相続した土地が売れない。使う予定もないのに、毎年の固定資産税と草刈りの手間だけが続いている。そんなときに「国が引き取ってくれる制度がある」と聞いて調べはじめた方が多いと思います。
結論から言うと、その制度は相続土地国庫帰属制度といい、2023年4月27日から始まっています。ただし引き取ってもらえるのは「土地」だけで、建物が建ったままの実家は申請の段階で却下されます。
この記事では、申請できる人・できない土地・実際にかかるお金・通る確率を法務省の公表情報で確認したうえで、建物を解体して申請する場合と、現況のまま買取に出す場合のどちらが現実的かを比べます。
この記事を読むとわかること
- 相続土地国庫帰属制度を使える人と、申請の段階で却下される5つの土地
- 審査手数料1筆14,000円・負担金原則20万円という実際の費用
- 申請から引き渡しまでにかかる期間(標準処理期間8か月)
- 法務省の統計から見た「実際にどれくらい通っているか」
- 解体して国に引き取ってもらう場合と、現況のまま買取に出す場合の費用比較
この記事の結論忙しい方はここだけ
- 建物があると却下されます。空き家付きの実家をそのまま引き取ってもらうことはできず、使うには先に解体が必要です。
- 申請できるのは相続または相続人への遺贈で土地を取得した人だけです。売買・贈与で手に入れた土地や法人名義の土地は対象外で、共有地は共有者全員での申請が必要です。
- 費用は審査手数料が1筆14,000円、負担金が原則20万円。市街化区域の宅地などは面積に応じた算定になり、20万円では収まりません。却下・不承認でも手数料は戻りません。
- 審査の標準処理期間は8か月。負担金の通知から30日以内に納めないと、承認そのものが効力を失います。
- 法務省の統計(令和8年6月30日時点の速報値)では申請5,698件に対し帰属は2,885件。解体費用を足すと、現況のまま買取に出したほうが手元に残るケースが珍しくありません。
相続土地国庫帰属制度とは|建物がある土地は対象外
相続土地国庫帰属制度は、相続でもらった「土地」を国に引き取ってもらう制度です。建物が建っている土地は申請の段階で却下されるため、空き家付きの実家は先に解体しなければ使えません。
所有者のわからない土地が全国で増えたことを受けて、2023年4月27日に始まった制度です。相続した土地を手放す手段が相続放棄しかなかった状態を変えるために作られました。
国庫帰属とは、土地の所有権が国のものになることです。この制度では、審査に通って負担金を納めた時点で所有権が国に移ります。登記は国の側で行われるため、申請者が移転登記をする必要はありません。
申請できるのは相続・遺贈で土地を取得した人だけ
法務省の案内では、申請できるのは相続または相続人に対する遺贈によって土地の所有権または共有持分を取得した人と定められています。
つまり、自分で買った土地や、生前に親から贈与された土地は対象外です。法人名義の土地も申請できません。ここを勘違いしたまま準備を進めてしまう方が少なくありません。
- 相続で取得した土地 → 申請できる
- 相続人に対する遺贈で取得した土地 → 申請できる
- 売買で買った土地 → 申請できない
- 生前贈与で受け取った土地 → 申請できない
- 法人が所有する土地 → 申請できない
建物があると却下される|実家が外れてしまう理由
この制度で最もつまずきやすいのがここです。引き取ってもらえるのは土地だけで、建物が残っている土地は要件を満たしません。国が引き取ったあとに建物の管理や解体の負担を負うことになるためです。
相続した実家の多くは「土地+古い木造家屋」のセットです。そのため、制度の名前を知って相談に来られた方の多くが、この入口で止まってしまいます。
物置・倉庫・古い離れなども建物として扱われる可能性があります。登記されていない建物でも現地に存在していれば調査でわかるため、「未登記だから大丈夫」とは考えないでください。
制度が始まる前に相続した土地も申請できる
意外に知られていませんが、2023年4月27日より前に相続した土地も申請の対象です。法務省の案内でも、制度の施行前に相続した土地について申請できると説明されています。
