不動産担保ローンとは?審査・費用・総量規制と売却・リースバックとの比較

不動産担保ローンの審査・費用・総量規制と、売却・リースバックとの比較を解説する記事のイメージ

事業の運転資金が足りない、複数の借入れをまとめたい、まとまったお金が急に必要になった——そんなときに選択肢として出てくるのが、持っている家や土地を担保にお金を借りる「不動産担保ローン」です。無担保のローンでは借りられない金額でも、不動産があれば相談できる場合があります。

結論から言うと、不動産担保ローンは返せなくなれば担保の不動産を競売で失う借り方です。さらに、貸金業者から借りる場合は自宅を担保にしても総量規制の「除外」にはならないという、誤解されやすいルールがあります。

借りる前に、仕組み・費用・総量規制の正しい区分を押さえ、「売却」や「リースバック」で資金を作る方法とも比べてから決めてください。

この記事を読むとわかること

  • 抵当権・根抵当権の仕組みと、住宅ローン・無担保ローンとの違い
  • 審査で見られる担保評価と返済能力、申込みから融資までの流れ
  • 登録免許税0.4%・印紙税など、金利以外にかかる費用
  • 総量規制の「除外」と「例外」の違いと、自宅担保の扱い
  • 返済できないときの競売の流れと、売却・リースバックとの比較

この記事の結論

  1. 不動産担保ローンは、不動産に抵当権(または根抵当権)を設定して借りるローンです。返済が止まると、債権者は裁判所に担保不動産競売を申し立てられます。
  2. 金利のほかに、抵当権設定登記の登録免許税(債権金額の1,000分の4)や、2,000万円の借入れなら2万円の印紙税などがかかります。
  3. 貸金業者の総量規制(年収の3分の1)で「除外」になるのは自宅以外の不動産を担保にする貸付けです。自宅や自宅の敷地を担保にする場合は除外になりません。
  4. 銀行などは貸金業者ではないため総量規制の対象外です。個人事業者の事業資金などは、要件を満たせば「例外」として年収の3分の1を超えて借りられます。
  5. 返済のめどが立たないなら、借りる前に売却やリースバックと手残りを比べるのが安全です。まず不動産の現在の価格を知ることが判断の出発点になります。

不動産担保ローンとは|仕組みと他のローンとの違い

結論

不動産担保ローンは、所有する不動産に抵当権などを設定し、それを担保にお金を借りる方法です。返済できなくなると、債権者は担保の不動産から優先して回収できます。

担保に入れても、不動産を明け渡す必要はありません。自宅なら住み続けられますし、賃貸中のアパートなら家賃収入もそのまま入ります。ただし、返済が続く間は不動産に担保権の登記が残ります。

抵当権を設定して借りる仕組み

民法では、抵当権者は、債務者などが占有を移さないまま担保に差し出した不動産から、他の債権者に先立って弁済を受けられると定めています(民法第369条)。使い続けられる代わりに、優先的に回収される権利が付く、という関係です。

同じ不動産に複数の抵当権を設定することもでき、その順位は登記の前後で決まります(民法第373条)。住宅ローンの抵当権が残っている自宅に追加で担保を設定すると、後から設定した側は「二番抵当」となり、回収の順番が後になります。

用語の補足:抵当権

お金を貸した人が、返済されないときに担保の不動産を売ってもらい、その代金から優先的に回収できる権利です。設定すると、その内容が不動産の登記簿に記録されます。

抵当権と根抵当権の違い

1回だけ借りて返していく契約なら、通常の抵当権を設定します。一方、事業資金のように借りては返すを繰り返す場合は、上限額(極度額)の範囲で繰り返し担保できる「根抵当権」が使われることがあります(民法第398条の2)。

根抵当権は、確定した元本や利息、遅延損害金のすべてを極度額まで担保します(民法第398条の3)。完済した後に不動産を売るときは、抵当権・根抵当権の抹消登記が済んでいるかを必ず確認してください。

住宅ローン・無担保ローンとの違い

同じ「不動産に抵当権を付けるローン」でも、住宅ローンと不動産担保ローンは目的が違います。貸金業法は住宅ローンにあたる契約を「住宅の建設・購入(土地・借地権の取得を含む)や改良に必要な資金の貸付け」と定義しています(貸金業法第2条第17項)。

