親と同居で家を売却するには|どちらを売るか・3,000万円控除と相続税の注意点

親と同居するために親の家と自分の家のどちらを売るか、税金と相続への影響を比べる記事のイメージ

親が高齢になって一人暮らしが心配になった、介護や子育てで助け合いたい——そんな理由で親との同居を考えると、次に出てくるのが「どちらの家を売るか」という問題です。親の家に移るのか、自分の家に親を呼ぶのか、両方売って二世帯住宅を建てるのか。

結論から言うと、売る家が「売る人自身が住んでいた家」なら3,000万円控除が使えるので、売却時の税金はそれほど怖くありません。気をつけるべきは、どちらを売るかで将来の相続税の特例が使えるかどうかが変わることと、名義と資金負担がずれて贈与税がかかることです。

この記事では、同居のための売却で押さえるべき税金・相続・名義の3つの論点を、国税庁の公表情報をもとに順に整理します。

この記事を読むとわかること

  • 親の家・自分の家・両方を売る3パターンの違い
  • 3,000万円控除が使える条件と「住まなくなって3年」の期限
  • 同居が将来の小規模宅地等の特例(土地評価80%減)に与える影響
  • 名義と資金負担がずれたときの贈与税と、非課税の特例
  • 売却・建て替え・リフォームのどれを選ぶかの考え方

この記事の結論

  1. 自分が住んでいた家を第三者に売るなら、親でも子でも譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。転居後に売るなら、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日が期限です。
  2. 子が親の家に移って同居し、相続後も申告期限(通常は死亡の翌日から10か月)まで住み続ければ、土地の評価額を330㎡まで80%減らせる可能性があります。
  3. 逆に親の家を売って子の家に移ると、親の財産は現金に変わり、その土地についての小規模宅地等の特例は使えなくなります。
  4. 二世帯住宅を区分所有建物として登記するかどうかで、特例上の「同居」の範囲が変わります。登記の前に確認が必要です。
  5. 名義と費用負担がずれると贈与と扱われます。親が子の住宅資金を出すなら、2026年12月31日までの非課税の特例(最大1,000万円)の要件を確認してください。

どちらの家を売るか|3つのパターンと判断の軸

結論

同居のための売却は「親の家を売る」「自分の家を売る」「両方売って建て直す・買い直す」の3パターンです。売る人が誰か、残る家の土地が誰の名義かで、使える税の特例が変わります。

同居の相談で多いのは、住み心地や通勤・通院の便利さだけで売る家を決めてしまうケースです。もちろんそれが一番大事ですが、税金と相続の面でも差が出るので、先に全体像を押さえておきましょう。

親の家・自分の家・両方を売る3パターン

どのパターンでも、売る人が自分で住んでいた家を第三者に売るなら、売却の税金では3,000万円控除が使えます。違いが大きいのは、同居後に残る家の土地が誰のものになるかです。

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パターン 売る人と使える控除 同居後に住む家 将来の相続での主な論点
A:子が自分の家を売り、親の家に移る 子が売主。子の自宅なら3,000万円控除の対象 親名義の家 同居の子が相続すれば、要件を満たすと土地評価を80%減らせる可能性
B:親が自分の家を売り、子の家に移る 親が売主。親の自宅なら3,000万円控除の対象 子名義の家 親の財産は売却代金(現金)になり、その土地の特例は使えない
C:両方売って二世帯住宅を建てる・買う 親子それぞれが自分の自宅分で控除の対象 新しい家(名義は資金負担で決める) 名義・持分と登記の形(区分登記の有無)で相続時の扱いが変わる

※控除や特例には、この表に書いた以外にも細かな要件があります。詳しくは各見出しで解説します。

判断の軸は「住み続ける家」と「将来の相続」

まずは暮らしの面から、どちらの家が同居に向くかを考えます。広さ・バリアフリー化のしやすさ・築年数・通院や通勤の便は、税金よりも長く効いてくる要素です。

そのうえで、親の財産が多く相続税がかかりそうな家庭ほど、パターンAとBの差が大きくなります。相続税は、遺産の課税価格の合計が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合に問題になります(国税庁 No.4152 相続税の計算)。

