不動産売却のコツ|よくある失敗6つと査定・価格・税金・契約の対策

不動産売却でよくある6つの失敗と、査定・売り出し価格・税金の特例・契約不適合責任の対策を解説する記事のイメージ

家や土地を売るのは、多くの人にとって一生に数回あるかどうかの経験です。慣れていないぶん、「高い査定額を出した会社に任せたのに売れない」「売った後で税金の特例を使い忘れていた」「引渡し後に買主から修理費を請求された」といった失敗が起こりがちです。

結論から言うと、不動産売却のコツはよくある失敗のパターンを先に知り、各段階で「根拠」と「期限」を確認することに尽きます。査定額は根拠で比べ、税金の特例と告知は売り出す前に確認する。この2点を押さえるだけで、大きな失敗の多くは防げます。

この記事を読むとわかること

  • 不動産売却でよくある6つの失敗と、それぞれの原因
  • 査定額の「根拠」の聞き方と、売り出し価格・値下げの判断基準
  • 内覧で印象を落とさない準備と、やらなくてよいこと
  • 3,000万円特別控除など、見落としやすい税金の特例と申告の期限
  • 契約不適合責任の免責特約と告知漏れのリスク、売り急ぎを避ける段取り

この記事の結論

  1. 査定額の高さだけで会社を選ばない。宅建業者には査定額の根拠を示す義務があるので、取引事例などの根拠を必ず聞いて比べる
  2. 売り出し価格は相場に交渉の幅を加えて決め、専任媒介なら3か月の契約期間を見直しの区切りにする(首都圏の中古戸建は登録から成約まで平均約100日)
  3. マイホームの売却益は最高3,000万円まで控除できるが、確定申告が必要。住まなくなってから3年目の年末までに売ることが条件
  4. 契約不適合責任を免除する特約を結んでも、知りながら告げなかった不具合の責任は免れない。雨漏りや設備の故障は告知書に正直に書く
  5. 期限から逆算して半年以上前に動き出し、仲介で売りにくい家は買取の価格も並べて「手残り」で比べる

不動産売却でよくある失敗は6つ|全体像と早見表

結論

失敗の多くは「査定」「価格」「内覧」「税金」「契約」「スケジュール」の6か所で起きます。どの段階で何を確認するかを先に知っておくことが、いちばん効くコツです。

不動産売却の失敗には、ある程度決まったパターンがあります。最初に全体を見渡しておくと、いま自分がどの段階にいて、次に何を確認すべきかが分かります。下の表は、この記事で扱う6つの失敗と、それを防ぐコツの一覧です。

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よくある失敗 起きやすい段階 主な原因 防ぐコツ
高すぎる査定額だけで会社を選ぶ 査定・会社選び 査定額を「売れる価格」と思い込む 査定額の根拠(取引事例など)を聞いて比べる
売り出し価格の付け方を誤る 売り出し 希望額だけで決める・値下げの基準がない 相場に交渉の幅を加え、見直しの時期を決めておく
内覧の準備をしない 販売活動 住みながら売るため生活感が出る 片付け・掃除・明るさ・書類の準備をする
税金・特例を見落とす 売り出し前・確定申告 特例は申告しないと使えない・期限がある 売る前に使える特例と期限を確認する
契約不適合責任の免責・告知漏れ 売買契約・引渡し後 不具合を伝えずに免責特約に頼る 知っている不具合はすべて告知書に書く
売り急ぎで安く手放す 全体のスケジュール 期限直前に動き出す 期限から逆算し、買取の価格も並べて比べる

※表は売却ナビット編集部の整理です。物件の状況によって注意点は変わります。

失敗が起きる理由は「慣れていない」こと

売主は売却に慣れていない一方で、不動産会社や買主側は取引に慣れています。この情報量の差があるため、言われたことをそのまま受け入れてしまい、後から「知っていれば別の判断をした」となりがちです。

ただし、法律は売主を守る仕組みも用意しています。たとえば宅地建物取引業者(宅建業者)は、査定額について意見を述べるときに根拠を示す義務があり、専任媒介契約では業務の報告頻度も決まっています。こうしたルールを知っておくだけで、売主から確認できることが一気に増えます。

失敗が起きやすいタイミング

国土交通省は、売却の大まかな流れを「物件調査→価格査定→媒介契約→相手方の探索→交渉→売買契約→決済・引渡し」と示しています。6つの失敗は、この流れのどこかで起きます。とくに後から取り返しにくいのが、契約と税金の段階です。

