不動産売却の基礎知識|初めてでもわかる流れ・費用・税金・期間と買取

不動産売却の方法・流れ・費用・税金・期間の基礎知識を初めての人向けに整理した記事のイメージ

住み替え、相続、転勤、ローンの見直し——家やマンションを売ることになったものの、何から手を付ければいいのか分からない。初めての不動産売却では、多くの人がここで立ち止まります。

結論から言うと、売却の全体像は「売り方を選ぶ→流れを知る→手残りを計算する」の3つで整理できます。中でも手元に残る金額は、仲介手数料などの費用と譲渡所得の税金を差し引いて初めて分かるので、査定額だけで判断しないことが大切です。

この記事では、仲介と買取の違いから、媒介契約の種類、費用・税金・期間の基本までを、法律や国税庁の公表情報をもとに順番に説明します。

この記事を読むとわかること

  • 仲介・買取・個人間売買という3つの売り方の違い
  • 査定から引渡し、確定申告までの売却の流れ
  • 一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の違いと選び方
  • 仲介手数料・印紙税など売却にかかる費用の目安
  • 譲渡所得の税金の計算方法と3,000万円特別控除

この記事の結論

  1. 売り方は主に仲介(買主を探してもらう)と買取(不動産会社が買う)の2つ。価格を優先するなら仲介、時期と確実さを優先するなら買取が候補です。
  2. 仲介を頼むときは媒介契約を結びます。専任媒介・専属専任媒介は有効期間3か月以内と法律で決まっており、3か月が見直しの区切りになります。
  3. 仲介手数料の上限は、400万円を超える物件で「価格×3%+6万円」+消費税。3,000万円なら上限は105万6,000円です。
  4. 利益が出たときの税金は、所有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%。マイホームなら所有期間を問わず最高3,000万円の特別控除があります。
  5. 売った翌年の2月16日〜3月15日が確定申告の期間です。特例を使うときは税額がゼロでも申告が必要です。

不動産売却の方法は3つ|仲介・買取・個人間売買

結論

売り方は仲介・買取・個人間売買の3つですが、初めての人が実際に選ぶのは仲介か買取です。仲介は価格重視、買取はスピードと確実さ重視と覚えておくと判断しやすくなります。

不動産の売り方は、「誰が買主を見つけるのか」「誰が買うのか」で分かれます。どれを選ぶかで、売れる価格・かかる期間・支払う費用がすべて変わるため、最初に全体像を押さえておきましょう。

仲介:不動産会社に買主を探してもらう

最も一般的なのが仲介です。不動産会社と媒介契約を結び、広告やポータルサイトへの掲載、内覧対応などを通じて、一般の買主を探してもらいます。

市場で広く買主を募るため、相場に近い価格で売れる可能性があるのが利点です。一方で、買主が見つかるまでの期間は読みにくく、成約すると仲介手数料がかかります。

用語の補足:媒介契約

不動産会社に「買主を探して契約をまとめてほしい」と依頼する契約です。宅地建物取引業法により、不動産会社は契約後に内容を書面にして売主に渡すことが義務づけられています。

買取:不動産会社が自ら買主になる

買取は、不動産会社がそのまま買主になる売り方です。買主を探す工程がないため、条件がまとまれば引渡しの時期を売主の都合に合わせて決めやすいのが特徴です。

買い取った会社はリフォームなどをして再販売するのが通常なので、その費用や利益を見込んだぶん、価格は仲介で一般の買主に売る場合より低くなるのが一般的です。古い家や事情のある物件でも、現況のまま引き取ってもらえる可能性がある点は大きな利点です。

個人間売買が初めての人に向かない理由

知人や親族に直接売る個人間売買なら仲介手数料はかかりません。ただし、不動産会社が関与しないため、宅地建物取引士による重要事項説明(宅地建物取引業法35条)が行われず、権利関係や法令上の制限の確認を自分たちで行う必要があります。

契約書の作成や代金・登記のやり取りでトラブルが起きても、間に入る専門家がいません。初めての売却では、仲介か買取のどちらかから検討するのが現実的です。

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項目 仲介 買取 個人間売買
買主 一般の個人・法人 不動産会社 知人・親族など
価格の傾向 相場に近い価格を狙える 相場より低くなりやすい 当事者同士で決める
期間 買主が見つかるまで読みにくい 条件がまとまれば早い 相手次第
仲介手数料 かかる(法律上の上限あり) かからない かからない
重要事項説明 宅地建物取引士が行う 行われない(説明を受ける買主が不動産会社のため) 行われない

