家を売ろうと考えたとき、多くの人は「不動産会社に頼んで買主を探してもらう」方法しか思い浮かびません。ところが実際には、不動産会社に直接買ってもらう、期限付きで買取を約束してもらう、ローンが残ったまま金融機関の同意を得て売る、知人に直接売るなど、いくつもの売却方法があります。
結論から言うと、高く売りたいなら仲介、早く確実に売りたいなら買取が基本です。そのうえで「いつまでに・いくら手元に残す必要があるか」で選ぶと、5つの方法のどれが自分に合うかがはっきりします。
この記事を読むとわかること
- 仲介・買取・買取保証・任意売却・個人間売買の価格・期間・手間の違い
- 仲介手数料の上限(400万円超は「3%+6万円」+消費税)と計算例
- 仲介と買取の「手残り」を同じ物差しで比べる方法
- ローン残債・親族への売却など、状況別に注意すべき落とし穴
- 自分に合う売却方法を選ぶための判断基準
この記事の結論忙しい方はここだけ
- 不動産の売却方法は仲介・買取・買取保証・任意売却・個人間売買の5つ。競売は選ぶものではなく、避けるべき結末です。
- 仲介は相場に近い価格を狙えますが、手数料の上限は400万円超で「価格×3%+6万円」+消費税(3,000万円なら105万6,000円)。
- 買取は仲介手数料がかからず時期を決めやすい一方、価格は仲介より低くなるのが一般的。手数料と維持費を引いた手残りで比べます。
- ローンを完済できないなら任意売却。金融機関の同意が前提で、競売より引渡時期を調整しやすい方法です。
- 親子・夫婦への個人間売買はマイホームの3,000万円特別控除が使えないなど税金の落とし穴があります。
不動産の売却方法は5つ|価格・期間・手間の比較
売却方法は仲介・買取・買取保証・任意売却・個人間売買の5つです。価格を優先するか、時期の確実さを優先するかで、選ぶべき方法が変わります。
売却方法の違いは、突き詰めると「誰が買主を探すのか」「誰が買うのか」の2点です。買主を探す役を不動産会社に任せるのが仲介、不動産会社自身が買主になるのが買取、両方を組み合わせたのが買取保証です。
任意売却は住宅ローンが残っていて完済できない人のための方法で、売り方そのものは仲介に近い形を取ります。個人間売買は、不動産会社を通さずに売主と買主が直接取引する方法です。
5つの売却方法の全体像
まずは5つの方法を一言で整理します。自分の状況に近いものから読み進めてください。
- 仲介:不動産会社が広告などで一般の買主を探す。最も一般的な方法
- 買取:不動産会社が自ら買主になる。買主探しが不要
- 買取保証:一定期間は仲介で売り出し、売れなければ事前に約束した価格で不動産会社が買い取る
- 任意売却:ローンを完済できない物件を、金融機関の同意を得て売る
- 個人間売買:知人・親族・隣地の所有者などに、不動産会社を通さず直接売る
比較表で見る価格・期間・手間の違い
同じ物件でも、売却方法によって手元に残る金額と、売れるまでの時間が大きく変わります。価格と期間はトレードオフの関係にあると考えてください。
横にスクロールできます
| 売却方法 | 価格の目線 | 期間・時期 | 手間・費用 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 仲介 | 相場に近い価格を狙える | 買主が見つかるまで読めない | 内覧対応あり。仲介手数料がかかる | 時間に余裕があり、高く売りたい人 |
| 買取 | 仲介より低くなるのが一般的 | 条件が合えば時期を決めやすい | 内覧対応なし。仲介手数料なし | 早く確実に現金化したい人、売りにくい物件 |
| 買取保証 | 仲介で売れれば相場水準、売れなければ買取価格 | 最終的な売却時期の見通しが立つ | 仲介中は内覧対応あり | 住み替えなどで期限がある人 |
| 任意売却 | 金融機関が承認した価格で売り出す | 競売手続きの進行に左右される | 金融機関との調整が必要 | ローンを完済できない人 |
| 個人間売買 | 当事者の合意次第 | 相手がいれば早い | 契約書・調査・登記の手配をすべて自分で | 買主が決まっていて、専門家に依頼できる人 |
※価格・期間は物件や市況によって変わります。比較の目安としてご覧ください。
競売は「売却方法」ではなく避けるべき結末
ローンの返済が止まったまま放置すると、債権者の申立てで裁判所が不動産を差し押さえて売る「競売」に進みます。東京地方裁判所の説明では、競売は所有者の意思にかかわらず強制的に売却される手続きです。