  • 同居後に住む家は、広さ・段差・築年数の面で親の介護に対応できるか
  • 売る予定の家は、売る人自身が住んでいた家か(3,000万円控除の前提)
  • 親の遺産は相続税の基礎控除額を超えそうか
  • 同居後に住む家の土地は、親名義か子名義か
  • 住宅ローンが残っている家はどれか、売却代金で完済できるか

売るのが自宅なら3,000万円控除|親も子も使える条件

結論

自分が住んでいた家を売るなら、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。転居後に売る場合は期限があり、親子間の売買では使えません。

同居のために家を売ると、多くの場合は「マイホームを売ったときの特例」の対象になります。売却益が3,000万円以内なら、所得税・住民税がかからないケースがほとんどです。

用語の補足:譲渡所得

家を売った金額から、買ったときの費用(取得費)と売るためにかかった費用(譲渡費用)を差し引いた「もうけ」の部分です。税金はこの金額をもとに計算します。

売る人自身が住んでいた家であることが前提

国税庁は、マイホーム(居住用財産)を売ったときは所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できるとしています(国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)。対象は「現に自分が住んでいる家屋」や「以前に住んでいた家屋」などです。

ポイントは、控除を使えるのは売る家に住んでいた名義人本人だということです。親名義の家を、別の家に住んでいた子が売っても、子はこの控除の対象になりません。誰の名義の家を誰が売るのかを、最初に登記で確認してください。

具体例

子が自分の家を売って親の家に移る場合

  • 前提:子が自分で住んでいた家を3,500万円で売却。取得費は500万円、譲渡費用は140万円
  • → 譲渡所得:3,500万円−(500万円+140万円)=2,860万円
  • → 3,000万円控除後:2,860万円−2,860万円=0円(所得税・住民税はかからない)
  • → 控除を使わず長期譲渡所得の税率20.315%で計算した場合:2,860万円×20.315%=581万90円

控除の有無で手残りが500万円以上変わります。ただし税額がゼロでも、特例を受けるには確定申告が必要です。

長期譲渡所得の税率は所得税15%・住民税5%で、これに基準所得税額の2.1%の復興特別所得税が加わります(国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算)。所有期間による税率の違いは短期譲渡所得の記事で詳しく解説しています。

住まなくなってから3年目の年末までに売る

同居を先に始めて、空いた家をあとから売るケースもあります。この場合、以前に住んでいた家として控除の対象になるのは、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売った場合に限られます。住まなくなった後は、貸していても空き家でもかまいません。

  1. 2026年10月:同居開始元の家に住まなくなった日が起点
  2. 2027年〜2028年:売却活動この間に売れば控除の対象になり得る
  3. 2029年10月:3年経過3年を経過する日が属する年はまだ間に合う
  4. 2029年12月31日:期限これを過ぎると以前に住んでいた家として控除を使えない
図:2026年10月に同居を始めた場合の3,000万円控除の売却期限

また、家屋を取り壊して土地だけを売る場合は、取り壊した日から1年以内に売買契約を結び、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。取り壊してから契約までの間、その土地を貸駐車場などに使っていないことも条件です。

親子間の売買・住宅ローン控除との関係

「親の家を子が買い取って同居する」という形は、税金面では不利です。この控除は親子や夫婦など特別の関係がある人への売却には使えません。生計を一にする親族や、売った後にその家で同居する親族も特別の関係に含まれます。

注意

新しく家を買って住宅ローン控除を使う予定なら要注意です。入居した年、その前年または前々年にこの3,000万円控除を受けた場合は、住宅ローン控除を受けられません。入居した年の翌年から3年目までに、住宅ローン控除の対象以外の資産を売ってこの控除を受ける場合も同様です。どちらが得かは事前に試算してください。

さらに、売った年の前年・前々年にこの控除を受けていないことも要件です。10年を超えて所有していた家なら、軽減税率の特例(課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分の所得税率10%)と重ねて使えます(国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例)。

この項目のまとめ
  • 自分が住んでいた家を売るなら、所有期間を問わず最高3,000万円控除
  • 同居後に売るなら「住まなくなって3年を経過する日の属する年の12月31日」が期限
  • 親子間の売買では使えない。住宅ローン控除とも原則併用できない