何十年も前に親から相続したまま放置していた山林や農地でも、要件を満たせば申請できます。相続してから何年以内、といった期限は設けられていません。
- 対象は相続・遺贈で取得した「土地」だけ。買った土地・もらった土地・法人名義は不可
- 建物が残っていると却下されるため、実家は解体しないと申請できない
- 制度開始前に相続した土地も、年数に関係なく申請できる
申請できない土地の条件|却下要件と不承認要件
対象外になる土地には、申請の時点で門前払いになる「却下要件」と、現地調査を経て断られる「不承認要件」の2種類があります。どちらに当たっても、支払った審査手数料は返ってきません。
法務省は「国庫に帰属させることができない土地」を類型として整理して公表しています。詳しくは法務省「相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件」で確認できます。
申請の段階で却下になる5つの土地
次の5つに当てはまる土地は、書類を出した段階で却下されます。現地を見るまでもなく判断できるものが並んでいます。
横にスクロールできます
| 類型 | どんな土地か | 実家でよくある例 |
|---|---|---|
| 建物がある土地 | 建物が建ったままの土地 | 空き家になった実家、古い物置が残る土地 |
| 担保権などがある土地 | 抵当権や使用収益を目的とする権利が設定されている土地 | 親の住宅ローンの抵当権が抹消されていない土地 |
| 他人の利用が予定されている土地 | 通路など、他人が使うことが予定されている土地 | 近隣が通り抜けに使っている私道部分 |
| 土壌汚染されている土地 | 特定有害物質で汚染されている土地 | 以前に工場や作業場があった敷地 |
| 境界や権利に争いがある土地 | 境界が明らかでない土地、所有権の帰属や範囲に争いがある土地 | 隣地と境界でもめている、相続人間で分け方が決まっていない |
※法務省が公表する「引き取ることができない土地の要件」をもとに作成。個別の判断は管轄の法務局にご確認ください。
調査のうえ不承認になる土地
書類が通っても、法務局の担当官による調査の結果として断られることがあります。こちらは通常の管理や処分をするのに過分の費用や労力がかかる土地という考え方で判断されます。
具体例として、危険な崖がある土地、地上に工作物・車両・樹木などが残っている土地、地下に管理や処分をさまたげる物が埋まっている土地などが挙げられています。
解体したあとも油断できない
- 建物を壊しても、基礎・浄化槽・古い井戸が地下に残っていれば不承認の理由になりうる
- 庭木や石垣、放置された車両も「地上にある工作物等」として問題になりうる
- 解体の見積もりを取るときは、地中の撤去や整地まで含めて確認しておく
却下・不承認でも審査手数料は戻らない
法務局の資料では、承認申請後に却下・不承認となった場合、申請手数料は返還されないと明記されています。通らなかったときのリスクはここにあります。
だからこそ、申請書を出す前の事前相談が重要になります。土地の状況を伝えたうえで、見込みがあるかどうかを確認してから手数料を払うのが順序です。
いくらかかる?審査手数料と負担金の目安
かかるお金は「審査手数料」と「負担金」の2つです。手数料は1筆14,000円、負担金は原則20万円ですが、市街化区域の宅地などは面積に応じて算定され、20万円では収まりません。
制度の費用は法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」に示されています。「国が引き取ってくれる=無料」ではない点を最初に押さえてください。
審査手数料は土地1筆につき14,000円
申請時に納めるのが審査手数料で、法務省の資料では土地1筆につき14,000円とされています。筆ごとにかかるため、分かれている土地をまとめて申請すると金額が増えます。
3筆に分かれた土地を申請する場合の審査手数料
- 前提:宅地1筆・畑2筆、合計3筆をまとめて申請する
- → 14,000円 × 3筆 = 42,000円
- → このうち1筆でも却下・不承認になった場合、その分の手数料も返還されない
登記簿上いくつの筆に分かれているかは、固定資産税の課税明細書でおおよそ確認できます。申請前に筆数を数えておきましょう。