売却の内容は公告で公開され、裁判所の不動産競売物件情報サイト「BIT」などにも掲載されます(東京地方裁判所「競売不動産の買受手続」)。売主が価格も時期も選べないため、選択肢として検討するものではありません。
- 売却方法は5つ。違いは「誰が買主を探し、誰が買うか」
- 価格を取るなら仲介、時期の確実さを取るなら買取
- 競売は所有者の意思にかかわらず進むため、その前に手を打つ
仲介|相場に近い価格を狙う標準ルート
仲介は一般の買主に売るため、相場に近い価格を狙えます。代わりに売れる時期が読めず、成約時に仲介手数料がかかる点を織り込んでおきます。
仲介では、不動産会社と「媒介契約」を結び、不動産会社が広告や不動産会社間のネットワークを使って買主を探します。買主は自分で住む家を探している個人が中心になるため、市場の相場に沿った価格で売り出せます。
国土交通大臣が指定する不動産の物件情報ネットワークです。専任媒介・専属専任媒介を結んだ不動産会社は、物件をここに登録する義務があり、他の不動産会社も買主を紹介できるようになります。
媒介契約は3種類。違いは「何社に頼めるか」
媒介契約には一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。専任系は1社にしか頼めない代わりに、報告と登録の義務が法律で決まっています(宅地建物取引業法第34条の2、同法施行規則第15条の10)。
横にスクロールできます
| 項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 複数社への依頼 | できる | できない | できない |
| 自分で見つけた買主との契約 | できる | できる | できない |
| 契約の有効期間 | 法律上の上限なし | 3か月以内 | 3か月以内 |
| レインズへの登録 | 義務なし | 契約日から7日以内(休業日を除く) | 契約日から5日以内(休業日を除く) |
| 売主への業務報告 | 義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
※専任媒介・専属専任媒介の有効期間は、売主の申出により更新できます(更新後も3か月以内)。
仲介手数料の上限と計算方法
仲介手数料(媒介報酬)は国土交通大臣の告示で上限が決まっています。売買代金のうち200万円以下の部分は5%、200万円超400万円以下の部分は4%、400万円超の部分は3%で、これに消費税がかかります。
400万円を超える物件なら、3つの区分を合計すると「売買代金×3%+6万円」+消費税と同じ金額になります。あくまで上限なので、これより低い金額で合意することもできます。
3,000万円で売れた場合の仲介手数料の上限
- 200万円×5%=10万円、200万円×4%=8万円、残り2,600万円×3%=78万円
- 合計96万円(=3,000万円×3%+6万円)に消費税10%を加える
- → 上限は105万6,000円
このほか売買契約書に貼る印紙税もかかります。契約金額1,000万円超5,000万円以下の不動産売買契約書は、令和9年3月31日までに作成するものなら軽減税率で1万円です。
なお2024年7月1日からは、800万円以下の宅地建物(低廉な空家等)について、媒介に要する費用を勘案して30万円の1.1倍(33万円)まで受け取れる特例が設けられています(国土交通省「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」)。媒介契約を結ぶ前に、報酬額の説明と合意が必要とされています。
たとえば600万円の家なら、通常の上限は(600万円×3%+6万円)×1.1=26万4,000円です。特例が適用されると最大33万円になりうるため、安い物件ほど媒介契約の前に報酬額を確認してください。
仲介が向く人・向かない人
仲介が向くのは、売却期限に余裕があり、内覧対応や価格交渉に付き合える人です。築浅のマンションや駅に近い戸建てなど、一般の買主が住宅ローンを使って買いやすい物件ほど仲介の強みが出ます。
反対に、住み替えの決済日が決まっている、遠方に住んでいて内覧に立ち会えない、建物の傷みが激しいといった場合は、仲介だけにこだわると売却が長引きがちです。その場合は次の買取や買取保証もあわせて検討します。
買取|不動産会社が直接買う最短ルート
買取は買主を探す時間がいらず、仲介手数料もかかりません。価格は仲介より低くなるのが一般的なので、手数料と売れるまでの維持費を差し引いた手残りで比べて判断します。