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項目 不動産担保ローン 住宅ローン 無担保ローン(カードローン等)
担保 所有する不動産(自宅・賃貸物件・土地など) 購入・建築する住宅 なし
資金の使い道 事業資金・借換え・生活資金など、契約で定める範囲 住宅の購入・建築・改良 契約で定める範囲
抵当権設定の登録免許税 債権金額の0.4% 要件を満たせば0.1%(令和9年3月31日までの特例) かからない
返済できないとき 担保不動産競売の対象になる 担保不動産競売の対象になる 担保はないが、判決などの債務名義を得た債権者に財産を差し押さえられることがある

※金利・借入上限・審査期間は金融機関ごとに異なるため、この表には載せていません。登録免許税は財務省「登録免許税の概要」による。

親や配偶者の名義の不動産を担保にする場合

民法第369条は、債務者だけでなく第三者が担保に供した不動産にも抵当権が成り立つとしています。そのため、親や配偶者の名義の不動産を担保に借りることも制度上は可能ですが、担保に差し出すのは名義人本人なので、名義人が自ら抵当権の設定に応じることが前提です。

  • 名義人は借金をしていなくても、返済が止まれば自分の不動産が競売の対象になる
  • 名義人が代わりに返済したり競売で不動産を失ったりしたときは、借りた人に立て替え分を請求できる(求償権:民法第372条で準用する第351条)
  • 名義人が認知症などで成年後見を受けている場合、後見人が本人の住まいに抵当権を設定するには家庭裁判所の許可が必要(民法第859条の3)

家族の不動産を担保にすると、返済が滞ったときに家族の住まいまで失うおそれがあります。成年後見と不動産の扱いは「成年後見人が不動産売却するには」も参考にしてください。

審査で見られるポイントと融資までの流れ

結論

審査は「担保の不動産がいくらの価値か」と「本人に返す力があるか」の両方で行われます。担保があっても、返済能力を超える貸付けは法律上できません。

「不動産があれば収入が少なくても借りられる」と考えがちですが、貸金業法は返済能力を超える貸付けを禁じています(貸金業法第13条の2第1項)。担保は回収の手段であって、返済できることの代わりにはなりません。

担保評価:借りられる額は不動産の価格が基準

借入可能額の基準になるのは担保の評価額です。たとえば貸金業者が自宅以外の不動産を担保に総量規制の「除外」として貸す場合、貸付額は契約時の不動産の価格の範囲内でなければなりません(貸金業法施行規則第10条の21第1項第6号)。

この「価格」は、鑑定評価額・公示価格・路線価・固定資産税評価額などの資料をもとに合理的に算出した額とされています。住宅ローンが残っている場合は、その残高が先に回収される分だけ、追加で借りられる額は小さくなります。

注意

担保の評価額は売れる価格と一致するとは限らず、評価の方法も金融機関ごとに異なります。再建築不可物件のように買い手が限られる不動産は、借りる前に売れる価格を確かめておくと判断しやすくなります。

返済能力:担保があっても収入は見られる

返済能力の確認では、収入、ほかの借入れの残高と返済額、過去の返済状況(信用情報)などが見られます。貸金業者が個人に貸すときは、原則として指定信用情報機関の信用情報を使って調べることが義務付けられています(貸金業法第13条第2項)。

  • 収入を証明する書類(源泉徴収票・確定申告書など)
  • 担保不動産の登記事項証明書・固定資産税の評価証明書
  • 本人確認書類と、ほかの借入れの残高・返済額が分かる資料
  • 事業資金の場合は事業計画・資金繰りの資料

申込みから融資実行までの流れ

担保の調査と登記が入る分、無担保ローンよりも手順が多くなります。資金が必要な日から逆算して、余裕をもって相談することが大切です。

  1. 相談・仮審査借入希望額・使い道・担保の概要を伝え、借りられる見込みを確認します。
  2. 担保の調査・本審査登記簿や現地を確認して担保を評価し、収入や信用情報とあわせて審査します。
  3. 契約・抵当権設定登記金銭消費貸借契約と抵当権設定契約を結び、法務局に登記を申請します。
  4. 融資の実行・返済開始融資金が振り込まれ、契約どおりの返済が始まります。