※価格・期間は物件の立地や状態、市況によって大きく変わります。

査定から引渡しまでの流れ|7つのステップ

結論

仲介での売却は「査定→媒介契約→販売活動→売買契約→決済・引渡し」と進み、売った翌年の確定申告までが一連の手続きです。

全体の流れを先に知っておくと、いま自分がどの段階にいて、次に何を準備すればいいのかが分かります。ここでは仲介で売る場合を基本に、7つのステップに分けて説明します。

  1. 査定・相談相場と手残りを把握
  2. 媒介契約依頼する会社を決める
  3. 販売・売買契約条件交渉と手付金
  4. 決済・引渡し残代金と登記
  5. 確定申告翌年2/16〜3/15
図:不動産売却(仲介)の大まかな流れ。最後の確定申告を忘れやすい

査定・媒介契約まで(準備段階)

  1. STEP1 相場を調べて査定を依頼する複数の不動産会社に査定を依頼し、価格とその根拠を比べます。不動産会社は、売り出し価格について意見を述べるときは根拠を明らかにしなければなりません(宅地建物取引業法34条の2第2項)。
  2. STEP2 媒介契約を結ぶ依頼する会社と契約の種類を決めます。報酬(仲介手数料)の額は、媒介契約を結ぶ前に説明を受け、合意しておくことが求められています。
  3. STEP3 売り出し価格を決める査定額はあくまで不動産会社の見立てで、売り出し価格を最終的に決めるのは売主です。ローン残高や希望時期も踏まえて決めます。

査定の段階で、ローンの残高、購入時の売買契約書、登記の内容などを手元に集めておくと、手残りの試算がすぐにできます。査定額=手取り額ではないことを意識してください。

販売活動から売買契約まで

  1. STEP4 販売活動・内覧対応広告掲載や内覧で購入希望者を募ります。媒介契約を結んだ不動産会社は、購入の申込みがあったときは遅滞なく売主に報告する義務があります(同条第8項)。
  2. STEP5 条件交渉・売買契約価格や引渡し日などがまとまったら、重要事項説明を経て売買契約を結び、買主から手付金を受け取ります。

売買契約の時点で、価格・引渡し日・設備の扱い・契約解除の条件などが確定します。後から変更するのは難しいため、契約書の案は事前に受け取って読み込んでおくのが基本です。

決済・引渡しと、その後の確定申告

  1. STEP6 決済・引渡し残代金を受け取り、同時に所有権移転登記を申請して鍵を渡します。ローンが残っていれば、この日に完済して抵当権の抹消登記も行うのが一般的です。
  2. STEP7 確定申告利益が出た場合や特例を使う場合は、売った翌年の2月16日〜3月15日に確定申告をします。

引渡しが終わると気が抜けがちですが、税金の手続きは翌年まで続きます。売買契約書や領収書は、確定申告で取得費や譲渡費用を証明する資料になるので、必ず保管しておきましょう。

この項目のまとめ
  • 流れは査定→媒介契約→販売→売買契約→決済・引渡し→確定申告
  • 売り出し価格を決めるのは売主。査定額の根拠を必ず聞く
  • 契約書・領収書は翌年の確定申告まで保管する

媒介契約は3種類|一般・専任・専属専任の違い

結論

媒介契約には一般・専任・専属専任の3種類があり、専任系は有効期間3か月以内・定期報告・レインズ登録が法律で義務づけられています。

仲介で売る場合、どの不動産会社と、どの種類の媒介契約を結ぶかが最初の大きな選択です。違いは「何社に依頼できるか」「自分で見つけた買主と直接契約できるか」「不動産会社にどんな義務があるか」の3点です。

用語の補足:レインズ(指定流通機構)

国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営する物件情報のネットワークです。登録された物件は全国の不動産会社が閲覧でき、ほかの会社が抱える購入希望者にも情報が届きます。

3つの媒介契約の比較表

専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができず、それより長く定めても3か月とされます。更新は売主からの申出があった場合に限られます(e-Gov法令検索 宅地建物取引業法 第34条の2)。

