親が住んでいた家が空き家になり、そのままにしてある。処分したいけれど、お金がいくら出ていくのか分からなくて動けない。そんな状態の方は少なくありません。
結論から言うと、空き家を売って処分する場合、大きな費用は売却代金から引かれる形になります。先に自分の財布から出すお金は、思っているより少ないのが普通です。
この記事では、何にいくらかかるのかを項目ごとに整理し、売却代金からいくら手元に残るのかを実際に計算します。
この記事を読むとわかること
- 空き家の処分でかかる費用の全項目と、それぞれ先払いか後払いか
- 600万円で売れた空き家で、手元にいくら残るのかの計算
- 800万円以下の空き家だけに適用される仲介手数料のルール
- かかった費用のうち、税金の計算で差し引けるものと差し引けないもの
- 片付けも解体もせずに手放すときの進め方
この記事の結論忙しい方はここだけ
- 空き家を売るときの費用は、売却代金から引かれるもの(不動産会社への手数料、契約書に貼る税金)と、先に現金で払うもの(名義を変える登記、片付け、解体)に分かれます。
- 600万円で売れた空き家の例では、引かれるのは合計28.1万円で、手元に571.9万円が残ります。
- 売却価格が800万円以下の空き家は、2024年7月1日から不動産会社への手数料の上限が33万円(税込)に変わりました。安い空き家ほど、原則の計算より高くなることがあります。
- 名義を変える登記は、亡くなったことを知った日から3年以内が義務です。放置すると10万円以下の過料(=罰金のようなお金)の対象になります。
- 売るためにかかった費用は税金の計算で差し引けますが、持っている間の固定資産税や修繕費は差し引けません。
空き家の処分費用は何にいくらかかる?まず全体像を知る
「処分するのに何十万円も先に用意しないといけないの?」と心配される方が多いです。実際には、先に現金で払うのは登記・片付け・解体の3つだけで、大きな費用は売却代金から引かれます。
空き家の処分費用がつかみにくいのは、払うタイミングが項目ごとに違うからです。先にまとめて請求されるわけではありません。
整理すると、費用は2種類に分かれます。1つは売れたあとに代金から差し引かれるもの。もう1つは売る前に自分で払うものです。この区別が分かると、用意すべき現金の額が見えてきます。
売却代金から引かれる費用は、先にお金を用意しなくていい
不動産会社に払う手数料と、契約書に貼る税金がこれに当たります。どちらも売却代金から差し引かれるため、手元の貯金から出す必要はありません。
不動産会社に買主を探してもらい、売買が成立したときに払う成功報酬のことです。買主が見つからなければ払いません。これを専門用語で「仲介手数料」または「媒介報酬」といいます。
横にスクロールできます
| 費用の名前 | いくらかかるか | 払うタイミング | 必ずかかるか |
|---|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売却価格の3%+6万円+消費税が上限 | 引き渡しのとき(代金から支払い) | 仲介で売るならかかる |
| 印紙税 | 売買契約書の記載金額で決まる(600万円なら5,000円) | 契約のとき | かかる |
| 登記のための税金(登録免許税) | 固定資産税評価額(税金を計算するための評価額)の0.4% | 登記を申請するとき(先払い) | 相続した空き家はかかる |
| 家財・残置物の撤去 | 量と運び出しやすさで決まる(見積もり次第) | 片付けのとき(先払い) | 今のままの状態で売るならゼロにできる |
| 建物の解体 | 構造・広さ・立地で大きく変わる | 解体のとき(先払い) | 更地にして売る場合だけ |
| 司法書士への報酬 | 依頼する事務所によって異なる | 登記を頼むとき(先払い) | 自分で登記すればかからない |
※仲介手数料と印紙税の金額は国土交通省の告示と国税庁の公表情報に基づく上限・税額です。撤去費用と解体費用に公的な相場はなく、見積もりごとに決まります。
先に現金で払う費用は3つだけ
先払いになるのは、名義を変える登記、家財の片付け、建物の解体の3つです。このうち片付けと解体は、やらずに売る選択もできます。