金利以外にかかる費用|登記・印紙・手数料

結論

契約時には、抵当権設定登記の登録免許税(債権金額の0.4%)と契約書の印紙税が必ずかかります。2,000万円を借りると、この2つだけで10万円になります。

金利の比較だけで決めると、初期費用で想定より手元に残る額が減ることがあります。ここでは法律で金額が決まっている費用を中心に整理します。司法書士の報酬や事務手数料は依頼先・金融機関ごとに異なるため、見積もりで確認してください。

抵当権設定登記の登録免許税は0.4%

抵当権の設定登記の登録免許税は、債権金額(根抵当権なら極度金額)の1,000分の4です(登録免許税法 別表第一)。住宅の取得資金で一定の要件を満たす場合の0.1%の軽減は、不動産担保ローンには通常使えません。

完済後に抵当権を抹消する登記は、不動産1個につき1,000円です。土地と建物は別々に数えるため、一戸建てなら通常2個分になります。

金銭消費貸借契約書の印紙税

お金を借りる契約書は印紙税の第1号文書にあたり、契約金額に応じて税額が決まります(国税庁 No.7140)。

契約金額 印紙税額
100万円超500万円以下 2,000円
500万円超1,000万円以下 1万円
1,000万円超5,000万円以下 2万円
5,000万円超1億円以下 6万円

※国税庁タックスアンサー No.7140(第1号文書)より抜粋。

具体例

2,000万円を借りて抵当権を設定する場合の税金

  • 登録免許税:2,000万円 × 0.4% = 8万円
  • 印紙税:1,000万円超5,000万円以下なので 2万円
  • → 税金だけで合計10万円。ここに司法書士報酬や金融機関の手数料が加わります

根抵当権で極度額を2,500万円にすると、登録免許税は2,500万円 × 0.4% = 10万円です。実際の借入額ではなく極度額にかかる点に注意してください。

手数料も利息とみなされる?利息制限法の上限

利息制限法は、元本100万円以上の貸付けの利息の上限を年15%と定めています(利息制限法第1条)。不動産担保ローンは金額が大きくなりやすいので、多くの場合この区分にあたります。

また、礼金・手数料・調査料など名目を問わず、貸主が受け取る元本以外のお金は原則として利息とみなされます。ただし、契約の締結や弁済にかかる費用は利息に含まれません(同法第3条)。手数料の名目で上限を超える負担を求められていないか、契約前に総額で確認してください。

延滞したときの遅延損害金にも上限があり、業として貸す場合は年20%までです(同法第7条)。

この項目のまとめ
  • 登録免許税は債権金額(根抵当権は極度金額)の0.4%、印紙税は契約金額で決まる
  • 元本100万円以上の利息上限は年15%、遅延損害金は年20%まで
  • 手数料も原則は利息とみなされるため、総額で比べる

総量規制の扱い|「除外」と「例外」を正しく区別する

結論

総量規制の対象外になる貸付けには「除外」と「例外」の2種類があります。自宅以外の不動産を担保にする貸付けは「除外」、自宅を担保にする貸付けは除外になりません。

「不動産担保ローンは総量規制の対象外」とひとくくりに説明されることがありますが、正確ではありません。担保にする不動産が自宅かどうか、借り手が個人か法人か、借入先が貸金業者か銀行かで扱いが変わります。

総量規制は貸金業者から個人への貸付けのルール

総量規制は、貸金業者が個人に貸すとき、貸金業者からの借入残高の合計が年収の3分の1を超えることになる契約を原則として禁じるルールです(貸金業法第13条の2)。ここでいう年収は、年間の給与やこれに類する定期的な収入です。

対象は個人顧客なので、法人が借りる場合は総量規制の対象外です。また、貸付けを業として行うことについて他の法律に特別の規定がある者は「貸金業」から除かれているため(貸金業法第2条第1項第2号)、銀行などからの借入れにはこのルール自体が適用されません。

「除外」と「例外」は残高の数え方が違う

貸金業法は、総量規制から外れる契約を2つの府令で定めています。「除外」は残高を年収の3分の1の計算に入れないもの、「例外」は残高を計算に入れたうえで、3分の1を超えても貸してよいとされるものです。