負担金は原則20万円|面積で決まる土地もある
審査に通ったあとに納めるのが負担金です。これは土地の性質に応じた10年分の土地管理費相当額という考え方で計算され、法務省は原則20万円としています。
ただし例外があります。法務省の負担金算定表では、市街化区域や用途地域が指定された区域にある宅地、農用地区域内などの田畑、そして森林は面積に応じて算定されるとされており、原則の20万円を上回ることがあります。
横にスクロールできます
| 土地の種類 | 負担金の決まり方 | 目安 |
|---|---|---|
| 宅地(都市計画区域・用途地域の外) | 原則として定額 | 原則20万円 |
| 宅地(市街化区域・用途地域内) | 面積に応じて算定 | 20万円を超えることがある |
| 田・畑(上記区域・農用地区域の外) | 原則として定額 | 原則20万円 |
| 田・畑(市街化区域・農用地区域内など) | 面積に応じて算定 | 20万円を超えることがある |
| 森林 | 面積に応じて算定 | 広いほど高くなる |
| 雑種地・原野 | 原則として定額 | 原則20万円 |
※法務省の案内をもとに作成。実際の金額は法務局が算定します。自分の土地がどの区分に当たるかは事前相談で確認してください。
30日以内に納めないと承認が失効する
負担金には期限があります。法律では、負担金の額の通知を受けた日から30日以内に納付しないと、承認は効力を失うと定められています。
8か月かけて審査を通っても、入金が1日遅れれば最初からやり直しです。通知が届いたらすぐ動けるよう、資金は先に用意しておいてください。
- 承認の通知が届く負担金の金額もここで知らされる
- 通知を受けた日の翌日から起算納付期限のカウントが始まる
- 30日以内に納付納めなければ承認は効力を失う
- 納付した時点で所有権が国へ登記は国の側で行われる
申請から国に移るまでの流れと期間
流れは「事前相談 → 承認申請 → 調査 → 承認・負担金通知 → 納付」の5段階です。法務局が示す標準処理期間は8か月で、書類の補正にかかった期間はこれに含まれません。
思い立ってすぐ手放せる制度ではありません。固定資産税の納付時期や、ほかの相続手続きとの兼ね合いも含めて、年単位で考えておくと安全です。
まず管轄の法務局本局に事前相談する
相談先は、土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局の本局です。支局や出張所ではない点に注意してください。相談は事前予約制で、対面または電話で受け付けられています。
事前相談では、その土地を国に引き渡せそうかの見通しや、作成した申請書類に漏れがないかの確認もしてもらえます。手数料を払う前に使える、数少ない無料のチェック機会です。
承認申請から負担金納付までの5ステップ
- 事前相談管轄の法務局本局に予約を取り、土地の状況を伝えて見込みを確認する。
- 承認申請申請書と図面・写真などを提出し、1筆14,000円の審査手数料を納める。
- 書面審査・実地調査法務局の担当官が書類を確認し、必要に応じて現地を見て要件を判断する。
- 承認・負担金の通知要件を満たすと承認され、負担金の金額が通知される。
- 負担金の納付通知を受けた日から30日以内に納付する。納付した時点で所有権が国に移る。
- 事前相談法務局本局・予約制
- 承認申請手数料14,000円/筆
- 審査・調査標準処理期間8か月
- 負担金の納付通知から30日以内
共有地は共有者全員でそろって申請する
土地が共有になっている場合、共有者全員でそろって申請する必要があります。1人でも協力が得られなければ、その時点で申請できません。
兄弟で相続した実家の土地などは、ここでつまずくことがよくあります。共有のまま動けなくなっている方は、相続で共有名義になった不動産の売却方法もあわせて確認してください。
- 共有者全員の意思がそろっているか
- 相続登記は済んでいるか(2024年4月から義務化されています)
- 抵当権が残っていないか(登記簿で確認)
- 隣地との境界で争いになっていないか
- 負担金と手数料を用意できるか
その土地、国に渡す前に「いくらで売れるか」を確かめましたか?