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項目 一般媒介 専任媒介 専属専任媒介
複数社への依頼 できる できない できない
自分で見つけた買主との契約 できる できる できない
有効期間 法律上の上限なし 3か月以内 3か月以内
レインズへの登録 義務なし 契約から7日以内(休業日除く) 契約から5日以内(休業日除く)
販売状況の報告 義務なし 2週間に1回以上 1週間に1回以上

※登録期限は宅地建物取引業法施行規則15条の10、報告頻度は同法34条の2第9項。購入申込みがあったときの報告義務は3種類すべてにあります。

初めての売却での選び方

専任系は窓口が1社にまとまり、定期的に販売状況の報告を受けられるので、初めてで進め方が分からない人には管理しやすい契約です。3か月で期限が来るため、反響が少なければ会社を替える判断もしやすくなります。

一般媒介は複数社に同時に依頼できる反面、報告やレインズ登録の義務がなく、各社とのやり取りを自分で管理する必要があります。人気エリアの物件など、放っておいても問い合わせが集まりやすい場合に向いています。

POINT

媒介契約を結ぶ前に確認したいこと

  • 査定額の根拠(近隣の成約事例など)を説明してもらえるか
  • 仲介手数料の額と、支払いのタイミング
  • 専任系なら、レインズ登録後に発行される登録証明書を受け取れるか

売却にかかる費用|仲介手数料・印紙税・登記費用

結論

売却費用の中心は仲介手数料で、上限は400万円超の物件で「価格×3%+6万円」+消費税です。売買契約書の印紙税や抵当権抹消の登記費用も忘れずに見込みましょう。

売却価格がそのまま手元に入るわけではありません。費用を差し引いた金額が、ローン返済や次の住まいの資金に使えるお金です。主な費用は次の表のとおりです。

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費用 金額の目安 支払う時期
仲介手数料 上限:価格×3%+6万円+消費税(400万円超の場合) 売買契約時・引渡し時など(会社との取り決めによる)
印紙税 契約金額1,000万円超5,000万円以下で1万円(軽減措置) 売買契約時
抵当権抹消の登録免許税 不動産1個につき1,000円 決済・引渡し時
司法書士への報酬 依頼先により異なる 決済・引渡し時
ローンの繰上返済手数料 金融機関により異なる 決済・引渡し時
測量・解体・引越しなど 必要な場合のみ。物件により大きく異なる 売却前〜引渡しまで

※税金(譲渡所得税・住民税)は利益が出た場合のみで、翌年の確定申告で納めます。

仲介手数料には法律上の上限がある

仲介手数料は宅地建物取引業法46条に基づき国土交通大臣が上限を定めています。税込の料率は、物件価格のうち200万円以下の部分が5.5%、200万円超400万円以下の部分が4.4%、400万円超の部分が3.3%で、これを合計した額が上限です(国土交通省 空き家等に係る媒介報酬規制の見直し)。

この3段階を合計すると、400万円を超える物件では「価格×3%+6万円」に消費税を加えた額と同じになります。よく見かける速算式はこの計算を簡単にしたものです。

具体例

3,000万円と5,201万円で売れた場合の仲介手数料の上限

  • 3,000万円:(3,000万円×3%+6万円)×1.1=105万6,000円
  • 5,201万円:(5,201万円×3%+6万円)×1.1=約178万2,000円

5,201万円は、東日本レインズが公表した2026年4〜6月期の首都圏中古マンションの平均成約価格です(東日本不動産流通機構 季報Market Watch)。あくまで上限額なので、実際の額は契約前に確認しましょう。

なお、2024年7月1日からは、800万円以下の「低廉な空家等」について、媒介に要する費用を勘案して30万円の1.1倍(33万円)まで報酬を受け取れる特例が設けられています。安い物件ほど通常の上限額を超えることがあるので、事前の説明と合意が前提です。

印紙税・登記費用・その他の費用

売買契約書には印紙税がかかります。2027年3月31日までに作成される不動産の譲渡に関する契約書には軽減措置があります(国税庁 No.7108 印紙税の軽減措置)。

軽減後の税額は、契約金額1,000万円超5,000万円以下なら1万円、500万円超1,000万円以下なら5,000円、5,000万円超1億円以下なら3万円です。

登記の費用のうち売主側で主に必要になるのは、ローンを完済したあとの抵当権抹消登記です。登録免許税は不動産1個につき1,000円(登録免許税法 別表第一)なので、土地1筆と建物1棟なら2,000円になります。