  1. 査定・会社選び失敗1:査定額だけで選ぶ
  2. 売り出し・内覧失敗2・3:価格設定と内覧準備
  3. 売買契約・引渡し失敗5:免責・告知漏れ
  4. 確定申告失敗4:特例の見落とし
図:売却の流れと、失敗が起きやすい段階(失敗6の売り急ぎは全体のスケジュールに関わる)

失敗1:高すぎる査定額だけで会社を選ぶ

結論

査定額は「この価格なら売れると思う」という会社の意見にすぎません。金額の高さではなく、根拠の具体性で会社を比べるのがコツです。

一括査定などで複数の会社に査定を頼むと、数百万円単位で金額がばらつくことがあります。このとき、いちばん高い金額を出した会社に飛びつくのが典型的な失敗です。高い査定額で売り出しても買主が見つからなければ、結局は値下げを重ねることになります。

査定額は「売れる価格」ではない

査定額はあくまで売り出す前の見込みで、実際に売れる価格(成約価格)は買主との交渉で決まります。媒介契約を取りたい会社が、相場より高めの金額を提示するケースもあります。査定額が高い会社ほど良い会社、とは限らないと覚えておきましょう。

相場の目安は自分でも調べられます。国土交通省の不動産情報ライブラリでは、不動産の取引価格や地価公示などの価格情報を地図や地域から確認できます。近所の似た物件の取引価格を見ておくと、査定額が高すぎるか低すぎるかの見当がつきます。

査定額の根拠を聞くコツ

宅建業法では、宅建業者が売買すべき価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならないと定めています(宅地建物取引業法 第34条の2第2項)。国土交通省の解釈では、根拠は価格査定マニュアルや同種の取引事例など、合理的な説明がつくものとされています。

  • 比較に使った取引事例(所在地・広さ・築年数・成約時期)はどれか
  • 自分の物件と事例の違い(駅距離・日当たり・状態)をどう加減したか
  • その価格で売り出した場合、どのくらいの期間で売れる見込みか
  • 売れなかった場合、いつ・どの程度の価格見直しを提案するつもりか

同じ質問を各社にすれば、根拠の説明が具体的な会社と、あいまいな会社の差がはっきり出ます。説明が「この地域は人気なので」程度で終わる場合は注意が必要です。

担当者の見極め方(概要)

会社と同じくらい大切なのが、実際に動く担当者です。根拠の説明が丁寧か、物件の弱点も隠さず伝えてくれるか、質問への回答が早いか、といった点を見ます。担当者の見極め方は別の記事で詳しくまとめているので、ここでは「査定の根拠を一緒に説明できるか」を最低ラインにしてください。

POINT

査定は「金額」より「説明」を比べる

  • 根拠の明示は宅建業者の義務。遠慮せずに聞いてよい
  • 不動産情報ライブラリで近所の取引価格を確認しておく
  • 最高額の会社ではなく、根拠と販売計画が具体的な会社を選ぶ

失敗2:売り出し価格の付け方を誤る

結論

売り出し価格は、相場に値下げ交渉の幅を加えた水準が基本です。いつ・いくらまで下げるかを売り出す前に決めておくと、ずるずる長期化するのを防げます。

売り出し価格は売主が決めます。希望を優先して高く付けすぎると反響が少なく、逆に安く付けすぎると本来得られた金額を逃します。どちらも「売り出す前に基準を決めていない」ことが原因です。

売り出し価格は「相場+交渉の幅」で決める

中古住宅の取引では、買主から値下げの相談が入ることも想定して価格を付けておくと安心です。査定額や取引価格の相場を基準に、交渉で下がる分をあらかじめ上乗せしておけば、交渉に応じても手残りが大きく崩れません。

あわせて「ここまでなら下げてよい」という最低ラインを決めておきましょう。最低ラインは、住宅ローンの残りや次の住まいの資金計画、後で説明する税金・費用を差し引いた手残りから逆算します。

値下げを検討するタイミング

売り出しにかかる期間の目安として、東日本不動産流通機構の集計では、2025年度の首都圏で登録から成約までにかかった日数は中古マンションで82.6日、中古戸建住宅で100.1日、土地で89.7日でした。売れるまで平均3か月前後かかる前提で計画を立てるのが現実的です。