持ち続けるか、手放すか。判断の前提になるのは「現在の価格」です。
売却するか決めていなくても大丈夫です。
簡単入力60秒・無料。売却ナビットが代わって相談・交渉を行うので、沢山の営業電話の心配はありません。
実際どれくらい通る?法務省の統計で見る現実
法務省の速報値(令和8年6月30日時点)では申請5,698件に対して帰属は2,885件。申請前に取り下げられたものも1,063件あり、誰でも使える制度ではないことがわかります。
数字は法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」で公表されています。いずれも速報値で、順次更新されています。
申請5,698件に対し帰属は2,885件
令和8年6月30日時点の申請件数は5,698件。地目別では田・畑が2,226件、宅地が1,973件で、農地の申請が最も多くなっています。
一方、実際に国に帰属した件数は2,885件で、宅地が1,073件、農用地が925件でした。却下は83件です。審査中のものを含む数字のため単純な合格率ではありませんが、申請すれば必ず通るものではないことは読み取れます。
横にスクロールできます
| 項目 | 件数 | 内訳の例 |
|---|---|---|
| 申請件数 | 5,698件 | 田・畑2,226件/宅地1,973件 |
| 帰属件数 | 2,885件 | 宅地1,073件/農用地925件 |
| 却下件数 | 83件 | 申請段階で要件を欠いたもの |
| 取下げ件数 | 1,063件 | 有効活用の見込み562件/却下・不承認と判明375件/その他126件 |
※法務省公表の令和8年6月30日時点の速報値。統計は順次更新されます。
取下げ1,063件の内訳が教えてくれること
注目したいのは取下げの内訳です。1,063件のうち375件は「却下・不承認に当たると判明したため」でした。審査の途中で見込みなしとわかり、自分から引っ込めた件数です。
さらに562件は「有効活用の見込みが生じたため」。つまり申請している間に売れた、あるいは借り手が見つかったということです。国に渡すより先に、売れるかどうかを確かめる価値があることを示しています。
統計から読み取れる3つのこと
- 制度の利用者は3年余りで約5,700件。全国の相続件数に比べると限られている
- 取下げの3分の1以上が「要件を満たさないと判明した」もの。事前相談の重要性が高い
- 取下げの半数超は「活用の見込みが立った」。売却の道を先に試す価値がある
解体して国庫帰属 vs 現況のまま買取|費用で比べる
建物付きの実家で制度を使うには解体が必要です。解体費用と負担金を足した持ち出しと、現況のまま買取に出したときの手取りを並べて比べるのが、いちばん現実的な判断方法です。
国庫帰属は「お金を払って手放す」方法、買取は「お金を受け取って手放す」方法です。同じ「手放す」でも、手元に残る金額は正反対になります。
解体費用は木造30坪でおおむね100万円台
解体費用は構造と立地で変わります。不動産情報サイトが示す目安では木造が1坪あたり4万円程度とされ、30坪なら120万円前後という計算になります。
自治体によっては解体費用の補助制度があります。たとえば兵庫県三木市の特定空家等除却補助は補助率2分の1・限度額100万円、三重県志摩市は除却費用(税抜)の3分の2・上限30万円です。対象となる条件や予算は自治体ごとに異なるため、解体を決める前に所在地の役所で確認してください。
解体費用は本体工事だけでは終わりません。残置物の処分、整地、重機が入れない場合の手作業分、地中から出てきた基礎や浄化槽の撤去などが加算されます。詳しくは空き家の解体費用が払えない場合の売却方法で解説しています。
解体+負担金の合計と、買取の手取りを並べる
実際の金額感をつかむために、木造30坪の実家が建つ宅地1筆を想定して並べてみます。
木造30坪の実家付き宅地1筆を手放す場合の持ち出し
- 前提:都市計画区域外の宅地1筆、木造30坪の空き家が建っている
- 解体費用(1坪4万円で計算):120万円
- 審査手数料(1筆):14,000円
- 負担金(原則額):20万円
- → 合計の持ち出し 約141万4,000円(登記や測量の費用は別途)
これに対し、現況のまま買取に出して100万円で売れた場合、同じ「手放す」でも差し引き240万円以上の違いになります。
国庫帰属のメリット
- 買い手が見つからない土地でも手放せる
- 手放したあとの管理責任・固定資産税から解放される
- 相続放棄と違い、預貯金などほかの財産は受け取れる
国庫帰属のデメリット
- 建物があると使えず、解体費用の持ち出しが先に発生する
- 手数料と負担金で数十万円以上かかる(受け取るお金はゼロ)
- 標準処理期間8か月、却下・不承認でも手数料は戻らない
国庫帰属が向くケース・買取が向くケース
どちらが向くかは、土地そのものに値段が付くかどうかで決まります。買い手がまったく見込めない土地は国庫帰属、少しでも値段が付く土地は買取が基本の考え方です。
