% 9% 39.63%

※ 所得税15%・30%、住民税5%・9%は国税庁の公表資料による。合計欄は所得税額の2.1%の復興特別所得税を加えた率。

デッドクロスの到来は早ければ取得から4〜5年です。焦って短期で売ると税率がほぼ2倍になるため、1月1日の判定を越えるまで待つかどうかも検討材料になります。判定日の数え方は短期譲渡所得は何年まで?税率39.63%の落とし穴で詳しく解説しています。

この項目のまとめ
  • 建物の取得費は購入代金から償却費相当額を差し引く=買値より安く売っても課税されうる
  • 譲渡費用は仲介手数料や印紙税。修繕費・固定資産税は含まれない
  • 長期と短期の税率差は約2倍。判定は売った年の1月1日時点

売れない・残債が返せないときの出口と買取

結論

デッドクロス物件は買い手も同じ条件を引き継ぐため、仲介では値段が折り合いにくくなります。期日を確定させたいなら、現況のまま買い取る業者を含めて比べるのが現実的です。

デッドクロス物件が仲介で動きにくい理由

ここは上位の解説記事があまり触れない部分です。デッドクロスを抱えた物件は、売り手の事情だけでなく買い手側の算段も噛み合いません。

  • 売却代金で残債を完済できない場合、抵当権を外すには債権者の同意が必要になる
  • 築年数が進んでいるため、買い手は修繕費や空室リスクを価格に織り込む
  • 入居者がいる状態(オーナーチェンジ)では、買い手が室内を確認できず候補が絞られる
  • 売却損が出ても他の所得と損益通算できないので、「損切りで税金を取り戻す」ことはできない

残債が売却見込み額を超えているなら、債権者の同意を得て売る任意売却という方法もあります。期限と流れは任意売却の流れと期限|投資用マンションの残債・入居者対応で確認してください。

買取で確定させる手順と、売る前の確認事項

買取は不動産会社が直接買い主になる方法です。買い手を探す期間が不要なので、引渡し日を自分で決められる点が、納税スケジュールを読みたい場面では効いてきます。

売却した年の譲渡所得は、譲渡した年の翌年2月16日から3月15日までに申告します(国税庁 No.3102 譲渡所得の申告期限)。年末ぎりぎりの引渡しでも、納税は翌年の春にずれ込みます。

  1. 売却を決める残債・査定額・償却累計額の3点を把握する
  2. 引渡し(この年の譲渡になる)1月1日時点の所有期間で長期・短期が決まる
  3. 翌年2月16日〜3月15日譲渡所得の確定申告。納税資金を残しておく
図:売却を決めてから納税までの時間の流れ

売却に動く前に、次の3つは必ず手元に揃えてください。どれが欠けても手残りの計算ができません。

  1. 購入時の売買契約書と内訳土地と建物の金額が分かれていないと、取得費も償却累計額も計算できません。
  2. これまでの確定申告書と減価償却の明細計上してきた償却費の累計が、売却時の取得費から差し引かれます。
  3. ローンの残高証明書または返済予定表残債と査定額を比べて、完済できるかどうかを先に確認します。

売却損が出ているのに税金がかかるケースの計算は、ワンルーム投資の損切り売却|売却損でも税金がかかる理由でも具体例つきで整理しています。

結論

デッドクロスで本当に危険なのは、増税に気づかないまま納税資金まで物件に吸われることです。償却が終わる年が分かった時点で、売却したときの手残りを一度計算しておけば、慌てて安く手放す必要はなくなります。

よくある質問

デッドクロスになったら必ず売ったほうがいいのですか?

デッドクロス自体は売却理由になりません。判断すべきは、増えた税負担を含めても毎年の現金収支が黒字で回るか、そして売却代金でローン残債を完済できるかの2点です。どちらも厳しいなら、早いうちに出口を検討したほうが損失は小さくなります。

減価償却の年数を自分で延ばして、デッドクロスを避けられますか?

できません。減価償却費は構造・用途ごとに定められた耐用年数に応じた償却率で計算し、定額法では毎年同じ額を計上します。中古で取得した場合は簡便法で年数が短くなるため、新築より早く償却が終わります。

売却価格が買った値段より安ければ、税金はかからないのではないですか?

かからないとは言えません。建物の取得費は購入代金から所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算するため、買値より安く売っても譲渡所得がプラスになることがあります。

また土地建物の譲渡損失は、他の土地建物の譲渡所得から控除しきれない分を給与所得などと損益通算できません。損が出ても他の所得の税金は戻りません。

デッドクロスを迎えた物件は、いつまでに売れば間に合いますか?

税務上の期限は、譲渡した年の翌年2月16日から3月15日までの確定申告です。ただし仲介での売却は買い手探しに数か月かかるため、年内の引渡しを狙うなら逆算して動く必要があります。期日を確定させたい場合は買取のほうが読みやすくなります。

この記事のまとめ

  • デッドクロスは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回った状態。元金は経費にならず、償却費は現金が出ない経費
  • 来る年は計算できる。木造住宅22年・鉄筋コンクリート造の住宅47年が法定耐用年数で、中古は簡便法で短くなる
  • 償却が終わると償却費と同額だけ課税所得が増える。100万円の償却が切れれば、合計税率30%の人で年30万円の負担増
  • 売却時は建物の取得費から償却累計額が差し引かれるため、買値より安く売っても課税されることがある
  • 長期と短期の税率差は20.315%と39.63%で約2倍。判定は売った年の1月1日時点の所有期間
  • 判断軸は「増税後も現金収支が黒字か」「売却代金で残債を完済できるか」。売却損は給与所得と損益通算できない

償却が終わる年が分かれば、慌てて決める必要はありません。まずは今いくらで売れるのかを知り、残債と手残りを並べて比べることから始めてください。

この記事を書いた人

売却ナビット編集部(運営:合同会社GREA)
不動産の一括査定サービス「売却ナビット」を運営。相続・老朽化・投資物件など、売りにくい不動産の売却相談を扱っています。
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル6階/TEL 03-5615-9793(10:00〜18:00 年中無休・年末年始を除く)
記事内の税制・法令に関する記述は、国税庁・法務省・国土交通省などの公表情報をもとに作成しています。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

あわせて読みたい記事

あなたの不動産は今いくら?

売却ナビットがあなたに代わって
相談・交渉を行うので沢山の営業電話の心配無し

無料一括査定スタート
簡単入力60秒