専任媒介契約の有効期間は法律で3か月が上限です。また専任媒介では2週間に1回以上、専属専任媒介では1週間に1回以上、業務の状況を報告する義務があります。報告で問い合わせや内覧の件数を確認し、反響が少なければ3か月の区切りで価格か会社を見直します。

  1. 媒介契約・売り出し専任は7日以内、専属専任は5日以内(休業日を除く)にレインズへ登録
  2. 2週間ごとの報告専任媒介の場合。問い合わせ数・内覧数・反応を確認
  3. 1〜2か月目反響が少なければ、価格や広告の出し方を相談
  4. 3か月(契約期間の満了)価格の見直し・会社の変更・買取の検討を判断
図:専任媒介契約を結んだ場合の見直しスケジュール
用語の補足:レインズ(指定流通機構)

国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営する、不動産会社どうしの物件情報ネットワークです。専任媒介・専属専任媒介では、ここへの登録が義務になっています。

なお、国土交通省の標準媒介契約約款には、価格が事情の変更で不適当になったときは、不動産会社が根拠を示して価格の変更を助言するという定めがあります。値下げの提案を受けたときも、査定時と同じく「何を根拠に下げるのか」を確認しましょう。

この項目のまとめ
  • 売り出し価格は相場+交渉の幅。最低ラインは手残りから逆算する
  • 首都圏の成約まで平均80〜100日程度。3か月の契約期間を見直しの区切りにする

失敗3:内覧の準備をしないまま売り出す

結論

買主は内覧で「ここに住めるか」を判断します。お金をかけるより、片付け・掃除・明るさで印象を整えるのがコツです。

ネット広告で興味を持った人が、実際に購入を決めるのは内覧の後です。住みながら売る場合は生活感が出やすく、物が多いと部屋が狭く見えます。準備をしないまま内覧を受けると、価格交渉の材料を与えることにもなります。

内覧前にやっておくこと

内覧の準備は、ほとんどがお金をかけずにできることです。特に水まわりと玄関は印象を左右しやすい場所です。

  • 不要な物を処分し、床に物を置かない(部屋が広く見える)
  • キッチン・浴室・洗面所・トイレの水垢やカビを落とす
  • 玄関の靴を片付け、照明をすべて点けてカーテンを開ける
  • 換気をしてにおいを抑える(ペット・たばこ・料理)
  • 設備の取扱説明書、修繕の記録、管理規約(マンション)を手元に用意する

内覧中は、売主が付きっきりで説明するより、買主が自由に見られるようにするほうが落ち着いて検討してもらえます。周辺の買い物環境や学校など、住んでいるからこそ分かる情報は、聞かれたときに答えられるようにしておきましょう。

リフォームや大規模な修繕は先にしない

売る前にリフォームすれば高く売れる、と考える人もいますが、かけた費用がそのまま売却価格に上乗せされるとは限りません。買主が自分の好みでリフォームしたいと考えている場合もあるため、大きな工事は不動産会社に相談してから判断します。

一方、建物の状態を客観的に示したいときは、建物状況調査(インスペクション)を検討する方法があります。宅建業法では、既存の建物の媒介契約書に、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載することになっています。

用語の補足:建物状況調査(インスペクション)

建物の構造上主要な部分や雨水の浸入を防ぐ部分の状況を、国土交通大臣が定める講習を修了した建築士が調べるものです。結果は買主への重要事項説明でも扱われます。

注意

雨漏りや設備の故障など、内覧で目立たない不具合を隠すために一時的に補修するのは避けましょう。不具合は告知書に正直に書くことが、後の契約トラブルを防ぐいちばんの方法です(失敗5で説明します)。

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失敗4:税金・特例を見落とす

結論

売却益が出ても、マイホームなら最高3,000万円まで控除できます。ただし特例は期限内に売り、確定申告をしないと使えないので、売り出す前に確認しておきます。

不動産を売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税と住民税がかかります。譲渡所得は「売った金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除」で計算します。税金の失敗の多くは、使えたはずの特例を知らずに売る時期を決めてしまうことから起きます。

マイホームの3,000万円特別控除

自分が住んでいる家(マイホーム)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。すでに住んでいない家でも、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象になります。

見落としやすいのは手続きです。この特例は、税金がゼロになる場合でも確定申告をしなければ適用されません。申告期間は売った年の翌年2月16日から3月15日までです。また、親子や夫婦など特別の関係がある人に売った場合は使えません。