将来の相続への影響|小規模宅地等の特例と同居

結論

親の家に子が移って同居すると、相続のときに土地の評価額を330㎡まで80%減らせる可能性があります。親の家を売ってしまうと、その土地についてこの特例は使えません。

売却時の税金は3,000万円控除でゼロになることが多い一方、どちらを売るかで差がつくのが相続税です。親の財産が基礎控除額を超えそうな家庭では、この項目を必ず確認してください。

用語の補足:小規模宅地等の特例

亡くなった人が住んでいた土地などを一定の親族が相続したとき、相続税の計算上、一定の面積まで土地の評価額を減らせる制度です。自宅の土地は「特定居住用宅地等」と呼ばれます。

同居の子なら土地の評価額を80%減らせる

国税庁によると、特定居住用宅地等は限度面積330㎡、減額割合80%です(国税庁 No.4124 小規模宅地等の特例)。配偶者が取得する場合は取得者ごとの要件がありませんが、子が取得する場合は要件があります。

親と同じ建物に住んでいた子なら、相続開始の直前から相続税の申告期限まで住み続け、土地を持ち続けることが要件です。申告期限は、通常は亡くなった日の翌日から10か月以内です(国税庁 No.4205 相続税の申告と納税)。

具体例

同居の子が親の家の土地を相続した場合

  • 前提:親の自宅の土地は200㎡、相続税評価額6,000万円。同居の子が相続し、申告期限まで住み続ける
  • → 200㎡は限度面積330㎡以内なので、全体に80%の減額が使える
  • → 減額される金額:6,000万円×80%=4,800万円
  • → 相続税の計算に入る土地の評価額:1,200万円

同居していない子が相続すると、この特例を使えない場合があります。土地の評価額が4,800万円違えば、相続税額も大きく変わります。

別居の子が使えるのは、親に配偶者がいないこと、相続開始前3年以内に自分や配偶者などが所有する家に住んでいないこと、今住む家を過去に所有したことがないことなど、すべての要件を満たす場合に限られます。持ち家に住む子は、原則として対象外と考えてください。

親の家を先に売ると特例の対象がなくなる

この特例は、亡くなった人などが住んでいた「宅地等(土地や借地権)」が対象です。親が生前に家を売って子の家に移れば、親の財産は売却代金という現金になり、その土地について評価額を減らす余地はなくなります。

親の家を売らずに子の家へ移った場合も注意が必要です。特例の対象は相続開始の直前に親が住んでいた土地なので、子の家に住所を移した後の元の家は、原則として親の住まいとしては扱われません。要介護認定を受けて老人ホームなどに入所した場合には、一定の要件で元の家が親の住まいとして扱われる例外があります。

注意

同居していた子が親の死後に家を売る場合、相続税の申告期限より前に売ると「申告期限まで所有・居住」の要件を満たせません。

また、相続した空き家の3,000万円控除は、相続開始の直前に親以外に住んでいた人がいないことが要件なので、同居していた家には原則として使えません(国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)。

空き家特例の詳しい要件は相続空き家の3,000万円特別控除の記事をご覧ください。

二世帯住宅は区分登記の有無で扱いが変わる

二世帯住宅では、建物の登記の仕方で「同居」の範囲が変わります。国税庁は、区分所有建物である旨の登記がされている建物とそれ以外の建物を分けて扱っています。

建物の登記 同居の親族として扱われる範囲
区分所有建物である旨の登記がある 親が住んでいた部分に住んでいた親族だけ
区分所有の登記がない(単独名義・共有名義) 親または親の親族が住んでいた部分に住んでいた親族

※国税庁 No.4124 の注記に基づく。玄関が別でも、区分所有の登記がなければ下段の扱いになります。

二世帯住宅を新築したり買い直したりする場合、区分登記にするかどうかは住宅ローンの組み方とも関係します。登記の形を決める前に税理士に相談するのが安全です。

結論

親の財産が相続税の基礎控除額を超えそうなら、子が親の家に移り、親の家は売らずに残す形が相続税の面では有利になりやすいです。売却の税金だけで売る家を決めないでください。