注意

仲介手数料や印紙税などの売却費用は、譲渡所得を計算するときに「譲渡費用」として差し引けます。領収書を捨てると、税金を計算するときに証明できなくなります。

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売却で利益が出たときの税金|譲渡所得の基本

結論

税金は売却価格ではなく、取得費と譲渡費用を差し引いた「利益」にかかります。税率は所有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%で、マイホームなら最高3,000万円の特別控除があります。

不動産を売って得た利益は「譲渡所得」として、給与などとは分けて税金を計算します。計算の仕組みは単純で、何を差し引けるかと、何年持っていたかで税額が大きく変わります。

税金がかかるのは「利益」に対してだけ

譲渡所得は、売った金額から取得費(買ったときの代金や購入時の費用。建物は減価償却費相当額を差し引く)と譲渡費用(仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代など)を差し引いて計算します(国税庁 No.3202)。

差し引いた結果がゼロやマイナスなら、譲渡所得の税金はかかりません。買ったときより安く売るケースでは、税金の心配はほとんど不要です。

注意

買ったときの契約書などがなく取得費が分からない場合は、売った金額の5%を取得費とすることができます(国税庁 No.3258)。実際の購入額より大幅に少なくなることが多く、税金が膨らむ原因になります。資料の探し方は取得費がわからないときの5%ルールの記事で解説しています。

所有期間5年で税率がほぼ2倍変わる

売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得、5年以下なら短期譲渡所得です。税率は長期が所得税15%・住民税5%、短期が所得税30%・住民税9%で、これに所得税額の2.1%の復興特別所得税が加わります。

合計すると長期は20.315%、短期は39.63%です。「丸5年持った」ではなく「売った年の1月1日」で数える点に注意が必要で、詳しくは短期譲渡所得の判定と税率の記事で解説しています。

具体例

取得費2,000万円の家を3,000万円で売った場合

  • 譲渡費用:仲介手数料105万6,000円+印紙税1万円=106万6,000円
  • 譲渡所得:3,000万円−2,000万円−106万6,000円=893万4,000円
  • 長期(5年超):893万4,000円×20.315%=約181万円
  • 短期(5年以下):893万4,000円×39.63%=約354万円
  • 同じ条件で取得費が分からず5%(150万円)とした場合、長期でも約557万円

取得費は減価償却後の金額を前提にした計算例です。マイホームで3,000万円特別控除の要件を満たせば、この例の税額はゼロになります。

マイホームの3,000万円特別控除

自分が住んでいる家(マイホーム)を売った場合は、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。住まなくなった家でも、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象になります(国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)。

ただし、親子や夫婦など特別な関係がある人への売却は対象外です。また、税額がゼロになる場合でも確定申告が必要です。相続した実家を売る場合は別の特例があるので、相続空き家の3,000万円特別控除の記事を確認してください。

売却期間とスケジュールの考え方

結論

仲介で売れるまでの期間は物件と価格設定で大きく変わるため、一律の目安はありません。専任媒介の有効期間である3か月を区切りに、価格や売り方を見直すと計画が立てやすくなります。

「どれくらいで売れますか」は最も多い疑問の一つですが、立地・築年数・価格設定・時期によって結果がまったく違います。期間を読むより、いつまでに何を決めるかを先に決めておくほうが現実的です。

期間を左右するのは売り方と価格設定

仲介では、買主が見つかってはじめて売買契約に進めます。相場より高い価格で売り出すと問い合わせが集まらず、時間だけが過ぎがちです。逆に、買取なら買主を探す工程がないため、価格に合意できれば日程を決めて進められます。

  • 引越しや新居の購入など、引渡し日を合わせたい予定はあるか
  • 住宅ローンの返済や相続税の納付など、資金が必要な期限はあるか
  • 3か月たって売れなかったとき、価格を下げるか買取に切り替えるかを決めているか
  • 空き家の場合、売れるまでの管理費や固定資産税を負担し続けられるか

住み替えの場合は、売る前に新居を買うのか、売ってから買うのかで資金計画が変わります。先に売る場合は仮住まいが必要になることもあるので、引渡し日の調整を早めに相談しておきましょう。