具体例

譲渡所得が1,500万円出たマイホームの場合

  • 前提:所有期間5年超(長期)、売った金額4,000万円、取得費と譲渡費用の合計2,500万円 → 譲渡所得1,500万円
  • 特例を使わない場合:1,500万円×(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)=304万7,250円
  • 3,000万円控除を使う場合:1,500万円−3,000万円=0円 → 税額0円(ただし確定申告は必要)

申告を忘れると、本来ゼロで済んだ300万円超の税金を負担しかねません。売却の翌年は必ず申告の予定を入れておきましょう。

注意

買い換えで新居に住宅ローン控除を使う予定の人は要注意です。新居に入居した年とその前年・前々年に旧居の売却で3,000万円控除を受けた場合や、入居した年の翌年から3年目までに旧居を売って3,000万円控除を受ける場合は、新居で住宅ローン控除を受けられません。どちらが得かを事前に税務署や税理士に確認してください。

所有期間5年・10年の境目

譲渡所得の税率は所有期間で変わります。判定は売った年の1月1日時点の所有期間で行い、5年を超えれば長期譲渡所得(所得税15%・住民税5%)、5年以下なら短期譲渡所得(所得税30%・住民税9%)です。所得税には別に2.1%の復興特別所得税がかかります。

さらに、マイホームで売った年の1月1日時点に家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えていれば、軽減税率の特例で課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分の所得税が10%になります。この特例は3,000万円控除と重ねて使えます。短期になるかどうかの詳しい数え方は短期譲渡所得の解説記事で紹介しています。

具体例

課税譲渡所得1,000万円で、長期と短期を比べた場合

  • 長期(5年超):所得税150万円+復興特別所得税3万1,500円+住民税50万円=203万1,500円
  • 短期(5年以下):所得税300万円+復興特別所得税6万3,000円+住民税90万円=396万3,000円

1月1日をまたぐかどうかで、税額が約2倍違います。投資用など3,000万円控除が使えない物件ほど、売る時期の確認が重要です。

取得費が分からないとき・相続した家・売却損

そのほかにも、知っているかどうかで税額が変わるルールがあります。下の表で、自分に当てはまるものがないか確認してください。

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ルール・特例 内容 見落としやすい点
取得費が分からないとき 売った金額の5%相当額を取得費にできる 5%は小さいので、購入時の契約書や領収書を先に探す
相続した空き家の特例 一定の要件で最高3,000万円控除(相続人が3人以上なら2,000万円まで) 昭和56年5月31日以前の建築、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、売却代金1億円以下などの要件がある
買い換えで売却損が出たとき 一定の要件で他の所得と損益通算し、控除しきれない損失は翌年以後3年内に繰り越せる 令和9年12月31日までの譲渡が対象。損失でも申告が必要

※各特例には上記以外にも細かな要件があります。適用の可否は税理士または所轄の税務署にご確認ください。

相続した実家を売る場合は、相続空き家の3,000万円特別控除の要件を先に確認しておくと、売る時期や建物を残すかどうかの判断を誤りません。

失敗5:契約不適合責任の免責・告知漏れ

結論

免責特約を付けても、知りながら告げなかった不具合の責任は免れないのが民法のルールです。不具合は隠さず、告知書と契約書に書いて合意しておくことが最大の防御になります。

引渡し後に雨漏りやシロアリ被害などが見つかり、買主から修理費や代金の減額を求められる――これが売却後のトラブルで最も避けたいものです。原因の多くは、売主が不具合を伝えていなかったか、契約書での取り決めがあいまいだったことにあります。

契約不適合責任とは

引き渡した物件が種類・品質・数量について契約の内容に合っていないとき、売主が負う責任を「契約不適合責任」といいます。民法では、買主は売主に修補などの追完、代金の減額、損害賠償、契約の解除を求めることができます。

種類や品質の不適合については、買主が不適合を知った時から1年以内に売主に通知しないと、これらを請求できなくなります。ただし、売主が引渡しの時に不適合を知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合は、この期間の制限は適用されません。

免責特約でも逃れられない責任

個人どうしの売買では、契約不適合責任を負わない、または期間を短くするという特約(免責特約)を結ぶことがあります。古い家ではよく使われる取り決めですが、万能ではありません。

民法572条は、担保責任を負わない特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れないと定めています。つまり、雨漏りを知っていたのに黙って免責特約を付けても、後で責任を問われる可能性があります。雨漏りする家の具体的な告知の範囲は雨漏りする家の売却の記事で詳しく解説しています。