建物が残っているなら、解体の見積もりを取る前に現況のまま買取で値段が付くかを先に確かめてください。値段が付けば、解体費用と負担金の140万円前後の持ち出しがそのまま不要になります。
- 国庫帰属は「払って手放す」、買取は「受け取って手放す」
- 木造30坪なら解体+費用で約141万円の持ち出しになる計算
- 値段が付くかどうかの確認が先。付かないと確認できてから国庫帰属を検討する
申請できない・通らないときの選択肢
要件を満たせない土地でも、打つ手はあります。相続放棄は土地だけを選んで手放せないため、現況のまま買い取ってもらえるかを確かめるのが現実的です。
「国が引き取ってくれないなら、相続放棄すればいい」と考える方がいますが、その2つはまったく別の制度です。
相続放棄とは何が違うのか
相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産もまとめて引き継がない手続きです。いらない土地だけを選んで放棄することはできず、預貯金や自宅も受け取れなくなります。
期限も違います。相続放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内ですが、国庫帰属制度には年数の期限がありません。また相続放棄をしても、放棄の時点でその建物を現に占有していれば管理の義務が残る場合があります。詳しくは相続放棄した空き家の管理義務と費用をご覧ください。
横にスクロールできます
| 項目 | 相続土地国庫帰属制度 | 相続放棄 | 買取 |
|---|---|---|---|
| 土地だけ手放せるか | 手放せる | 手放せない(全部放棄) | 手放せる |
| 建物があっても使えるか | 使えない | 使える | 使える |
| 期限 | なし | 原則3か月以内 | なし |
| お金の出入り | 手数料+負担金を支払う | 家庭裁判所の費用がかかる | 売却代金を受け取る |
※一般的な比較です。個別の事情によって最適な選択は変わります。
建物を残したまま買取に出す
買取なら、建物が建ったままでも、傷んでいても、そのままの状態で引き渡せます。解体費用を払う必要がなく、負担金もかかりません。
立地が悪い、建物が古い、面積が広すぎる。そうした理由で一般の市場では売りにくい土地も、買取を専門に扱う会社であれば値段を付けられることがあります。田舎の家が売れない理由と手放し方では、空き家バンクなど買取以外の手段も含めて整理しています。
- 相続放棄は土地だけを選べず、原則3か月の期限がある
- 買取なら建物を残したまま、解体費用も負担金もなしで手放せる
- 国庫帰属を検討する前に、買取で値段が付くかを確かめる順番がよい
よくある質問
建物を解体すれば相続土地国庫帰属制度を使えますか?
建物がなくなれば「建物がある土地」という却下要件は外れますが、それだけで承認されるわけではありません。解体後の土地についても、境界が明らかであること、地下に基礎や浄化槽などの埋設物が残っていないことなど、ほかの要件をすべて満たす必要があります。
解体費用をかけたあとで不承認になると費用だけが残るため、解体前に法務局へ相談してください。
何十年も前に相続した土地でも申請できますか?
申請できます。法務省の案内では、制度が始まった2023年4月27日より前に相続した土地も申請の対象とされており、相続してからの年数による期限はありません。
ただし申請できるのは相続または相続人に対する遺贈で取得した人に限られ、売買や贈与で取得した土地は対象外です。
負担金はいくらですか?20万円で済みますか?
負担金は土地の性質に応じた10年分の管理費相当額で、法務省は原則20万円としています。ただし市街化区域や用途地域が指定された宅地、農用地区域内の田畑、森林は面積に応じて算定されるため、20万円を超えることがあります。
自分の土地がどちらに当たるかは、申請前に法務局へ確認してください。
却下や不承認になったら、払ったお金は戻ってきますか?
審査手数料は戻ってきません。法務省の資料でも、承認申請後に却下・不承認となった場合に申請手数料は返還されないと明記されています。
一方、負担金は承認されたあとに納めるものなので、承認に至らなければ負担金の支払いは発生しません。
この記事のまとめ
- 相続土地国庫帰属制度は2023年4月27日開始。相続・遺贈で土地を取得した人だけが使える
- 建物がある土地は申請の段階で却下。担保権・通路・土壌汚染・境界争いも同じく却下要件
- 費用は審査手数料が1筆14,000円、負担金が原則20万円。却下・不承認でも手数料は戻らない
- 標準処理期間は8か月。負担金は通知から30日以内に納めないと承認が失効する
- 法務省の速報値(令和8年6月末)では申請5,698件に対し帰属2,885件、取下げ1,063件
- 木造30坪なら解体+費用で約141万円の持ち出し。買取で値段が付けばこれが不要になる
国に引き取ってもらうのは、売れないことが確かめられてからでも遅くありません。まずは現在の価格を知ることから始めてください。