日付で変わるお金:固定資産税と確定申告

固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に1年分が課税されます(地方税法343条・359条)。年の途中で売っても売主に1年分の納税通知が届くため、引渡し日以降の分を日割りで買主と精算する取り決めを売買契約に入れるのが一般的です。

また、確定申告は売った翌年に行います。売却が12月か翌年1月かで、申告する年や、短期・長期の判定に使う「1月1日」も1年ずれます。年末に近い売却では、引渡し日を決める前に税金への影響を確認しましょう。

  1. 売却した年の1月1日所有期間(5年超か以下か)の判定日。固定資産税の課税基準日でもある
  2. 売買契約・引渡し固定資産税は引渡し日で日割り精算するのが一般的
  3. 翌年2月16日〜3月15日譲渡所得の確定申告の期間
図:売却の年と翌年で押さえておきたい日付

確定申告の期間は、資産を譲渡した日の属する年の翌年2月16日から3月15日までです(国税庁 No.3102)。

買取という選択肢|仲介との使い分け

結論

買取は価格が仲介より低くなりやすい代わりに、仲介手数料がかからず、時期と条件を確定させやすい売り方です。「高く売る」より「確実に手放す」が優先なら有力な選択肢です。

不動産会社が自ら買主になる買取は、買主を探す「媒介」ではないため、仲介手数料は発生しません。また、一般の買主のように住宅ローン審査を待つ必要もないため、条件がまとまれば話を早く進められます。

買取が向いているケース

  • 相続した実家や空き家を、遠方から管理し続けるのが負担になっている
  • 築年数が古い、雨漏りがある、検査済証がないなど、一般の買主が付きにくい
  • 住み替えや相続税の納付などで、引渡し時期を確定させたい
  • 内覧対応や近所に売却を知られることを避けたい
  • 仲介で3か月以上売れず、価格を下げ続けるかどうか迷っている

たとえば検査済証のない家は、買主の住宅ローンが通りにくく仲介では時間がかかりがちです。検査済証がない家の売却の記事のように、物件の事情によっては最初から買取を比較するほうが合理的な場合もあります。

仲介と買取のメリット・デメリット

買取のメリット

  • 仲介手数料がかからない
  • 買主探しが不要で、引渡し時期を決めやすい
  • 現況のまま、修繕や片付けをせずに売れる場合がある
  • 内覧や広告が不要で、周囲に知られにくい

買取のデメリット

  • 再販売の費用や利益を見込むぶん、価格は仲介より低くなりやすい
  • 会社によって買取価格の差が大きい
  • 1社だけの提示では、価格が妥当か判断しにくい

仲介と買取は、どちらか一方に決め打ちする必要はありません。仲介の査定額と買取の提示額を並べ、仲介手数料や売れるまでの維持費を差し引いた手残りで比べると、自分に合う売り方が見えてきます。

結論

初めての売却で一番避けたいのは、1つの査定額だけを見て売り方を決めることです。仲介と買取の両方の価格を比べ、費用と税金を引いた手残りで判断する——これが不動産売却の基本です。

初めての売却でつまずきやすいポイント

結論

売買契約後のトラブルを防ぐには、契約不適合責任と手付解除のルールを理解し、建物の不具合は契約前にすべて伝えることが重要です。

不動産売却のトラブルの多くは、契約の内容を理解しないまま署名してしまうことから起こります。ここでは、初めての人が見落としやすい法律上のルールと、事前に準備しておくべきことをまとめます。

契約不適合責任と手付解除を理解しておく

引き渡した建物が種類・品質・数量について契約の内容と合っていない場合、買主は売主に修補などを請求できます(民法562条)。これを契約不適合責任といい、買主は不適合を知った時から1年以内に売主へ通知すれば、権利を行使できます(民法566条)。

この責任を負わない特約を結ぶこともできますが、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れません(民法572条)。雨漏りやシロアリ被害など、知っている不具合は契約書や告知書に書いておくことが自分を守ることになります。

用語の補足:手付解除

買主から手付金を受け取った後でも、相手が契約の履行に着手するまでは、売主は手付金の倍額を払って契約を解除できます。買主は手付金を放棄すれば解除できます(民法557条)。