つまり、家財や古い建物をそのまま残した状態(これを「現況」といいます)で売ると決めれば、先に出すお金は登記の費用だけで済みます。空き家の処分でお金が心配な方は、ここを押さえておくだけで動きやすくなります。
600万円で売れた空き家で、手元にいくら残るか
- 前提:相続した一戸建てを仲介で600万円で売却。原則どおりの手数料で合意
- 前提:固定資産税評価額は土地200万円+建物100万円=300万円
- → 仲介手数料:600万円×3%+6万円=24万円、消費税込みで26.4万円
- → 印紙税(記載金額600万円・軽減後):5,000円(0.5万円)
- → 登記のための税金:300万円×0.4%=1.2万円
- → 引かれる合計:28.1万円/手元に残るのは571.9万円
引かれるのは売却代金の約4.7%です。片付けも解体もしなければ、これ以上の出費はありません。
- 仲介手数料と印紙税は売却代金から引かれるので、先に用意するお金ではない
- 先払いになるのは登記・片付け・解体の3つで、後ろ2つはやらない選択もできる
- 600万円で売れた例では引かれるのは28.1万円で、手元に571.9万円が残る
800万円以下の空き家は、不動産会社への手数料が変わる?
変わります。2024年7月1日から、売却価格800万円以下の空き家は手数料の上限が33万円(税込)まで引き上げられました。安い空き家では、原則の計算より高くなることがあります。
安い空き家でも、現地の調査や書類づくりの手間は高い物件と変わりません。そのため国は、安い空き家を扱う不動産会社が受け取れる金額の上限を引き上げました。空き家の取引が進まない状況を改善するための見直しです。
原則は「売却価格の3%+6万円+消費税」が上限
仲介手数料の上限は、国土交通大臣の告示で決まっています。売却価格を3つの区切りに分け、それぞれの料率を足す仕組みです。
区切りは、200万円以下の部分が5%、200万円を超えて400万円以下の部分が4%、400万円を超える部分が3%です。消費税を含めると、順に5.5%、4.4%、3.3%になります。これをまとめた速算式が3%+6万円+消費税で、400万円を超える物件で使えます。詳しい告示の内容は国土交通省の報酬告示(PDF)で確認できます。
800万円以下の空き家は上限が33万円に。安い家ほど注意
国土交通省は、報酬の上限を定めた告示の改正を2024年7月1日に施行しました。それまで400万円以下だった「低廉な空家等」の対象を、800万円以下に広げました。上限も30万円の1.1倍、つまり33万円(税込)まで引き上げられています。
ここで気をつけたいのは、これが「上限が上がる」制度だという点です。安い空き家では、原則の計算より手数料が高くなることがあります。また、この金額を適用するには事前の合意が必要です。媒介契約(不動産会社に売却を頼む契約)を結ぶときに依頼者へ説明する必要があると、国土交通省の資料(PDF)に明記されています。
| 売却価格 | 原則の上限(税込) | 空き家の特例(税込) |
|---|---|---|
| 200万円 | 11万円 | 33万円 |
| 400万円 | 19.8万円 | 33万円 |
| 600万円 | 26.4万円 | 33万円 |
| 800万円 | 33万円 | 33万円 |
| 1,000万円 | 39.6万円 | 使えない |
※いずれも上限額です。実際の金額は媒介契約で合意した額になります。
400万円で売れた空き家の手数料は、2通りある
- 前提:売却価格400万円の空き家を仲介で売却
- → 原則の上限:400万円×3%+6万円=18万円、消費税込みで19.8万円
- → 空き家の特例を使う場合:30万円×1.1=33万円
- → 差額は13.2万円。特例を使うほうが高くなる
媒介契約を結ぶ前に、どちらの金額で合意するのかを必ず確認してください。
「空き家の特例が使えます」と言われたら、上限が上がる話だと理解してください。安い空き家を早く売ってもらうための仕組みで、売主の負担が軽くなる制度ではありません。
家財が残ったままでも処分できる?片付け代は誰が払うのか
「まず片付けないと話が始まらない」と思い込んでいませんか。実際には家財を置いたまま引き渡せる売り方があり、その場合の片付け代は買主の負担になります。