結論

免責特約は「知らなかった不具合」への備えであって、知っている不具合を隠すための道具ではありません。知っていることはすべて伝えたうえで特約を結ぶのが、売主を守る正しい使い方です。

告知書に書くべきこと

仲介で売る場合、不動産会社から「物件状況報告書(告知書)」などへの記入を求められます。ここに書いた内容が、後で「伝えた・伝えていない」を判断する材料になります。

  • 雨漏り・シロアリ被害・建物の傾き(過去に修理したものも含む)
  • 給湯器・配管・エアコンなど設備の故障や不具合
  • 増改築の有無と時期、境界や越境についての近隣との取り決め
  • 近隣とのトラブル、騒音・におい・浸水被害の経験
  • 物件内で過去に起きた人の死に関する事案

人の死については、国土交通省が2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を定めています。

自然死や日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)は原則として告げなくてよいとされていますが、買主から問われた場合などは告げる必要があります。判断に迷う場合は、自分で判断せず不動産会社に伝えて相談しましょう。

この項目のまとめ
  • 買主は不適合を知ってから1年以内に通知すれば、修補・減額・損害賠償・解除を請求できる
  • 免責特約があっても、知りながら告げなかった不具合は責任が残る
  • 告知書には過去の修理も含めて正直に書く

失敗6:売り急ぎで安く手放す

結論

期限の直前に動き出すと、値下げ交渉に応じざるを得なくなります。期限から逆算して半年以上前に査定を始めるのがコツで、時間がないなら買取の価格も並べて判断します。

住み替えの引っ越し日、相続税の納付、3,000万円控除の期限など、売却には「この日までに売りたい」という期限がつきものです。期限が迫るほど買主に足元を見られやすく、相場より低い価格で手放す原因になります。

期限から逆算してスケジュールを組む

前に紹介したとおり、首都圏では登録から成約まで平均80〜100日程度かかっています。これに査定・会社選び、売買契約から引渡しまでの期間を加えると、全体では半年前後を見ておくのが安全です。

  1. 期限を書き出す引っ越し日、ローンの返済計画、3,000万円控除などの特例の期限を並べ、いちばん早いものを基準にします。
  2. 期限の半年以上前に査定を依頼複数社の査定と根拠を比べ、売り出し価格と最低ラインを決めます。
  3. 売り出しから3か月で見直し反響が少なければ、価格・会社・売り方(買取を含む)を見直します。
  4. 期限の1〜2か月前に最終判断仲介で間に合わない見込みなら、買取に切り替えて確実に期限に間に合わせます。

急ぐ事情があるなら買取も比べる

国土交通省の宅建業法の解釈では、売り急ぎや買い急ぎなど特殊な事情のある取引事例は、査定の根拠として集める対象にしないこととされています。売り急いだ取引の価格は、相場とは別物として扱われるということです。

どうしても時間がない場合は、不動産会社が直接買い取る「買取」も選択肢になります。仲介より価格は下がりやすい一方、買主を探す期間がいらず、引渡しの時期を合わせやすいのが特徴です。

買取のメリット

  • 買主を探す期間がなく、売却の時期を決めやすい
  • 不動産会社が直接買い取る場合は仲介手数料がかからない
  • 広告や何度もの内覧対応をしなくて済む

買取のデメリット

  • 一般の買主に売る仲介より価格が下がりやすい
  • 会社によって買取価格の差が大きいため、比較が必要

建物が古く解体するか迷っている場合も、先に解体すると費用と時間がかかります。解体前に古家付きのまま買取してもらう選択肢も確認しておくと、売り急ぎを避けやすくなります。

最後は「手残り」で判断する|費用と税金を引いて比べる

結論

売却価格が高くても、手数料や税金を引いた手残りが多いとは限りません。「売れる価格」ではなく「手元に残る金額」で売り方を比べるのが、最後の失敗を防ぐコツです。

ここまでの6つの失敗は、どれも最終的には「手元にいくら残るか」に影響します。売り出し価格や売り方を決めるときは、売却価格から費用と税金を差し引いた金額で比べる習慣をつけましょう。

売却にかかる費用の内訳

仲介で売る場合の代表的な費用が仲介手数料です。上限は国土交通大臣の告示で決まっており、売買代金400万円を超える部分は3.3%(税込)などの料率で計算します。400万円を超える物件では、「売買代金×3%+6万円」に消費税を加えた額が上限と同じになります。