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区分 根拠 不動産に関係する主な貸付け 残高の扱い
除外 施行規則第10条の21 ・不動産の購入・建設・改良資金
・自宅以外の不動産を担保にする貸付け(不動産の価格の範囲内)
・売却予定の不動産の売却代金で返す貸付け(不動産の価格の範囲内)
年収の3分の1の計算に含めない
例外 施行規則第10条の23 ・顧客に一方的に有利な借換え(おまとめ)
・事業を営む個人への事業資金(事業実態と返済能力の確認が条件)
・新たに事業を始める個人への開業資金
計算に含める(ただし3分の1を超えても貸付け可能)

※どちらも「返済能力を超えないと認められること」が前提です。

自宅を担保にすると「除外」にならない

除外の対象になる担保不動産からは、本人または担保を出す人の居宅、居宅の敷地や借地権、生計を維持するために不可欠なものがはっきり除かれています(施行規則第10条の21第1項第6号)。つまり、貸金業者から自宅を担保に借りる場合は、原則どおり年収の3分の1までです。

ただし、自宅担保でも、個人事業者が事業資金として借りる場合や、条件を満たすおまとめの借換えであれば「例外」として3分の1を超えられることがあります。どの区分で審査されるのかは、申込み時に金融機関に確認してください。

具体例

年収600万円・カードローン残高50万円の会社員が貸金業者から借りる場合

  • 総量規制の上限:600万円 × 1/3 = 200万円
  • 自宅を担保にする場合:既存の50万円と合わせて200万円まで → 新たに借りられるのは150万円まで
  • 自宅以外(貸している土地など)を担保にする場合:生計の維持に不可欠な不動産でなければ除外貸付けなので3分の1の上限は受けず、その不動産の価格と返済能力の範囲内で審査される

同じ人・同じ貸金業者でも、担保が自宅かどうかで借りられる額の上限がまったく変わります。

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返済できないとどうなる?延滞から競売までの流れ

結論

延滞が続くと残りを一括で請求され、払えなければ債権者が担保不動産競売を申し立てます。競売では売却の時期や価格を所有者が決められません。

抵当権の登記がある不動産なら、債権者は裁判で判決を取らなくても、登記を示して競売を申し立てられます(民事執行法第181条)。担保付きの借入れは、無担保の借入れよりも回収の手続きが早く進む仕組みです。

延滞が続くと残りを一括で求められる

分割で返す約束は、債務者にとって「期限までは返さなくてよい」という利益(期限の利益)です。ローン契約には、延滞が続いたときにこの利益を失い、残額を一括で返すことになる条項(期限の利益喪失条項)が定められていることがあります。条件は契約書の「期限の利益の喪失」の条文で確認してください。

また、民法でも、債務者が担保を壊したり減らしたりしたときは期限の利益を主張できないとされています(民法第137条)。担保の建物を勝手に取り壊すといった行為も、一括請求の原因になりえます。

担保不動産競売の流れ

競売は、裁判所が不動産を差し押さえて売却し、その代金を返済にあてる手続きです。買受けの申出額は、評価人の評価に基づいて決まる売却基準価額の8割(買受可能価額)以上であればよいとされています(民事執行法第60条)。

  1. 延滞・一括請求期限の利益を失う
  2. 競売の申立て差押えの登記
  3. 評価・公告売却基準価額が決まる
  4. 入札・開札最高価の買受人が決まる
  5. 代金納付・引渡し所有権が買受人へ移る
図:担保不動産競売の主な流れ

東京地方裁判所の民事執行センターの例では、入札期間は通常8日間で、その15日前に公告書が掲示されます(東京地方裁判所「競売不動産の買受手続」)。代金を納めた買受人は、居座る債務者に対して裁判所に引渡命令を申し立てられます(民事執行法第83条)。

競売で売れても借金が残ることがある

競売の売却代金は返済にあてられますが、代金が借入残高に届かなければ、残った借金は返済義務として残ります。担保を失ったうえに債務も残る、という最も避けたい結果です。

競売で落札される前であれば、債権者の同意を得て市場で売る「任意売却」という方法もあります。手順と期限は任意売却の流れと期限で詳しく解説しています。

POINT

延滞が始まる前に動くほど、選べる方法が多い

  • 延滞前なら、通常の売却で完済して抵当権を抹消できる
  • 一括請求の後でも、競売の前なら任意売却を相談できる
  • 競売が進むと、価格も時期も所有者の手を離れる