遠方に住んでいて、何度も実家に通えない。仏壇や写真をどうすればいいか分からない。こうした理由で空き家の処分が止まってしまうケースは多いです。
家財を置いたまま引き渡す契約なら、片付け代はかからない
買主が不動産会社になる「買取」では、残っている家財もまとめて引き受ける契約にできる場合があります。この形なら、売主が払う片付け代をゼロにできます。
不動産会社そのものが買主になって、家を直接買い取る売り方です。買主を一から探す必要がないので、話がまとまるのが早くなります。これを専門用語で「買取」といい、買主を探してもらう「仲介」と区別します。
ただし、片付けの手間は買取価格に反映されます。自分で片付けて仲介で売った場合と比べて、どちらが手元に多く残るのかは必ず比べてください。家の中の物が特に多い場合の進め方はゴミ屋敷を売却する3つの方法で詳しく解説しています。
- 現況のまま査定を依頼片付けずに写真と情報を渡す
- 買取価格の提示家財の処分を含めた金額が出る
- 売買契約残置物を残して引き渡す内容を書面にする
- 引き渡し・代金の受け取り家財はそのまま。片付け代の支払いはなし
片付ける前に必ず探しておきたい書類がある
片付けを業者に頼む場合でも、その前に家の中で探しておきたい書類があります。とくに親が家を買ったときの契約書は捨てないでください。あとで税金の計算に使う大事な証拠になります。
- 売買契約書・領収書(親が家を買ったときの金額が分かるもの)
- 登記済証または登記識別情報通知(いわゆる権利証)
- 建物の図面・建築確認の書類
- 固定資産税の納税通知書(評価額が書かれている)
- 境界を示す測量図
仏壇・位牌・写真・手紙などは、業者に任せる前に家族で扱いを決めておいてください。いったん処分すると取り戻せません。
名義を変えないと売れない?登記の費用と2027年3月の期限
亡くなった人の名義のままでは売れません。名義を変える登記は3年以内が義務で、かかる税金は評価額の0.4%です。
空き家を売るには、今の持ち主が誰なのかを登記で示す必要があります。亡くなった親の名義のままでは、買主に引き渡せません。
相続した空き家は3年以内に登記する義務がある
2024年4月1日から、相続で不動産を取得した人には登記の申請義務があります。期限は所有権を取得したことを知った日から3年以内です。正当な理由なく違反すると、10万円以下の過料の対象になります。
2024年4月1日より前に相続したことを知っていた不動産については、2027年3月31日が期限です。詳しくは法務省の相続登記の申請義務化の案内と、当サイトの相続登記の義務化とはをご覧ください。
登記でかかる税金は評価額の0.4%。100万円以下の土地は免税
登記を申請するときに国に納める税金があります。相続による名義変更の場合、税率は不動産の価額の1,000分の4、つまり0.4%です。価額は固定資産税の評価額を使います。
法務局で名義を書き換えてもらうときに国に納めるお金です。買い物をしたときの消費税のように、手続きの代金として一緒に払います。これを専門用語で「登録免許税」といいます。
さらに、価額が100万円以下の土地については、2027年3月31日までの申請なら免税になる制度があります。田舎の土地や、面積の小さい土地を相続した場合に効いてきます。適用には申請書への記載が必要です。くわしい計算方法は法務局の相続登記ガイドブック(PDF)にまとめられています。
- 相続が始まった日亡くなった日。ここから期限を数えます
- 3年以内名義を変える登記を申請する義務の期限
- 2027年3月31日価額100万円以下の土地が免税になる期限
評価額が分かっているときの登記の税金
- 前提:相続した一戸建て。固定資産税評価額は土地200万円+建物100万円
- → 課税の対象は300万円。300万円×0.4%=1.2万円
- 前提:別に、評価額80万円の小さな土地も相続した場合
- → 100万円以下なので、2027年3月31日までの申請なら0円
税額は100円未満を切り捨てます。司法書士に頼む場合は、別に報酬がかかります。
登記は売却の前に済ませておく
- 名義が亡くなった人のままでは、買主に引き渡せない
- 相続人が複数いる場合は、誰の名義にするかを先に話し合う
- 3年以内という期限は、売る予定がなくても関係なくやってくる
その空き家、処分したら手元にいくら残るか知っていますか?