買取の仕組みと、価格が下がる理由
買取では、不動産会社が査定した価格で物件を買い取り、リフォームや解体をしたうえで再販売します。不動産会社は再販売までの改修費・税金・販売経費と利益を見込んで価格を出すため、一般の買主に直接売る仲介より価格が低くなります。
その代わり、売主側の手間は大きく減ります。広告や内覧が不要で、近所に売却を知られにくく、決済日を売主と不動産会社の合意で決めやすいのが特徴です。
メリット
- 買主探しが不要で、売却時期の見通しが立つ
- 仲介手数料がかからない
- 内覧対応がなく、周囲に知られにくい
- 古家・残置物・未登記部分など、現況のままの相談がしやすい
デメリット
- 価格は仲介より低くなるのが一般的
- 会社によって買取価格の差が大きい
- 1社だけの提示額では高いか安いか判断できない
仲介と買取は「手残り」で比べる
査定額だけを並べると、仲介のほうが必ず有利に見えます。しかし仲介では手数料がかかり、売れるまでの間もローン金利・固定資産税・管理費などの維持費が出ていきます。同じ時点で手元に残る金額に直して比べてください。
仲介3,000万円と買取2,500万円を手残りで比べる(仮定の数字)
- 仲介:3,000万円で6か月後に成約、手数料上限105万6,000円、維持費が月5万円×6か月=30万円とする
- → 仲介の手残りは3,000万円−105万6,000円−30万円=2,864万4,000円
- 買取:2,500万円ですぐに決済、仲介手数料なし
- → 差額は364万4,000円。この差を「時間と確実さの対価」として払う価値があるかで判断する
実際には仲介で値下げが必要になることもあれば、買取の提示額が会社ごとに違うこともあります。ご自身の査定額と維持費を当てはめて計算してください。
売却益にかかる譲渡所得税は、仲介でも買取でも計算方法は同じです。売った年の1月1日時点で所有期間が5年以下だと税率が高くなるため、売る時期によって手残りが大きく変わります。詳しくは短期譲渡所得の税率と、所有期間の数え方で解説しています。
買取が向く物件・向く人
買取が力を発揮するのは、一般の買主が住宅ローンを組みにくい物件や、手を入れないと売りにくい物件です。たとえば検査済証がない家は買主のローン審査で不利になりやすく、検査済証がない家の売却でも現況のまま買取で手放す方法を紹介しています。
- 住み替え・転勤・相続税の納付など、売却の期限が決まっている
- 建物が古い、雨漏りや傾きがある、残置物が多い
- 再建築不可・未登記の増築部分など、法的な制約がある
- 遠方に住んでいて、内覧や管理に時間を割けない
- 近所や知人に売却を知られたくない
- 買取は手数料ゼロ・時期を決めやすい代わりに、価格は下がりやすい
- 査定額ではなく、手数料と維持費を引いた手残りで比べる
- ローンが組みにくい物件、期限がある売却ほど買取が合う
買取保証|仲介で売り出し、期限が来たら買取
買取保証は、一定期間は仲介で高値を狙い、売れなければあらかじめ約束した価格で不動産会社が買い取る方法です。「最低いくらで、いつまでに売れるか」が先に決まるのが最大の利点です。
買取保証の仕組み
買取保証は法律で定められた制度ではなく、不動産会社が媒介契約とあわせて提供するサービスです。売り出し前に「保証する買取価格」と「仲介で売り出す期間」を決め、その期間内に一般の買主が見つかれば仲介として成約、見つからなければ不動産会社が保証価格で買い取ります。
住み替えで新居の代金支払い日が決まっている人にとっては、最悪のケースの金額が確定するため、資金計画が立てやすくなります。
- 媒介契約+買取保証の契約保証価格と売出期間を決める
- 仲介で売り出し一般の買主を探す。売れればここで成約
- 売出期間の終了買主が見つからなければ買取へ切り替え
- 保証価格で買取・決済あらかじめ約束した価格で売却完了
契約前に確認したい条件
買取保証の条件は会社ごとに異なり、契約書に書かれた内容がすべてです。保証価格が低すぎると、仲介期間中の値下げ交渉でも足元を見られやすくなります。少なくとも次の点を書面で確認してください。
- 保証する買取価格と、その価格がいつ確定するか
- 仲介で売り出す期間と、売出価格を下げるときのルール
- 媒介契約の種類(専任媒介・専属専任媒介が条件になっていないか)
- 買取に切り替えたときに仲介手数料がかかるかどうか
- 建物の状態や調査結果によって保証価格が変わる条件があるか
仲介ならいくら、買取ならいくら。両方の価格を知っていますか?