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名義と資金負担|同居の家で贈与にならないために

結論

家の名義(持分)は、実際にお金を出した割合に合わせるのが原則です。出していない人の名義で不動産を取得すると、原則として贈与として扱われます。

同居のための売却では、親の売却代金を子の家のリフォームに充てる、両方の売却代金を合わせて二世帯住宅を買う、といったお金の動きが生まれます。ここで名義の付け方を誤ると、想定外の贈与税がかかります。

名義と費用負担を一致させるのが原則

相続税法基本通達9-9は、他の者の名義で新たに不動産を取得した場合などは、原則として贈与として取り扱うとしています(国税庁 相続税法基本通達 9-9)。たとえば親が半分の資金を出したのに、子の単独名義で二世帯住宅を登記すると、親から子への贈与と見られるおそれがあります。

贈与税は、1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計額から基礎控除額110万円を差し引いた残りにかかります(国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合)。

具体例

親が子の家の増築費用800万円を出した場合(特例を使わないとき)

  • 前提:18歳以上の子が親から800万円を受け取り、子名義の家の増築に充てた。この年に他の贈与はない
  • → 基礎控除後の課税価格:800万円−110万円=690万円
  • → 特例税率(父母から18歳以上の子への贈与):690万円×30%−90万円=117万円

税率と控除額は国税庁 No.4408 の速算表(特例贈与財産用)によります。次の非課税の特例の要件を満たせば、この税額がかからない可能性があります。

親が資金を出すなら住宅取得等資金の非課税を確認

父母や祖父母から、自分が住む家の新築・取得・増改築の資金をもらった場合は非課税の特例があります。2024年1月1日から2026年12月31日までの贈与が対象で、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外の住宅は500万円まで贈与税が非課税です(国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税)。

  • 贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上、その年の合計所得金額が2,000万円以下
  • 増改築なら、自分が所有して住んでいる家の工事で、費用が100万円以上
  • 家屋の床面積の2分の1以上が、贈与を受けた本人の居住用であること
  • 贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、特例を受ける旨を記載した贈与税の申告書を提出
  • 住宅ローンの返済に充てるための贈与は対象外

二世帯住宅では、床面積の2分の1以上が贈与を受けた子の居住用かが問題になりやすいので、間取りの段階で確認してください。期限が2026年12月31日に迫っているため、年明け以降に贈与する場合は、その時点の制度を改めて確認する必要があります。

親の土地に子が家を建てる場合

親の土地に子が二世帯住宅を建てるケースでは、地代も権利金も払わずに土地を借りる「使用貸借」なら、子が借地権相当額の贈与を受けたとして贈与税が課税されることはありません(国税庁 No.4552 親の土地に子供が家を建てたとき)。

相続のときは、その土地は貸している土地ではなく自分で使っている土地(自用地)として評価されます。土地が親名義のまま残るので、同居の子が相続すれば、要件を満たすと前述の小規模宅地等の特例を検討できます。

POINT

名義で迷ったら「誰がいくら出したか」を記録する

  • 売却代金・自己資金・ローンを人ごとに分けて一覧にし、持分をその割合で決める
  • 親の家を売った代金で子の家を直すなら、贈与として申告するか、持分を親に持たせるかを決める
  • 共有名義にした家全体を将来売るには、原則として他の共有者の同意が必要になる(民法251条)

共有名義の家を将来売る場面の注意点は、相続で共有名義になった不動産の売却方法の記事で解説しています。

売却・建て替え・リフォームの比較

結論

どちらかの家を売る、親の家を建て替える、リフォームして同居する——選択肢ごとに、使える税の特例と手元に残るお金が違います。建て替えの仮住まいとして使った家は3,000万円控除の対象外です。