持ち続けるか、手放すか。判断の前提になるのは「現在の価格」です。
売却するか決めていなくても大丈夫です。
簡単入力60秒・無料。売却ナビットが代わって相談・交渉を行うので、沢山の営業電話の心配はありません。
処分でかかった費用は、税金の計算で差し引ける?
売るために直接かかった費用は差し引けます。ただし、持っている間に払った固定資産税や修繕費は差し引けません。この線引きを間違えると税金を払いすぎます。
空き家を売って利益が出た場合、その利益に税金がかかります。利益は「売れた金額」から「買ったときの値段」と「売るためにかかった費用」を引いて計算します。
売るためにかかった費用は差し引ける。維持費は差し引けない
国税庁は、差し引ける費用を「土地や建物を売るために直接かかった費用」と定めています。仲介手数料、売主が負担した印紙税、土地を売るために建物を取り壊した費用、借家人に払った立退料などが該当します。
一方、持っている間の固定資産税や修繕費は差し引けません。空き家の草刈りや見回りを業者に頼んでいた費用も対象外です。詳しくは国税庁「譲渡費用となるもの」をご覧ください。
家を売るために直接出したお金のことです。家を手放すための「手数料や経費」とイメージすると分かりやすくなります。これを専門用語で「譲渡費用」といい、持っている間の維持費とは区別されます。
横にスクロールできます
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 差し引ける(譲渡費用) | 仲介手数料/売主が負担した印紙税/土地を売るために建物を取り壊した費用と建物の損失額/借家人に払った立退料 |
| 差し引けない | 固定資産税/修繕費/草刈りや見回りなどの管理費用 |
| 買ったときの値段(取得費)に入る | 購入代金/購入時の仲介手数料/購入時の登録免許税・不動産取得税・印紙税(業務用でない場合)/測量費・造成費 |
※国税庁タックスアンサー No.3255 および No.3252 の内容をもとに整理しています。
買ったときにかかった費用も差し引ける(賃貸用は別)
親が家を買ったときに払った登記費用、不動産取得税、印紙税も「買ったときの値段」に含められます。これらを入れ忘れると、利益が大きく計算されて税金が増えます。
ただし、これは業務用でない不動産に限った話です。はじめから賃貸に出すために買ったアパートなどは、これらの税金が不動産所得の経費になるため、買ったときの値段には入りません。判断は国税庁「取得費となるもの」で確認できます。
親が家を買ったときの契約書が見つからない場合、売れた金額の5%を買ったときの値段とみなす方法があります。ただしこの方法を使うと、相続人が払った登記費用を買ったときの値段に入れられません。契約書を探すほうが有利になることが多いです。
空き家の処分費用は、売るためにかかったものは税金で取り戻せる一方、持ち続けるためにかかったものは取り戻せません。空き家を抱えている期間が長いほど、戻ってこない出費が積み上がります。
空き家を売って出た利益に、税金はいくらかかる?