具体例

3,000万円で売れた場合の仲介手数料の上限

  • 計算:3,000万円×3%+6万円=96万円(税抜)
  • → 消費税10%を加えた上限は105万6,000円

これは上限額で、実際の金額は媒介契約のときに会社と取り決めます。媒介契約書に記載される報酬額を必ず確認しましょう。

仲介手数料のほか、売買契約書に貼る印紙代、測量費、建物の取壊し費用なども、譲渡所得の計算で差し引ける「譲渡費用」になります。領収書は確定申告まで保管しておきましょう。

住宅ローンが残っているなら残債と比べる

住宅ローンを返済中の家には、金融機関の抵当権が付いています。一般的な売買契約書のひな型では、売主は所有権を移す時期までに抵当権を消すことになっており、決済日に売却代金などでローンを全額返し、抵当権の抹消登記を所有権移転の登記と同時に申請するのが通常の流れです。

そのため、売り出す前に金融機関で残債額を確認し、「売却価格−費用」で完済できるかを確かめておくことが欠かせません。売却代金だけで返しきれない場合は、不足分を自己資金で補う、住み替えローンを検討するなど、別の手当てが必要になります。抹消登記の手続きや足りないときの選択肢は住宅ローンが残っている家を売る手順で解説しています。

仲介と買取を手残りで並べる

仲介と買取を比べるときは、価格だけでなく、かかる期間と費用もあわせて並べます。たとえば仲介のほうが価格は高くても、売れるまでの固定資産税や管理費、二重の住居費がかさめば、差は縮まります。

  • 売却価格(仲介は成約見込み価格、買取は提示価格)
  • 仲介手数料・印紙代・測量費などの費用
  • 売れるまでの固定資産税・管理費・ローンの利息
  • 譲渡所得の税金(特例を使えるかどうか)

同じ物件でも、会社によって仲介の査定額と買取の提示額は大きく違います。複数社の数字を同じ表に並べると、自分に合った売り方が見えてきます。

よくある質問

査定はいくつの会社に頼めばよいですか?

決まりはありませんが、1社だけでは査定額が高いのか低いのか判断できません。複数社に頼み、金額だけでなく根拠の取引事例や販売計画を比べるのがコツです。宅建業者は査定額の根拠を示す義務があるので、遠慮せずに説明を求めましょう。

売り出してからどのくらいで値下げを考えるべきですか?

専任媒介契約の有効期間は最長3か月なので、この区切りで反響を振り返るのが目安です。首都圏では登録から成約まで平均80〜100日程度かかっています。問い合わせや内覧がほとんどない場合は、それより早く価格を見直す相談をしてもよいでしょう。

3,000万円控除を使えば確定申告は不要ですか?

いいえ、必要です。マイホームの3,000万円特別控除は、税金がゼロになる場合でも一定の書類を添えて確定申告をしなければ適用されません。申告期間は売った年の翌年2月16日から3月15日までです。住まなくなった家は、3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることも条件です。

免責特約を付ければ、不具合を伝えなくても大丈夫ですか?

大丈夫ではありません。民法572条により、責任を負わない特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れません。

雨漏りや設備の故障など知っている不具合は、告知書に書いて買主に伝えたうえで特約を結びましょう。

この記事のまとめ

  • 査定額の高さではなく、取引事例などの根拠と販売計画の具体性で会社を選ぶ
  • 売り出し価格は相場+交渉の幅で決め、3か月の契約期間を見直しの区切りにする
  • 内覧はお金をかけず、片付け・掃除・明るさと書類の準備で印象を整える
  • 3,000万円控除などの特例は期限と確定申告が条件。売り出す前に確認する
  • 知っている不具合は告知書に書く。免責特約でも告げなかった事実の責任は残る
  • 期限の半年以上前に動き出し、仲介と買取を手残りで比べる

どの失敗も、出発点は「自分の物件の現在の価格」を根拠つきで知ることです。まずは複数社の査定を比べるところから始めてください。

この記事を書いた人

売却ナビット編集部(運営:合同会社GREA)
不動産の一括査定サービス「売却ナビット」を運営。相続・老朽化・投資物件など、売りにくい不動産の売却相談を扱っています。
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル6階/TEL 03-5615-9793(10:00〜18:00 年中無休・年末年始を除く)
記事内の税制・法令に関する記述は、国税庁・法務省・国土交通省などの公表情報をもとに作成しています。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

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