売却・リースバックとの比較|借りる以外の資金の作り方

結論

不動産から資金を作る方法は「借りる」「売る」「売って借りて住む(リースバック)」の3つです。返済の見通しが立たないなら、借りるより売るほうがリスクは小さくなります。

不動産担保ローンは、不動産を手放さずに資金を作れるのが最大の利点です。一方で、返済が続く限り利息がかかり、返せなければ競売という出口になります。資金が必要な理由と返済の見通しによって、向いている方法が変わります。

3つの方法を表で比べる

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項目 不動産担保ローン 売却 リースバック
所有権 自分に残る 買主に移る 買主に移る
住み続けられるか 住み続けられる 引渡し後は退去 賃貸借契約の期間中は住める
毎月の支払い 元本と利息の返済 なし 家賃
返せなくなったとき 競売で失い、借金が残ることもある 返済そのものがない 家賃を払えなければ賃貸借契約の問題になる
税金 借入れ自体には所得税はかからない 利益が出れば譲渡所得税(自宅は3,000万円控除あり) 売却と同じく譲渡所得の対象

※譲渡所得の特例には要件があります。詳しくは本文と国税庁のページで確認してください。

リースバックは「住み続けられる期間」を確認する

リースバックは、自宅を売ってまとまった代金を受け取り、そのまま買主から借りて住み続ける方法です。返済の負担はなくなりますが、所有者ではなく借り手になります。

特に確認したいのが賃貸借契約の種類です。期間の定めがある建物賃貸借で、書面により「更新がない」と定めた定期借家契約なら、期間が満了すると契約は終わります(借地借家法第38条)。貸主は契約前に、更新がなく期間満了で終了することを書面で説明しなければなりません。

  • 賃貸借は普通借家か定期借家か、期間は何年か
  • 家賃はいくらで、将来の改定の条件はどうなっているか
  • 買い戻しができるか、できるならいつまで・いくらか(契約に書かれていなければ約束されていない)
  • 売却価格が通常の売却と比べて妥当か

売却なら返済そのものが要らない

売却すれば、代金で住宅ローンなどの借入れを完済し、残りが手元資金になります。新たな借入れも利息も発生しません。自宅の売却なら、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があり(国税庁 No.3302)、譲渡益がこの範囲に収まれば税金はかかりません。

自宅以外の不動産を売る場合は、所有期間で税率が大きく変わります。売るタイミングの考え方は短期譲渡所得の税率と判定のルールを参考にしてください。

具体例

1,000万円を「借りる」か、担保にする予定の不動産を「売る」か

  • 借りる場合:1,000万円の借入れなら、金利が年1%違うだけで1年の利息は10万円変わる。返済が続く限り利息がかかり、契約時に登録免許税4万円と印紙税1万円もかかる
  • 売る場合:時価1,500万円・借入れのない賃貸用の土地を売れば、売却費用と税金を引いた額が手元に残り、毎月の返済はゼロ

借りるほうは「手放さずに済む」代わりに、利息と競売のリスクを抱え続けます。どちらが得かは、その不動産を持ち続ける理由があるかで決まります。

不動産担保ローンのメリット

  • 不動産を手放さず、住み続けたり家賃収入を得続けたりできる
  • 担保の評価しだいで、無担保より大きな額を相談できる
  • 自宅以外を担保にすれば、貸金業者からでも総量規制の除外になる

不動産担保ローンのデメリット

  • 返済できなければ競売で不動産を失い、借金が残ることもある
  • 登録免許税・印紙税・手数料など、契約時の費用がかかる
  • 担保の調査と登記があり、融資まで時間がかかる

借りる前に確認すること|判断のチェックリスト

結論

「何で返すのか」を具体的に説明できないなら、借りる前に売却を検討してください。どの方法を選ぶにしても、まず担保にする不動産の現在の価格を知ることが出発点です。

不動産担保ローンが役に立つのは、一時的な資金不足を埋めれば、その後は事業の売上や給与、予定している入金で返していける場合です。資金不足が続いている状態で借りると、返済のための借入れが増え、最後は担保を失うことになりかねません。