相続した空き家の多くは、条件が合えば3,000万円まで利益から引ける制度で税金がゼロになります。使えない場合の税率は20.315%か39.63%です。
税率の話より先に知っておきたいのが、利益から差し引ける大きな制度です。ここが使えるかどうかで、納める金額が大きく変わります。
多くの相続空き家は3,000万円の控除で税金がゼロになる
親が住んでいた家を相続して売った場合、条件を満たせば利益から最大3,000万円を引けます。多くの空き家は売却価格が3,000万円を下回るため、この制度が使えると税金が0円になります。
ただし条件が細かく、建てられた時期の要件が厳しいのが実情です。主な条件は次のとおりです。
- 2016年4月1日から2027年12月31日までの間に売ること
- 相続が始まった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 1981年5月31日以前に建てられた家であること
- マンションなどの区分所有建物でないこと
- 売った金額が1億円を超えないこと
- 2024年1月1日以後の売却で、家と土地を取得した相続人が3人以上のときは控除額が2,000万円になること
条件の詳細は国税庁の確定申告書の記載例(特例の説明)と、当サイトの相続空き家の3,000万円特別控除とはで確認してください。自治体が発行する確認書が必要になる点にも注意が必要です。
控除が使えないときの税率は20.315%か39.63%
控除が使えない場合は、利益にそのまま税率がかかります。税率は、売った年の1月1日の時点で何年持っていたかで決まります。
| 持っていた期間 | 区分 | 税率の合計 |
|---|---|---|
| 5年を超える | 長期譲渡所得 | 20.315% |
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 39.63% |
※所得税・住民税・復興特別所得税の合計。期間は売った年の1月1日時点で判定します。
相続した空き家の場合、期間は相続した日から数えるのではありません。亡くなった人が買った日から数えます。そのため、親が長く住んでいた家なら長期になるのが一般的です。
利益が400万円だった場合の税金の差
- 前提:控除が使えず、税金がかかる利益が400万円になった場合
- → 5年を超えて持っていた場合:400万円×20.315%=約81万円
- → 5年以下だった場合:400万円×39.63%=約159万円
- → 差額は約78万円。およそ2倍になる
親が買った日から数えるので、相続した空き家は多くの場合で約81万円のほうになります。
税率の根拠は国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」と、期間の数え方は国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」で確認できます。
- 条件が合えば利益から3,000万円を引けるので、多くの空き家は税金ゼロになる
- 制度が使えるのは2027年12月31日までの売却で、相続から3年という期限もある
- 控除が使えない場合の税率は20.315%か39.63%で、約2倍の差が出る
費用をかけずに空き家を処分する進め方
最初にやるのは片付けでも解体でもありません。現況のままで複数の会社に価格を聞くことが、出費を抑える一番の近道です。
片付けや解体にお金をかけてから売りに出すと、その分が回収できないことがあります。先に価格を知れば、お金をかける意味があるかどうかを判断できます。
まずやることは「現況のまま」で価格を聞くこと
空き家の処分は、次の順番で進めると無駄な出費が出にくくなります。
- 持ち主と書類を確認する登記が誰の名義か、相続人が何人いるかを確認します。固定資産税の納税通知書で評価額も分かります
- 名義を変える登記をする亡くなった人の名義のままでは売れません。3年以内という義務の期限もあります
- 片付けずに査定を依頼する家財が残った状態のままで、複数の会社に価格を聞きます。ここで費用はかかりません
- 仲介と買取の手取りを比べる片付け代や解体費を自分で払う前提の金額と、現況のまま買い取る金額を並べて比べます
- 契約し、引き渡す家財を残す場合は、その内容を契約書に書いてもらいます