同居の方法は売却だけではありません。親の家が広い、立地が良いといった場合は、建て替えやリフォームで同居する選択肢も比べてみましょう。

3つの選択肢を費用と税金で比べる

大きな違いは、まとまった現金が入るか、出ていくかです。売却なら売却代金が入り、建て替え・リフォームなら工事費が出ていきます。

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選択肢 お金の流れ 関係する税の特例 主な注意点
どちらかの家を売って同居 売却代金が入る 3,000万円控除(売る人の自宅なら) 親の家を売ると、その土地の小規模宅地等の特例は使えなくなる
親の家(親の土地)を建て替えて二世帯住宅に 建築費が出ていく 使用貸借なら借地権の贈与税はかからない。住宅取得等資金の非課税 建物の名義と費用負担、区分登記の有無を決める必要がある
どちらかの家をリフォームして同居 工事費が出ていく 住宅取得等資金の非課税(増改築は工事費100万円以上など) 建物の名義人以外がお金を出すと贈与の問題が生じうる

※使わなくなったもう一方の家を売る場合は、売る人の自宅であれば3,000万円控除の対象になり得ます。

建て替え中の仮住まいは3,000万円控除の対象外

親の家を建て替える間、子の家に親が一時的に住むといった段取りはよくあります。ただし国税庁は、居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋には3,000万円控除を適用しないとしています。

この特例を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋も同様です。「控除を使うために、売る前に少しだけ住む」という方法は通用しないと考えてください。

売却して同居するメリット

  • 売却代金が入り、介護や生活の資金に回せる
  • 空き家の管理や固定資産税の負担がなくなる
  • 自宅なら3,000万円控除で税金がかからないことが多い

建て替え・リフォームと比べたデメリット

  • 住み慣れた家や土地を手放すことになる
  • 親の家を売ると、相続時の土地評価の特例が使えなくなる
  • 同居がうまくいかなくても、売った家には戻れない

親の家が古く、建て替えたくても接道の問題で建て替えられない土地もあります。その場合の考え方は再建築不可物件の売却方法の記事を参考にしてください。

同居のための売却の進め方|順番と買取の使い分け

結論

まず両方の家の価格を知り、税金と相続の影響を試算してから同居の形を決めます。引越しや工事の日程に売却を合わせたいなら、買取も選択肢です。

同居の話は家族の気持ちが先に動きがちですが、売る家と売る順番を間違えると、税金や相続で取り返しのつかない差が出ます。次の順番で進めてください。

価格を知ってから同居の形を決める

どちらの家を売るかを決めるには、両方の家がいくらで売れるかを知る必要があります。価格が分からないと、3,000万円控除の範囲に収まるかも、二世帯住宅の資金が足りるかも判断できません。

  1. 名義と住んでいる人を確認する登記事項証明書で両方の家の名義と持分を確認し、誰が住んでいるかを整理する
  2. 両方の家の価格を把握する複数社の査定で、仲介と買取それぞれの価格帯を押さえる
  3. 税金と相続を試算する3,000万円控除、小規模宅地等の特例、贈与税の影響をパターンごとに税理士と確認する
  4. 同居の形と名義を決めるどちらの家に住むか、建て替えやリフォームをするか、持分をどうするかを家族で合意する
  5. 売却と翌年の確定申告特例を受けるには、税額がゼロでも書類を添えて確定申告をする
  1. 名義と居住者の確認控除を使えるのは住んでいた名義人
  2. 両方の家を査定仲介・買取の価格帯を知る
  3. 税金と相続を試算売る家で相続税が変わる
  4. 先に売ってしまう特例の対象を失うと元に戻せない
図:同居のために家を売るときの検討順序

住み替えの日程に合わせるなら買取も選択肢

同居では「親の退院までに」「子どもの入学に合わせて」など、引越しの日程が先に決まることがよくあります。仲介は買主が見つかるまで時期が読めないため、引渡し日を相談して決めやすい買取が向く場面があります。

一方で買取価格は仲介より低くなるのが一般的です。3,000万円控除の期限(住まなくなって3年を経過する日の属する年の12月31日)に余裕があるなら仲介で高く売り、日程が厳しければ買取で確実に手放す、という使い分けが現実的です。

  • 購入時の売買契約書・領収書(取得費の確認に使う)
  • 登記事項証明書(名義・持分の確認)
  • 住民票や戸籍の附票(売る家に住んでいたことの確認)
  • 住宅ローンの残高証明書(残債がある場合)
  • リフォームや増築の契約書・領収書