持ち続けるか、手放すか。判断の前提になるのは「現在の価格」です。
売却するか決めていなくても大丈夫です。
簡単入力60秒・無料。売却ナビットが代わって相談・交渉を行うので、沢山の営業電話の心配はありません。
任意売却|ローンを完済できないときの売り方
売却代金で住宅ローンを完済できないなら、金融機関の同意を得て抵当権を外してもらう任意売却を検討します。競売に進む前に、返済中の金融機関へ相談するのが出発点です。
ローンが残っている家には抵当権が設定されており、通常は売却代金でローンを完済して抵当権を抹消してから引き渡します。売却代金より残債が多い場合、金融機関が抵当権の抹消に応じない限り売れません。そこで金融機関の承認を得て進めるのが任意売却です。
競売との違いは「同意」と「時期の調整」
住宅金融支援機構は、任意売却は競売のような法的手続による強制的な処分ではないと説明しています。そのうえで、通常の不動産取引として売買されるため一般的に競売より高値で売却できることが期待され、負債の縮減につながるとしています(住宅金融支援機構「融資住宅等の任意売却」)。
また、裁判所の手続きである競売と比べて自宅の引渡時期を調整しやすいことも利点として挙げられています。状況によっては、売却代金から仲介手数料や抹消登記費用を控除できる場合もあります。
任意売却の手続きの流れ
住宅金融支援機構の案内では、任意売却は次の順で進みます。金融機関が確認していない価格で売り出すと、買主が見つかっても抵当権抹消に応じてもらえない場合がある点に注意してください。
- 申出書の提出自分で仲介業者を選び、金融機関に任意売却の申出書を出す
- 物件調査・価格査定仲介業者が調査し、価格査定書を金融機関に提出する
- 売出価格の確認金融機関が承認できる売出価格を通知する
- 媒介契約・販売活動(専属)専任媒介契約を結び、販売活動の状況を定期的に報告する
- 抵当権抹消の審査・契約・決済購入希望者が現れたら金融機関が抹消の可否を審査し、承諾後に売買契約・決済へ進む
任意売却後も、完済できなかった残りの債務は残ります。返済条件は金融機関との話し合いになるため、早い段階で相談するほど選べる手が増えます。投資用マンションの事例は任意売却の流れと期限で詳しく解説しています。
個人間売買|手数料ゼロの代わりに全部自分で
個人間売買は仲介手数料がかからない一方、物件調査・契約書作成・代金決済の段取りをすべて当事者が担います。相手が親族なら税金の特例が使えない落とし穴もあります。
隣地の所有者や親族、借家人など、すでに買主が決まっている場合は個人間売買も選択肢になります。ただし不動産会社が入らないため、取引の安全を守る仕組みの多くが働きません。
重要事項説明をしてくれる人がいない
宅地建物取引業法第35条は、宅地建物取引業者に対し、契約が成立するまでに宅地建物取引士による重要事項の説明を義務づけています。不動産会社を通さない個人間売買では、法令上の制限や権利関係を説明する義務を負う人がいない状態で契約することになります。
引き渡した物件が契約内容に適合しない場合、買主は売主に修補などを請求できます(民法第562条)。個人間売買でもこの責任は売主にかかるため、境界・雨漏り・設備の不具合などを書面に残し、契約書は司法書士や弁護士に確認してもらうのが安全です。
引き渡した物件の種類・品質・数量が契約内容と合わないときに売主が負う責任です。責任を負わない特約も結べますが、売主が知りながら告げなかった事実については免れられません(民法第572条)。
親族間の売買は税金の落とし穴に注意
マイホームを売ったときの3,000万円特別控除は、所有期間の長短に関係なく使える特例ですが、親子や夫婦など特別の関係がある人に売った場合は対象外です。生計を一にする親族や内縁関係にある人も含まれます(国税庁 No.3302)。
さらに、時価より著しく低い価格で売ると、時価との差額は買主が売主から贈与を受けたものとみなされ、買主に贈与税がかかることがあります(国税庁 No.4423)。「身内だから安く」は税務上のリスクになると覚えておいてください。
「著しく低い価額」にあたるかどうかは、国税庁も個々の具体的事案に基づき判定するとしています。親族間で売買する前に、価格の根拠となる査定書を用意し、税理士に相談してください。
どの売却方法を選ぶか|判断基準
「期限があるか」「ローンを完済できるか」「物件が一般の買主に売りやすいか」の3つで絞り込めます。迷ったら仲介と買取の両方の価格を同時に取るのが近道です。