解体を考えている場合も、解体前に「古家付きのまま」の価格を聞いてください。解体費をかけない方が手取りが多くなることもあります。判断材料は空き家の解体費用が払えない場合の売却方法にまとめています。
仲介と買取、どちらが手元に多く残るか
仲介は時間をかけて高く売る方法、買取は早く確実に手放す方法です。空き家の場合、片付けや修繕を自分でやるかどうかで手取りが逆転することがあります。
仲介で売るメリット
- 買主を探すので、買取より高い金額になりやすい
- 手数料は成功報酬なので、売れなければ払わない
- 800万円以下でも、原則の上限で合意できる場合がある
仲介で売るデメリット
- 買主が見つかるまで、固定資産税と管理費用がかかり続ける
- 片付けや修繕を売主が負担するよう求められることがある
- 引き渡し後に不具合が見つかると責任を問われる
いっぽうで買取は、価格が仲介より低くなるのが一般的です。そのかわり、片付け代と、売れるまで持ち続ける費用がかかりません。管理にいくらかかっているかは空き家の管理費用は年間いくら?で確認できます。
- 持ち続けると毎年いくら出ていくかを計算した
- 現況のままの価格を複数の会社から聞いた
- 片付け・解体にかけたお金が価格に乗るか確認した
- 3,000万円の控除が使えるかを確認した
- 登記の期限(3年以内)までの残り時間を把握した
なお、放置したままにすると、行政から勧告を受けて土地の固定資産税の軽減がなくなることがあります。処分を先延ばしするほど負担が増える仕組みは特定空き家・管理不全空き家の固定資産税6倍とはで解説しています。
空き家の処分で損をしないコツは、お金をかける前に価格を聞くことです。片付けも解体も、価格が分かってから決めれば間違えません。
よくある質問
空き家の処分費用は、売る前に自分で用意しないといけませんか?
いいえ、大きい費用は売却代金から支払う形が基本です。仲介手数料は引き渡しのときに代金から支払い、売主が負担する印紙税も契約のときだけです。
先に現金が必要なのは相続登記の費用と、片付けや解体を自分で行う場合の代金です。片付けも解体もしない現況での売却なら、先に出すお金は登記の費用だけで済みます。
家の中の家財を片付けないと、空き家は処分できませんか?
片付けなくても手放せます。買主が不動産会社になる買取では、家財を置いたまま引き渡す契約にできる場合があります。
この場合、片付け代は買主側の負担になるため、売主が先に現金を用意する必要はありません。ただし買取価格には処分の手間が反映されるので、片付けてから売る場合との手取りの比較が必要です。
空き家の処分でかかった費用は、確定申告で差し引けますか?
売るために直接かかった費用は差し引けます。仲介手数料、売主が負担した印紙税、土地を売るために建物を取り壊した費用などが該当します。
一方で、固定資産税や修繕費、草刈りなどの維持費は差し引けません。また、買ったときの金額が不明で売却代金の5%を使う場合、相続人が払った登記費用は取得費に入れられません。
売れない空き家を国に引き取ってもらうには、いくらかかりますか?
相続土地国庫帰属制度は建物がある土地では申請できないため、まず解体費用がかかります。そのうえで審査手数料が土地1筆につき14,000円、承認されると10年分の管理費相当額の負担金が必要です。
宅地は原則20万円ですが、市街化区域内の宅地は面積に応じて算定されます。解体費用を含めると負担が大きくなる点に注意してください。
この記事のまとめ
- 空き家の処分費用は「代金から引かれるもの」と「先に現金で払うもの」に分かれ、先払いは登記・片付け・解体の3つだけ
- 600万円で売れた例では引かれるのは28.1万円で、手元に571.9万円が残る
- 800万円以下の空き家は手数料の上限が33万円(税込)。安い空き家では原則の計算より高くなることがある
- 家財は置いたまま引き渡せる場合があり、その片付け代は買主の負担になる
- 名義を変える登記は3年以内が義務で、税金は評価額の0.4%。100万円以下の土地は2027年3月31日まで免税
- 売るためにかかった費用は税金で差し引けるが、持っている間の固定資産税や修繕費は差し引けない
片付けや解体にお金をかける前に、現況のままでいくらになるかを確かめてください。まず現在の価格を知ることから始めれば、無駄な出費を避けられます。