3,000万円控除の確定申告では、売買契約日の前日の住民票の住所と売った家の所在地が違う場合などに、戸籍の附票の写しなど住んでいたことを示す書類の提出が求められます。同居で住民票を先に移す場合は、この点も覚えておいてください。

親の家を売るなら、親本人の判断能力を先に確認する

親名義の家を売るときの売主は親本人です。同居する子が段取りを進めても、売買契約を結ぶのは親であり、親自身に売る意思と、それを判断できる力があることが前提になります。

法務省は、認知症などで判断能力が不十分な人は、不動産などの財産の管理や契約を自分でするのが難しい場合があるとしています(法務省 成年後見制度・成年後見登記制度Q&A)。その場合は成年後見制度を利用し、後見人が親に代わって手続きをすることになります。

注意

後見人が本人の居住用不動産を売るには、家庭裁判所の許可が必要で、許可なしの処分は無効になります。いま施設や病院にいて住んでいない家も、入所前に住んでいた家なら対象です(裁判所 居住用不動産処分の許可)。後見の申立てから売却までには時間がかかるため、親が元気なうちに売るかどうかを話し合っておくと、同居の日程を立てやすくなります。

この項目のまとめ
  • 名義確認→両方の家の査定→税金と相続の試算→同居の形を決める、の順で進める
  • 日程が先に決まっているなら、引渡し日を決めやすい買取も比べる
  • 住民票を先に移すなら、住んでいたことを示す書類を用意しておく
  • 親の家を売るなら、親本人が契約できる状態かを先に確認する

よくある質問

親の家を売って子の家で同居する場合、親は3,000万円控除を使えますか?

親が住んでいた家を親自身が売るなら、親が控除を使えます。転居後に売る場合は、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件です。子や配偶者など特別の関係がある人に売った場合は使えません。

同居している子は、親の家の土地で小規模宅地等の特例を使えますか?

親が住んでいた建物に一緒に住んでいた子が土地を相続し、相続税の申告期限まで住み続けて所有していれば、330平方メートルまで評価額を80%減らせます。

申告期限は、通常は親が亡くなった日の翌日から10か月以内です。期限前に売ると、この要件を満たせません。

二世帯住宅は区分登記したほうがいいですか?

相続税の面では慎重に考えてください。区分所有建物である旨の登記をすると、小規模宅地等の特例で同居の親族として扱われるのは、親が住んでいた部分に住んでいた親族に限られます。

区分登記のない二世帯住宅なら、親や親族が住んでいた部分に住んでいた親族が対象になります。建築や登記の前に税理士に相談してください。

親が子の家の増築費用を出すと贈与税がかかりますか?

親が出した資金は、原則として子が親から贈与を受けたものとして扱われ、年110万円の基礎控除を超えると贈与税の対象です。

ただし直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例を使えば、2026年12月31日までの贈与について、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外は500万円まで非課税になります。工事費用100万円以上などの要件と、翌年の贈与税の申告が必要です。

この記事のまとめ

  • 同居のための売却は「親の家」「自分の家」「両方」の3パターン。残る家の土地の名義で相続の扱いが変わる
  • 自分が住んでいた家を第三者に売るなら最高3,000万円控除。転居後は3年目の年末が期限
  • 子が親の家に移って同居すれば、相続時に土地評価を330㎡まで80%減らせる可能性がある
  • 二世帯住宅は区分登記の有無で特例上の「同居」の範囲が変わる
  • 名義は資金負担に合わせる。親の資金援助は2026年末までの非課税の特例を確認
  • 建て替え・リフォームとも比べ、日程が厳しければ買取も選択肢にする

どちらの家を売るのが良いかは、両方の家の価格が分からなければ決められません。まずは現在の価格を知ることから始めてください。

この記事を書いた人

売却ナビット編集部(運営:合同会社GREA)
不動産の一括査定サービス「売却ナビット」を運営。相続・老朽化・投資物件など、売りにくい不動産の売却相談を扱っています。
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル6階/TEL 03-5615-9793(10:00〜18:00 年中無休・年末年始を除く)
記事内の税制・法令に関する記述は、国税庁・法務省・国土交通省などの公表情報をもとに作成しています。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

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