必要書類とローン残債を早めに確認する

決済の日には、所有権移転登記の申請に必要な書類をそろえておく必要があります。直前に慌てないよう、媒介契約の段階から少しずつ準備しておきましょう。

  • 登記識別情報(または登記済証=権利証)。登記の申請時に提供が必要です(不動産登記法22条)
  • 印鑑証明書。登記に使うものは作成後3か月以内に限られます(不動産登記令16条)
  • 購入時の売買契約書・領収書。取得費の証明に使います
  • ローンの残高が分かる書類と、金融機関への完済の手続き
  • 固定資産税の納税通知書。日割り精算の計算に使います

ローンが残っている場合、抵当権を抹消しないと買主に引き渡せません。売却代金で完済できるかどうかは、査定の段階で必ず確認してください。査定額がローン残高を下回る場合は、自己資金での補填や金融機関との相談が必要になります。

土地や戸建てを売る場合は、隣地との境界がはっきりしているかも早めに確認しておきましょう。境界標や確定測量図が見当たらない場合、一般的には測量や隣地所有者の立会いが必要になり、引渡しまでに時間がかかることがあります。測量が必要かどうかは、査定の段階で不動産会社に相談してください。

隣地所有者との話し合いで境界の位置がはっきりしないときは、法務局の筆界特定制度を使う方法もあります。土地の所有者として登記されている人などの申請により、筆界特定登記官が外部専門家の意見を踏まえて筆界の位置を特定する制度です(法務省 筆界特定制度)。

この項目のまとめ
  • 知っている不具合は契約前にすべて伝える(免責特約でも責任は残る)
  • 手付解除は相手が履行に着手するまで。倍返しが必要
  • 権利証・印鑑証明書・ローン残高を早めに確認する

よくある質問

住宅ローンが残っている家でも売却できますか?

売却できます。ただし抵当権が付いたままでは買主に引き渡せないため、決済日に売却代金で残りのローンを完済し、同時に抵当権の抹消登記を申請するのが一般的な進め方です。

売却代金と手元資金を合わせても完済できない場合は、金融機関との話し合いが必要になるので、査定の段階で残高証明を用意しておきましょう。

一般媒介と専任媒介はどちらを選べばいいですか?

複数社に競わせたい、人気エリアで買主が見つかりやすいという場合は一般媒介、窓口を1社にまとめて販売状況の報告を定期的に受けたい場合は専任媒介や専属専任媒介が向いています。専任系は有効期間が3か月以内と法律で決まっているので、3か月ごとに会社を見直せる点も判断材料になります。

買取で売る場合も仲介手数料はかかりますか?

不動産会社が自ら買主になる買取は、買主を探す「媒介」ではないため、仲介手数料は発生しません。

ただし、買取業者を別の不動産会社から紹介してもらい、その会社と媒介契約を結ぶ場合は、紹介した会社に仲介手数料を支払うことがあります。契約前に誰と何の契約を結ぶのかを確認してください。

売却して損が出た場合も確定申告は必要ですか?

譲渡所得がマイナスなら所得税はかかりませんが、マイホームを買い換えた場合などに使える譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例は、確定申告をしないと受けられません。給与所得と相殺して税金が戻る可能性があるため、損が出たときこそ要件を確認してから申告するかどうかを決めましょう。

この記事のまとめ

  • 売り方は仲介(価格重視)と買取(時期・確実さ重視)が基本
  • 流れは査定→媒介契約→販売→売買契約→決済・引渡し→翌年の確定申告
  • 専任系の媒介契約は有効期間3か月以内。3か月を見直しの区切りにする
  • 仲介手数料の上限は価格×3%+6万円+消費税(400万円超)。印紙税・抹消登記費用も見込む
  • 税金は利益にだけかかり、長期20.315%・短期39.63%。マイホームは最高3,000万円控除
  • 知っている不具合は契約前に伝え、権利証・印鑑証明書・ローン残高を早めに確認する

どの売り方が合うかは、物件の価格と手残りを比べてはじめて判断できます。まずは仲介と買取の両方で、現在の価格を知ることから始めてください。

この記事を書いた人

売却ナビット編集部(運営:合同会社GREA)
不動産の一括査定サービス「売却ナビット」を運営。相続・老朽化・投資物件など、売りにくい不動産の売却相談を扱っています。
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル6階/TEL 03-5615-9793(10:00〜18:00 年中無休・年末年始を除く)
記事内の税制・法令に関する記述は、国税庁・法務省・国土交通省などの公表情報をもとに作成しています。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

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