返済の原資を説明できるか

次の項目に1つでも当てはまらないものがあれば、借入額を減らすか、売却やリースバックと比べてから決めるのが安全です。

  • 毎月の返済額を、今の収入から無理なく払い続けられる
  • 金利が上がった場合の返済額も試算している
  • 借りたお金の使い道と、それでいつまでに何が改善するかが具体的
  • 契約時の費用(登録免許税・印紙税・手数料)を含めて手元に残る額を把握している
  • 返せなくなったときに、その不動産を失っても生活が成り立つ

売る予定の不動産があるならつなぎ資金という考え方

近く売る予定の不動産がある場合、その売却代金で返す前提の貸付けは、貸金業者からでも総量規制の「除外」になります。ただし、貸付額は不動産の価格の範囲内で、売ると生活に支障が出る場合は対象外です(施行規則第10条の21第1項第7号)。

売却までのつなぎで借りるなら、売却価格の見込みが甘いと返済に足りなくなります。借りる前に査定を取り、いくらで売れそうかを確かめておくことが前提になります。

担保価値を知ることが、どの選択肢でも出発点

借りるにしても、売るにしても、リースバックにするにしても、判断材料になるのは不動産の価格です。借りる場合は担保評価の目安になり、売る場合は手残りの計算、リースバックなら提示された価格が妥当かの物差しになります。

ローンの残高が売却価格を上回っている場合の売り方はオーバーローン売却の解説も参考になります。

結論

不動産担保ローンは「返す当てがある一時的な資金不足」には有効ですが、返済の見通しが立たない資金難には向きません。借りる前に、売った場合の手残りと比べることで、担保を失うリスクを避けられます。

よくある質問

住宅ローンが残っている自宅でも不動産担保ローンは借りられますか?

担保の評価額に余裕があれば、二番抵当として相談できる場合があります。抵当権の順位は登記の前後で決まるため、競売になれば住宅ローンが先に回収され、追加で借りられる額は小さくなります。貸金業者から借りる場合、自宅担保は総量規制の除外にならない点にも注意してください。

不動産担保ローンは総量規制の対象外ですか?

一律ではありません。貸金業者が自宅以外の不動産を担保に、その価格の範囲内で貸す場合は「除外」です。自宅や自宅の敷地を担保にする場合は除外にならず、年収の3分の1が上限です。

銀行などからの借入れや、法人の借入れには総量規制は適用されません。

返済できなくなったら、すぐに家を失いますか?

延滞してすぐに失うわけではありませんが、延滞が続くと残額の一括請求を受け、担保不動産競売を申し立てられます。競売の前であれば、債権者の同意を得て市場で売る任意売却を相談できることがあります。早めに金融機関へ相談してください。

不動産担保ローンを借りるときの税金はいくらですか?

抵当権設定登記の登録免許税が債権金額(根抵当権は極度金額)の0.4%、契約書の印紙税が契約金額に応じてかかります。2,000万円の借入れなら登録免許税8万円と印紙税2万円で、合計10万円です。

この記事のまとめ

  • 不動産担保ローンは抵当権・根抵当権を設定して借りる方法で、返せなければ競売になる
  • 審査は担保評価と返済能力の両方。担保があっても返済能力を超えては借りられない
  • 登録免許税0.4%と印紙税が必ずかかり、2,000万円なら税金だけで10万円
  • 総量規制は、自宅以外の担保なら「除外」、自宅担保は除外にならない。銀行・法人は対象外
  • 競売では価格も時期も決められず、売却代金で足りなければ借金が残る
  • 返済の見通しが立たないなら、売却やリースバックと手残りを比べてから決める

借りるか、売るかを決める前に、まずは担保にしようとしている不動産が今いくらで売れるのかを確認することから始めてください。

この記事を書いた人

売却ナビット編集部(運営:合同会社GREA)
不動産の一括査定サービス「売却ナビット」を運営。相続・老朽化・投資物件など、売りにくい不動産の売却相談を扱っています。
〒113-0033 東京都文京区本郷1-4-4 水道橋ビル6階/TEL 03-5615-9793(10:00〜18:00 年中無休・年末年始を除く)
記事内の税制・法令に関する記述は、国税庁・法務省・国土交通省などの公表情報をもとに作成しています。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください。

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