最初に決めるのは「期限」と「必要な金額」
売却方法を選ぶ前に、いつまでに売る必要があるか、最低いくら手元に残せばよいかを書き出します。住み替えなら新居の支払い日、相続なら納税や遺産分割の期限、ローン返済が苦しいなら滞納の状況が期限になります。
- ローンを完済できる?できない → 任意売却を金融機関に相談
- 売却の期限がある?ある → 買取保証か買取
- 一般の買主に売りやすい?売りやすい → 仲介
- 買主が決まっている?親族・隣地 → 個人間売買も検討
物件の状態と状況で絞り込む
同じ人でも、物件によって合う方法は変わります。築年数が浅く立地のよい物件は仲介で相場どおりの価格を狙い、建物が古い・法的な制約がある物件は買取を軸に考えるのが基本です。解体やリフォームをしてから売るかどうかも、売却方法と一緒に決めると無駄な出費を防げます。
たとえば解体費用を用意できない空き家は、古家付きのまま買取を相談する方法もあります。詳しくは空き家の解体費用が払えない場合の売却方法をご覧ください。
売った後も住み続けたいならリースバック
家を売って現金を得たいが、引越しはしたくないという場合は「リースバック」という方法もあります。国土交通省の住宅のリースバックに関するガイドブックでは、住宅を売却して現金を得たうえで、売却後は毎月賃料を払って同じ家に住み続けるサービスと説明されています。
ただし所有者は事業者に移るため、住み続けられる期間や買い戻しは契約の条件次第です。同ガイドブックは、契約前に次の点を確認するよう呼びかけています。
- 売却で受け取る金額と、数年かけて払う賃料の合計を自分で比べた
- 提示された売却価格を、ほかの事業者にも相場と比べて意見を聞いた
- 買い戻しを望むなら「いつまでに」「いくらで」買い戻せるかが契約書に書かれている
- 定期借家契約かどうか、更新・再契約の条件を確認した(定期借家契約は期間満了で終わり、再契約を断られることがある)
迷ったら仲介と買取を同時に査定する
相場を自分で調べるなら、国土交通省の不動産情報ライブラリで周辺の取引価格を確認できます。そのうえで、複数の不動産会社に仲介での査定額と買取価格の両方を出してもらうと、2つの差額が「時間を買う値段」として見えてきます。
- 仲介の査定額は複数社で比べ、根拠(成約事例)を聞く
- 買取価格も1社で決めず、条件(決済日・残置物・契約不適合責任)を並べる
- 手数料・維持費・税金を引いた手残りで最終判断する
売却方法に正解はひとつではありません。仲介の価格と買取の価格を同じ日に並べ、期限と手残りで選ぶことが、後悔しない売り方の最短ルートです。
よくある質問
仲介と買取はどちらが得ですか?
価格だけなら仲介が高くなるのが一般的です。ただし仲介では手数料がかかり、売れるまでの維持費も出ていきます。手数料と維持費を差し引いた手残りで比べ、その差額を時間と確実さの対価として払う価値があるかで判断してください。
仲介手数料はいくらかかりますか?
上限は国土交通大臣の告示で決まっており、400万円を超える物件なら「売買代金×3%+6万円」に消費税を加えた額です。3,000万円なら105万6,000円が上限です。800万円以下の物件は、特例で33万円まで受け取れる場合があります。
住宅ローンが残っていても家を売れますか?
売却代金でローンを完済できれば、決済時に返済して抵当権を抹消し、通常どおり売れます。完済できない場合は、金融機関の同意を得て抵当権を外してもらう任意売却を検討します。返済が滞る前に、返済中の金融機関へ相談してください。
親に家を売るときに注意することはありますか?
親子や夫婦など特別の関係がある人への売却では、マイホームの3,000万円特別控除が使えません。また時価より著しく低い価格で売ると、差額が贈与とみなされて買主に贈与税がかかることがあります。査定書で価格の根拠を残し、税理士に相談してください。
この記事のまとめ
- 売却方法は仲介・買取・買取保証・任意売却・個人間売買の5つ。競売は避けるべき結末
- 仲介は相場に近い価格を狙えるが、手数料上限は400万円超で「3%+6万円」+消費税
- 買取は手数料ゼロで時期を決めやすい。仲介とは手残りで比べる
- 買取保証は「最低いくらで、いつまでに」が先に決まる。条件は書面で確認
- ローンを完済できないなら任意売却、親族への売却は税金の特例に注意
どの方法を選ぶにしても、出発点は「今いくらで売れるか」を知ることです。まずは仲介と買取の両方の価格を確認してから、期限と手残りで売り方を決めてください。